簡単に名刺交換しない方が良い。
『名簿屋』は個人情報集めに熱心だ。利用価値が高いと判断したデータは何でも買い取っている。サラ金の債務者リストから社員名簿まで。
普通の人間には売れるものなんてなさそうなもんだが、ただひとつ、金になるデータがある。名刺だ。
100枚単位で買い取られるのが一般的で、役職の高い名刺ほど査定はアップする。金額は1枚あたり1円~10円くらいだろうか。サラリーマンで、名刺が溜まりに溜まっているような連中が持ち込んでいるようだ。
また倒産品セールなどの名目で全国を渡り歩く業者がある。スーパーの駐車場などで、鍋や食器、服飾品など雑多なアイテムが売られているのを見たことはないだろうか、アレだ。大方の商品は店舗倒産による余剰在庫品なのだが、連中は同時に“ブツ”の買取も行っている。盗品でもなんでも、ブランド(レプリカ含む)、ノーブランド問わずに様々な商品を買い取り、それを次の会場に持っていって今度は売りさばくわけだ。
おおっぴらに売りに行けない万引き商品などをカネに変えるヤカラが多いそうだ。
携帯電話を紛失した場合、キャリアに連絡すると、本体が「赤ロム」と呼ばれる状態になる。これは不正利用を防ぐための措置で、拾った人間がたとえsimカードを入れ替えたりしても使うことはできない。
しかし実情、世の中はケータイ盗難が絶えない。その一番の理由は、赤ロムの買い取り業者が跋扈しているからだ。
ためしにネットで「赤ロム、買い取り」と検索してほしい。実店舗を構えた業者のホームページがわんさかヒットするはずだ。
注目すべきは買い取り額である。赤ロムだから安いみたいなこともなく、たとえばアイフォンの場合、普通に4、5万の値が付く。しかも買い取りの際、身分証確認もしない業者もあるほどだ。悪事を働いて持ち込んでくれと言わんばかりである。
これら業者は、赤ロムを中国や東南アジアに流している。日本では使えない赤ロムも、海外キャリアのsimならば生き返るのだ。モバゲーやグリーのゲームにハマってる連中はキャラクターを強化するのに必死だ。二つのIDを用意して、アイテムなどを倍のスピードで集めるなんてことまでやってのける。
彼らにとってこのID(アカウント)はノドから手が出るほど欲しいわけだが、ゲーム内では1ケータイにつき1IDと決められており複数登録ができない。
そこで登場するのがID買い取り(転売)業者だ。
業者はIDを買い取って彼らに転売している。売る側はゲーム登録時に設定したメアドとパスワードを業者に渡すことで2千円ほどが手に入る。なにかゲームを進めておく必要はなく、登録したてのまっさらなIDでOKだ。
売った側になにかペナルティがあるかと言えば、登録したメールアドレスにモバゲーやグリーの事務局から違反通知が来ることぐらい。
友人や家族などを片っぱしから新規登録させ、それを売ってまとまったカネを得ている人もいるようだ。