パチンコライターというお仕事をご存じか。新機種の紹介や攻略法のようなものを専門誌に書くのが主な内容で、少し前まではさほど儲かる商売ではなかった(一部の著名ライターは除く)。
ところが、数年前、パチンコ業界に起きたある変化がきっかけで、巷のパチンコライターの収入が軒並み激増することになった。オレのようなあまり知名度のないライターですら、年収1千万の大台に乗っかるほどに。しかもその高収入の大半を支えているのが、ほんのお遊びみたいな仕事内容なのだからいよいよ笑いが止まらない。いまもっともオイシイ職業、パチンコライターの内幕を皆さんにご紹介しよう。
オレがパチンコライターになったのは、今から6年前、とあるパチンコ雑誌の専属ライター募集に応募したことがキッカケだった。運よく採用となり、まず最初に与えられた仕事は、ひたすら玉を打って新機種の実戦データを収集することだ(時給1千円)。パチンコ代は編集部の負担だったためカネの心配はいらなかったが、さすがに毎日10時間以上も環境の悪いホールで座り続けるのはキツい。それでもガマンを重ねて1年、2年と仕事を続けていくうち、実践企画(実際にパチンコを打って新機種の特徴を検証する企画)のページや付録DVDなどにオレ自身が登場する機会が増え、少しずつ読者に顔をおぼえられるように。といってもその時点でのオレの年収は300万を少し超える程度。ライターとしてどうにか食ってはいけるが、裕福な生活とは無縁の状況だ。
パチンコ・パチスロの広告規制がはじまったのはちょうどそのころだった。
以前までのパチンコ店は、「赤字覚悟DAY」とか「絶対に出します」などと称する出玉イベントを事前に告知して客を集めていたのだが、当局からの指導で、そういった射幸心をあおる宣伝ができなくなったのだ。
そこで全国のホールが苦肉の策としてはじめたのが、パチンコライターや芸能人の来店イベントである。文字どおり、有名人を店に招待してパフォーマンス的に台を打ってもらうというもので、これを行うことにより、その日が出玉デイであることを暗に客に知らせるようになったわけだ。そしてその目論見は成功する。
以来、わずかでも顔の売れているパチンコライターはにわかに多忙となった。近ごろ、パチンコ業界の斜が沙汰されているとはいえ、全国にはまだ1万2千以上ものホールがひしめいている。対してパチンコライターの数はせいぜい100人ほどだ。当然、各店から引っ張りだことなり、売れっ子であれば、月の半分以上は来店イベントにかり出されるような状況になったのだ。ホール側がパチンコライターを使いたがる最大の理由は、ギャラの安さだ。芸能人を1人呼べば100万前後のカネがかかるところ、パチライターならかなりの大物でも30万以下で済むのだから。店側にとっても客にとっても、最大の関心事は来店イベント(=出玉イベント)の開催であり、ゲストが誰であるかは正直、あまり重要ではない。だからこそ、オレのような知名度の低いライターでもお呼びがかかるのである。
さて、オレの場合、来店イベントのギャラは10万で、それが月に7、8回はコンスタントにある。これだけで本来のライター仕事とは別に、70万超のカネが転がり込むのだからいかにオイシイかわかるだろう。もちろん、札幌に出向こうが、福岡に呼ばれようが、旅費はホール持ちだ。さらにイベント開催中もライターは特別なことをする必要がない。【パチンコライター○○氏実演中】というフダのかかった台で、ほんの数時間、普通にパチンコを打つだけ。店によってはその合間にマイクパフォーマンスを要求されることもあるが、そんなのは数えるほどの頻度だ。しかもパチンコで勝った分はそのまま懐に入るうえ、負けた場合もホール側が全額負担してくれるか、上限付き(だいたい5万円)で補償してくれるため、自分の財布を痛めることも滅多にない。
最近、もっともホットだったのは、北関東の某店のイベントに参加したときのことだ。MAX機(大当たりの確率は低いが当たれば高確率で連チャンする台)のルパン三世で大爆発を起こし、なんと30万も勝ってしまったのだ。
つまりその日の稼ぎは40万。ま、それも店の負け補償があるからこそ強気の勝負に出られたのだけれど、とにかく何の特殊技能も持たない一般の男が、これだけの大金を1日で稼げる仕事など他にないのではないか。ここ数年、新人ライターの募集は、パチンコ専門誌の他にも、ネットのパチンコ動画サイトやCS番組などでたびたび行われているようだ。興味のある方は、まず応募してみてはどうか。パチンコ店がライターの来店イベントを続ける限り、2、3年ほど修行を積んである程度名前を売れば、甘い汁を吸
える身分になるのも決して夢ではないはずだ。