「レンタル携帯」なる広告は何を意味しているのか。これ、会社名義で契約した携帯電話を、一日単位で貸してくれるサービスのことだ。誰が何ために利用するのか? そのヒントは、レンタルする際に必要な身分証チェックがめちゃくちゃ甘いという事実から推測できる。なにせ、他人の保険証のコピーが通用してしまう業者もあるほどだ。
つまりここでの身分証の確認は、借り逃げに備えたものではなく、形式を整えるための作業に過ぎない。借り逃げリスクは、デポジットを預かることで回避しているため、客の素性などデタラメでも構わないのだ。
トバシ携帯は、そのアシのつかない特性から、あらゆる犯罪者に広く悪用されている。主だったところでいえば、振り込め詐欺を始めとする各種サギ師、ヤミ金業者、違法薬物の売人となろうか。販売は、ネットの売買掲示板などを通じて行われるのが現在の主流で、相場は1台2万5000円。たいていの販売業者はケータイの使用可能期間を1カ月以上と謳っているが、回線ストップのタイミングは契約者が料金を払わなくなり始めた時期によって決まるので、購入からわずか数日で使えなくなるケースも少なくない。ちなみにトバシ携帯の購入者は、それをトバシと認識したうえで買ったことが明らかになれば罪に問われる。