会話のタネ!雑学トリビア

裏モノJAPAN監修・会話のネタに雑学や豆知識や無駄な知識を集めました

電車内でのスマホマナーって良くなってきてるね

電車内での腹立ち問題である。

他人に迷惑をかけているのに知らん顔を決め込むマナーの悪い客
小心者にも五分の勇気、というものがある
ならば、それを出してみるのもワルくない。
どうせ人生ば一度きり。
ここらで一つ勝負に出てみよう。

客には誰でも頭にきた経験があるだろう。

電話で大声でしゃべったり、混んだ車内で足を投げ出したり、イヤホンから耳障りなシャカシャカ音を撒き散らしていたりするアレだ。子供が泣いたりわめいたり走り回ったりするのを止めることもしない無責任な親も不快指数が高い。
だが、現実には周辺の人間すべてが不快に感じていたとしても、それをハッキリロに出して注意する人はめったにいない。
ぼくだってそうだ。ハラワタが煮えくり返っているのに、下手に注意して相手がキレたらイヤだとか、そんなことくらいで怒るのも大人げないと考えてジッと我慢の
子。面と向かって注意する勇気がなく、ときには現実に目を背け隣の車両に移動する、ていたらくである。
うるさいものをうるさいと注意し、常識に欠ける行為をたしなめる。な-に、たいしたことじゃない。やったことがないから、やり方がよくわからないだけって感じがする。それならば一度ビシッと叱ってやらねばならん。いや、叱ってやるのだ。

いつからこんなにマナーがよくなった?
山手線に乗り、チェック。脈のありそうな乗客に接近し、チャンスを伺う。いつもなら空席を探して居眠り態勢に入るか雑誌でも読むところだが、今日のオィラは目的を持つ男。全身のアンテナがピクピクしてるぜ。
しかし、絵に描いたような迷惑客はなかなかいないのである。これまで経験した不快な体験の数々が記憶にあるため、注意すべき状況なんかすぐぶつかると想像していたのだが、マナーのいい客ばかりなのだ。
そりゃ、なかには電話をかけている客もいるけど、そういう人は小声で申し訳なさそうに話していたりして、むしろ好感を抱いてしまうほど。

うっすら漏れる程度のシャカシャカ音など腹も立たないし、ボリュームを上げて聞い
ていそうなヤツはしっかりへツドフォンをつけている。学校帰りの中高生の会話はにぎやかでうるさいと言えばそうだが、十分に許容範囲だ。
だいたい、ぼくは温厚なほうで、不快だと思ってもある程度までは耐えるタイプ。本気で怒るほど不愉快なときは、他の人もきっと似たような気分になっていると思う。そんな、乗客が耐えに耐えているときに勇気を出して注意をすれば、みんなが心の中で拍手してくれるんじゃないかというのがぼくの狙いなのである。
あんな男でも言うときには言うんだな、とみんなは思う。あいつに言えるのならオレだって、と明日への力が沸いてくる。くう、たまらんなあ。
でも注意する相手がいないんじゃ話にならない。いったいどうしたというのだ。ぼくの知らない間に、日本人のモラルが急によくなったのか。こっちは基本的に気が弱いんだから、盛り上がったときにサッと登場してくれなきゃ二の足踏みかねないんだよ。
迷惑客を探す日々が始まった。
車に乗らず移動はすべて電車。それも、なるべく混雑しそうな時間帯、路線を選ぶ。新宿に行くならゆったり座れる総武線じゃなく中央線。買い物するならなんとなくワイルドそうな池袋。
でも会えない。ダフな悪役はどこにもいない。車内ウォッチングを開始して半月が過ぎるころには、ぼくの気持ちはすっかり萎えてしまった。