某ホテルの営業部に就職しーてはや15年。2流とはいえ人と接することか好きなオレーにはおあつらえ向きの商売だ。しかも高卒にしては給料もそこそこ入社当時は不満どころか、実に楽しく、やりがいを持って働いていた。
しかし、世の不況はホテル業界も例外ではない。ボーナスは毎回減額の一途をたどり、ここ数年に限っていえば、一円たりとも昇給していない有様だ。挙げ句に3年前、長男が生まれ我が家のエンゲル係数はゲロ上がり。自分の小遣いなど無きに等しくなってしまった。そんな悲しい状況を打破すべく、オレが白タクを始めようと思いついたのは去年の夏のこと休日に出向いたソープで、風俗嬢と交わした何気ない会話かキッカケだった。
深夜料金1万6千円を1人3千円で送り届け
ー年ぶりの風俗遊びを満喫し、プレイ後、横になってタバコをふかしていると、風俗嬢のサユリがこんなことを言い出した
「お客さん、A市から来たんだよね車?」
「ああ、ワンボックスだよ。なんで?」
「いいなあ。私も自宅がA市内なんだけど、免許持ってなくて。仕事が終わると終電もないんだよね」
「へえ、大変だなでもさ、店に従業員用の送迎車とかあるんだろ」
「でしょ、普通あるよね。でもウチはそんなサービスなく一てさ。女の子、みんな自腹でタクシーなんだよ」
「マジでっ・こっからA市までタクシー使ったら、かなり高くつくぜ」
彼女の話によると、ここB市(A市からは車でー時間弱)に点在するソープ店には、女一性従業員に寮もしくは送迎車かちゃんと用意されているらしいところが、中には彼女の店のように、寮もなければ車もなく、女の子を自腹で帰宅させている店か数件あるという。
日頃、何かいい小遣い稼ぎはないかとあれこれ悩んでいた折、サユリの話に思わずヒザをたたいた。そうか、白タクをやればいいじゃないかっ。聞けばこの店には、サユリの他にA市内在住のコが3人在籍しているという。B市からA市までタクシーを使うと深夜料金で約1万6千円これを1万円程度にしてやれば、大悦びでオレの車を利用してくれるのではないか。しかも客はソープ嬢だ。
ククク、力ネの代わりにグッチョングッチョンのサービスがあるかもな、あるかもなっ。浅ましい欲に駆られたオレが、さっそくその旨をサユリにつげたところ、大絶賛。例のA市在住の3人とともにさ一っそく今晩から毎日利用したいという。なんとも有りがたい話だがさすがに毎晩はムリ。オレの本業はホテルであり日仕事がある日は難しい。そこでオレは妥協案を提示る。本業は週休2日(月木)から、白タク営業を休みの前日、すなわち日、水のみとし、その代わり料金をA市内一律ー人当たり3千円としたらどうだろうかと
「きゃー、そんな安くていいの。それなら、週2日でも全然オッケー」
果たして、商談はめでたく成立。その夜オレはさっそく4人をA市まで送り届けた。
料金はカラダで払ってもいいのに
しはらくは、サユリたち4人を相手に毎週白タク稼業を続けた。この時点で稼ぎは月約10万、十分満足な額である
しかし、2カ月ほどたったころさらに嬉しい事態が起きた。なんとサユリが他店の女のコにもオレのことを宣伝してくれたため、新たに固定客が5人も増えたのだ。こうして、本業の休日前になるとオレの携帯には予約の電話がジャンジャン入るようになる。「あ、もしもし。ミホですけど、今晩大丈夫?」
「えーとね、『マスカット』のアイちゃんを12時半に拾うから、店の前に待ってて」「はーい」
もっとも、女の子たちは各自のシフトがバラバラなため、同じ日に9人全員が揃うことはほとんどない。が、それでも毎回1人程度の利用があり、稼ぎは上々。月に20万前後のカネが懐に入った。
営業時間も、最初のうちこそ客の増加や、不慣れなことも重なり、夜明けまでかかることもあったが、1カ月もたてばかなり改善する。近道などを駆使し、客が何人いようとも3時には帰宅が可能となった。
商売は現在も順調そのものだ。パクられることもなく・ときに本業の給料を上回るほどいい稼ぎを生んでいる。固定客の中には店を辞め、去っていく者もいたが、利用者が減ることはなかった。先輩客が頼みもしないのに、新米ソープ嬢を連れてきたのだ。
いやー、まったく絵に描いたような成功談なのだが、それでもーつだけ気に入らないことがある。当初、期待に胸を膨らませ一た「料金は力ラタで払うわ」というシチュエーションにいまだめぐり合えないのだ
「今日は珍しく2人っきりになっちゃったね。・・どう、オージさんのギアをトップに入れてみないかっ」
「えー、いいのお。じゃ、えーい。サード、トップ、そしてーグリグリの刑」
「ぬあー、気持ちいい」
どうにか、妄想のままで終わらせたくないのだ
※この記事はフィクションです。読み物としてお読みください。実行されると罰せられるものもあります。女優