会話のタネ!雑学トリビア

裏モノJAPAN監修・会話のネタに雑学や豆知識や無駄な知識を集めました

0・ 5パチ屋に200円パチンコ竹ノ塚でギャンブル遊び

ハロウィン当日は40オーバーのオッサン3人で渋谷に行ってきた。

その日だけはどんな可愛いコスプレ女子もツーショットのお願いを断らないと聞いたからだ。
センター街の奥に進むと人だかりがあり、そこに乃木坂46のコスプレをした女7人組がいて我々が写真をお願いすると快諾してくれた。写真を撮ってワクワクしながら見返すと、女子全員が不自然に手を顔の前にやって仮面みたいなポーズを作っていることに気が付いた。まるで顔を隠しているようで、乃木坂メンバーがそんなポーズ取ってるのは一度たりとも見たことがなかった。やはりここにオッサンの居場所はないと痛感し、急いで埼京線に乗って赤羽のモツ屋に移動したのであった。
どうやらオッサンは東京で言うなら東側の方に居場所がある傾向のようだ。なので今回は東東京の雄、足立区竹ノ塚まで足を延ばしてみることにした。間違いなく乃木坂46
も乃木坂もどきの女たちもいないはずだから安心できる。
て、竹ノ塚と言えば真っ先に思いつくのがリンリンハウスなのは異論がないことだろう。
この街で鳴るのを待って、待ち合わせて、美人局に遭った淡い思い出はオッサンなら誰しもが一つは持ってるすべらない鉄板話だ。
そんなテレクラのメッカではあるが、この街が0・5円パチンコ発祥の地だということはあまり知られてない。もう10年以上前になるが1円パチンコが登場した当時、まだ1パチコーナーは店の隅っこにひっそりと設置されている程度だった。それが今や1パチ専門店もあるほど低貸パチは当たり前の時代となり、その1パチ全盛期にいち早く0・5パチを始めたのが竹ノ塚の店だったのである。
早速駅のホームに降り立つと東側と西側、両サイドの駅前にドデカいパチ屋が軒を連ねているのが目に入った。普通は駅前の大きいビルならアトレとかエキュートなどの商業ビルを連想するが、間違って入ってしまったらそこは0・5パチ屋なので注意してほしい。
ちなみに0・5円発祥である元祖の店は既に潰れているようだが、その店を継承する形で別の店が低貸メインで頑張っているようだ。
しかもこの店は0・5パチ以外にも200円パチンコという謎の営業形態もやっており、150玉で200円というお得なのか何なのかよく分からないことになっていた。
に入るとVシネマに出てくるパチ屋の店内のような、昭和の雰囲気がむんむんに醸し出されていて、当然客のオッサンたちもそれに準ずる出で立ちを決め込んでいた。土曜夜7時すぎというパチ屋のゴールデンタイムだったこともあり、こんな古めかしい店にも関わらず7割強の客入り。右奥には申し訳程度に4パチの島が一つ用意されていたが見事に客はゼロだった。
さらに店の一番奥の一角には休憩コーナーが設けられており、そこには大量のパチ雑誌となぜかトレーニング雑誌のターザンが並んでいる。そこのテーブルの中央にはなんと驚くことに「禁酒」と書かれた注意書きが客全員に見える位置に貼られていた。普通は居眠り禁止とか長時間滞在禁止と書くところにそれらを差し置いて「禁酒」である。確かに目の前にはコンビニもあるし、負けてたらここで酒を飲みたくなる気持ちも分かる。ただ注意書きをするということはよほどの人間がここで飲酒をしていたのであろう。
そうこうしてると隣にオッサンなのか若者なのか判別が不明な見た目の男が着席した。男が持参した半透明のスーパーの袋には半額シールが貼られたオニギリが4つほど入っており、男はおもむろにそれを貪り始めた。土曜夜に0・5パチ屋の休憩コーナーで半額オニギリを食べる人生になるとは小さい頃その男もその家族も、祖先すらも全員思わなかったことだろう。男はオニギリを1つ食べ、2つ食べ、そのまま4つ食べそうな勢いでまだまだ長居しそうだったので恐る恐る声を掛けてみた。
「いや〜、全然ダメですわ。もう1万スッてます」
 パチ屋の会話の基本は負けてるアピールをすること、これは鉄則である。そこでの勝ち自慢はもちろん、トントン自慢すらも喧嘩の種になるので絶対に御法度だ。
 オニギリ男は「俺も全然っす。この店、土曜はダメなんですよ」
とこちらの話に勢いよく乗ってきた。土曜がダメなのに土曜に休憩コーナーで飯まで食ってる奴の台詞ではないと思ったが、「よく来るんですか」と尋ねると「週4、5で遊んでる」とのこと。「0・5パチなんかゲーセンみたいなもんでしょ? ゲーセンより安く遊べるかも。ブッハハハハ」と豪快に笑う男。「ゲーセンよりも安く遊べる」というのはギャンブル依存症一歩手前の人間が放つ常套句だ。
 男は店の悪口、常連客の悪口、新台の悪口をひとしきり饒舌に語ったあと、眉間にしわを寄せて
「気になる台がある」とポツリと言い残し、腕まくりして再び0・5パチコーナーへと突撃して行った。その一片の迷いのない凛とした後ろ姿は神風特攻隊のようでもあった。
 帰りに店の前の新台情報の広告を見るとそれと同等の大きさでギャンブル依存症の相談を促すポスターと相談窓口の電話番号が貼られており、さっきの男を通報してあげようかと思いつつ、そこから徒歩5分のリンリンハウスへ向かったのであった。