ナゾの歌を小学生のように一緒に歌う様も、簡単な英単語を知らぬことも、いかにもS高校っぽくて好感が持てる。女子2人組が校門から出てきた。そのカバンを持ってるってことはあの部活か。女子にしては珍しいな。
A アソコって黒くない?
Ⓑ えええ? 何、シモネタ?
A ウフフ。
Ⓑ 何やの。
A ちゃうやん。昨日見せられてん。びっくりしたわ。
Ⓑ なになに?
A オトンが風呂から出て見せてきよんねん。キショイわ〜。
Ⓑ やっぱシモやん。やめえや。
A なに、エリのアソコ黒いん?
Ⓑ ヒミツ!
A 絶対黒いやん。めっちゃ反応してたし。ウチはちょっとピンクやけど。
Ⓑ 黒ないわ! マグロのお寿司くらいキレイやし〜。
A キショ、寿司に例えんといて。もう食われへんやん。
Ⓑ ヤバ、うち今日お寿司やねん。
A エリがエリのアソコを食べんねんな。お疲れ様でした。アナタはこれでもうずーっとエッチでけへんわ。
Ⓑ 食べへんし。私マグロ嫌いやもん。
A 寿司見るたびにエリのアソコ思い出してしまうわ。どうしてくれんの。
Ⓑ 食べへんかったらええやん。ってか、私のアソコ見たことないやろ?
A ないけど、マグロなんやろ?イヤや〜。ウチ一生マグロ食べへん。オトンのチンチンよりエリのアソコのほうがイヤや〜。
Ⓑ どっちもどっちやで。てかなんでオトン、見せてくんの?
A 知らん。でも週3ペースで見せてくるわ。
Ⓑ それもう病気やで。
A 人のオトンのことイジんなや。エリのオトンかて見せてくるやろ?
Ⓑ ないわ。そんなんないよ。病気や。
A もうイヤ。寿司も食われへんし、家にも帰れへん。今日泊まってもいい?
Ⓑ 寿司食べに行くからダメ〜。
近くに見知らぬ兄ちゃん(オレ)がいるというのに、このあっけらかんとした会話はどうだ。思わず2人のアソコの色を想像してしまったじゃないか。学校からほど近いゲームセンターにもS高の生徒がいた。3人組で、1人は私服だ。
A パズドラ(スマホのゲーム)オモロイわ〜。
Ⓑ オレもやってる。
c オレも。
A カネかからんのがええよな。
Ⓑ わかる。カネないもん。
A どうやったら金持ちになれるん
やろ?
c石油王やろ。
Ⓑ なにそれ?
A 石油王ムリやろ。オレ掘れへん
もん。
c オマエが掘らんでもええやん。石油王って部下にやらせてると思うし。
Ⓑ 石油王ってなに?
c うるさいな。ちょっと黙っとれ。
A でもウチ、トンカツ屋やで。
cトンカツ屋でも石油王になれるやろ。知らんけど。
A どこ掘ればええの?
c 御堂筋の地下とかちゃう? 知らんけど。
Ⓑ オレもなりたいわ〜、石油王。
c オマエは無理。顔が石油王っぽ
くないもん。
A オレは?
c ギリ、いけると思うわ。
A よっしゃ頑張ろう。ラーメン食いに行かへん?
Ⓑ&c 行く!
リーダー格のC君、あなたは知らずに断言しすぎだ。トンカツ屋から石油王は無理だし、御堂筋の地下にも石油はないぞ。同じゲームセンターにもう1組いた。UFOキャッチャーの前で大騒ぎをしている。
A 取って、マジで、お願い!
Ⓑ ええよ。
A 金はオマエ持ちで取って!
Ⓑ なんでやねん。それおかしいやろ。
A わかった。頼む、取ってや。(100円玉を渡す)
Ⓑ 取れんでも泣くなよ?(アンパンマンのぬいぐるみを狙うも、取れず)
A ああ〜! アホか!
Ⓑ アホちゃうわ。こんなん運やか
ら。
A じゃああと一回やって。(再び100円玉を渡す)
Ⓑ いくで。(またも取れず)
A ああああああ!
Ⓑ ウルサイなぁ。
A なんで取れへんねん! ヘタクソ!
Ⓑ だから運やって。
A もうオマエのこと信用せえへんわ! 一緒に帰らへんし!
Ⓑ なんでやねん。
A なんで取れへんねん。もう自分で取ったるわ。
Ⓑ ガンバってな。
A ……100円貸してくれへん?
Ⓑ イヤやって。
A さっき俺の100円でやったやん。
Ⓑ あれはちゃうやろ。
A 同じやろ。今度はオマエが取ってって頼め。
Ⓑ なんでやねん、こんなんいらんわ。
A もうええわ! 1人で帰るからな。
Ⓑ ちょっと待ってって…。(追いかけて一緒に帰る)
なかなかすさまじいA君の理論である。友達をなくさないか心配になってしまう。続いて通学路途中のコンビニで男子2人組が大声でしゃべっているのを発見。
A カワタ留年決まったらしいで。
Ⓑ カワタって誰?
A 知らん?
Ⓑ 知らん。リュウネンってなに?
A 留年知らん?
Ⓑ 知らん。なに?
A もう一回、2年生やんねん。
Ⓑ ええやん。2年オモロイし。
A ええかな。
Ⓑ ええなぁ。勝ち組やん。
A そうなんのかな。
Ⓑ うらやましいわ。ズルイなぁ。
A (無言)
B君、大丈夫か? どうしてそれが勝ち組になるんだ。A君も納得しそうになってるけど。君たち、よく進級できたね。そのコンビニ近くでこれまた男子コンビが帰宅の途についていた。
A バイク欲しいねん。
Ⓑ なんで?
A 遠く行きたいやん。
Ⓑ ああ。
A バイクあったら遠く行けるし。東京とか。
Ⓑ めっちゃ遠いやん。
A でも行けるやん。
Ⓑ 行けへんやろ。
A 行けるやん、何日もかけたら。
Ⓑ そんなん、のぞみで行ったらええやん。
A バイクで行きたいねん。
Ⓑ 帰りしんどそうやな。
A 帰りのこと言うなや。滅入るわ。
Ⓑ 行きかってしんどいで絶対。
A しんどいしんどい言うなや。しんどないわ。
Ⓑ アホか。しんどいわ。
A もうええわ。そのへん走るわ。走りまくるわ。
せっかくの東京行きの夢は、しんどがり屋の友人のせいで、わずか十数秒で破れてしまった。A君よ、そのへんを思うぞんぶん走りまくってくれ。
S高校生の諸君、キミたちを日本一と断言するにはまだ早いと思うが、おそらくや日本で五指には入るバカさ加減だろう。今後の活躍を祈っている。