会話のタネ!雑学トリビア

裏モノJAPAN監修・会話のネタに雑学や豆知識や無駄な知識を集めました

子供なりに考えた。うんこをもらさない方法はないものか

個人的なテーマを選んだ。
うんこ問題である。
ぼくは長年、自分のうんこに触りたいと思い続け、なかなか果た
せずにいるのだ。この、まるで便秘のような思いを、最後にスッキリさせたい。同じ思いの読者諸氏も、きっと喜んでくれるだろう。
そう思って編集長オガタに切り出してみると、どうも反応が鈍い。

自分のうんこに触りたいけど触れずモンモンとしている読者などいないというのである。
ばかな。じゃあオガタはしょっちゅう目分のうんこに触っているのか。それほど大胆な男とは思えんが。
「違うって。誰も自分のうんこに触りたいなんて思ってないってことだよ」

ばかな。じゃあオガタは触ったことがないとでもいうのか。
「ない」
本当か。何十年も毎日トイレでうんこをするたびに現物を見せつけられて、心が動かなかったというのか。
「あのなあ」
なんだ。
「おまえ、いちいち自分のうんこを確認してるのか?」
そんなのあたりまえだろう。誰だってうんこのことは気になるはずだ。色、カタチ、硬度、分量。チェックポイントはたくさんある。トイレットペーパーで尻を拭く前に、まず状態を確認するってのが常識では……。
「オレはしてない。おそらく読者の大半キミは特殊だ」
オガタはきっぱりいうのだった。
排便後はすぐにトイレットペーパーを便っから、うんこはその下に隠れて見えないし、見たいとも思わないらしい。
信じられない思いだ。しかし、カンタンにあきらめるわけにはいかない。いつかはこのテーマでやろうと決めていたのである。頼む、うんこで行かせてくれ。
「どうしてもか」
「どうしても!」
「しょうがないな。あまり下品にしないでくれよ」
渋るオガタにOKをもらうと喜びのあまり尻の穴がニューッと開き、うんことの闘いを想像するとキュッと閉まった。

少年の頃、ぼくにとってうんこは非常に身近な存在だった。当時は毎日うんこを触っていたからだ。
孤独な少年だったぼくは夕方になるとグローブとボールを手に外に出て、団地のカベに向かってボールを投げるのが常だった。ひとり野球である。カベには四角い的が描かれ、そのなかに投げ込めばストライク、はずせばボール。ピッチャーに憧れていたぼくは主戦投手として1回から9回まで完投することを義務化し、力投を繰り返していたのである。
いったい何が楽しくてあれほど熱中していたのか、いまではわからないのだが、飽きることなくこの遊びをしていた。
全力投球を続けていると腹筋を使うためか、便意が訪れる。しかし、もはや日暮れが近い。日没になれば家に帰らねばならないので、それまでになんとか試合を終わらせたい。うんこをするために家に戻ったらメシだから遊びに出かけるなといわれるだろうから、ここはガマンして投げ通すべきだ。
が、リキむせいかコントロールに乱れが生じ、フォアボール連発である。ピンチである。便意はますます高まってくるが、それどころではない。かまわず投げる投げる。投げまくる。
ここが少年のアホなところで、野球に熱中するあまり、下半身への意識が希薄になるのだ。もうギリギリだとわかっているのに投げることをやめられない。と、どうなるか。もらすのである。
これはまずい。ぼくは寝小便がなかなか治らない子供だったし、
小学校低学年のときには学校でうんこをもらしたり、下校時にもらして泣きながら帰宅することもあったのだ。遊びのときにももらすとなると、親は絶望的な気持ちになるだろう。
で、子供なりに考えた。野球をやめず、うんこをもらさない方法はないものか。そこらで野グソするのはだめだ。その間、野球が中断する。

緊迫した状況で、そんなロスタイムは許されない。
ではどうするか。パンツにさえつけなければいいのだ。
〈手で受けとめればよい〉
こうして、うんこ野球少年が誕生した。8才だった。
最初のうちはパンツに手を突っ込んでもらしていたため、後の処理が大変だったが、人間の学習能力はすごい。みるみるうちにぼくは進歩し、もらす量をコントロールすることを覚えていった。
もともと、大便は朝のうちに済ませる習慣があり、野球時にもらすのはごく少量。ちょっとだけ外に出せばおさまる類のものだ。下痢便なんてことはまずない。であ
れば、もっと効率的にうんこと付き合う方諏法はないものか。できればパンツを汚さずに。
考えた末に達した結論はシンプルなものだった。
ほじくりだせばよい
こうしてぼくは後半戦、便意が訪れると積極的に尻の穴に指を差し入れ、そろりそろりとうんこを出しながら、ちょうど指先分ぐらいの量をこそぎ取る技術を今請符していったのだ。
とにかく完投したい一心だったから手を洗うこともせず、砂でちょこちょこと拭き取るだけだった。
普段からもらし慣れしていて、うんこの匂いに抵抗がなかったからだろう。うんこ本体は匂いを唄いでから投げ捨てていた。
終盤でうんこ処理することが定番になると、ぼくの行為はさらにエスカレートする。おそらく目分のしていることを正当化するためなのだろ

うんこを触った手で投げるボールには特殊な威力がつき、的から少々はずれても相手が
空振りするというルールを作ってしまった。うんこポールは魔球。三振ビシバシ。終盤戦に抑えきるためには欠かせないものに

そしてぼくは、自分がこのようにうんこと親しくつきあっていくことに疑いを持っていなかった。