会話のタネ!雑学トリビア

裏モノJAPAN監修・会話のネタに雑学や豆知識や無駄な知識を集めました

夫婦仲は最悪だったのでハプニングバーに行ってみた

下の部屋に越してきたババアから「子供の足音がうるさい」とクレームが頻発する。無人のはずだったときも…。もううんざりしている。ウチには小さい子なんていない(自分では動けない赤ちゃんはいる)と何度説明しても、毎日のように「静かにしてくださ
い」の手紙がドアに挟まっている。きっとキチガイなんだ。そう結論づけて、なるべく
ヤツと接触しないように過ごそうと決めた。
最近、ヨメを他の男に抱かせたい願望が出てきた。いきなり何の話題だと訝しがられるかもしれないが、とにかくヨメがいたぶられてるところを見たいのだ。どんな顔して他の男のチンコをしゃぶるのか、どうアエぐのか。あのムッチリした身体に男がどう興奮するのか。オレは興味津津なのである。ある夜、布団の中で軽くジャブを放ってみた。
「なあ、面白い場所があるからこんど行ってみない?」
「どこどこ?」
「あの、ハプニングバーっていってさ…」
眠そうだったはずの真由美の目が、いきなり睨みつけてきた。
「それってエッチなお店でしょ?」
なんだ、知ってたのか。何食わぬ顔で連れて行こうと思ってたのに。「行ってみない?」
「嫌よ、そんなトコ」
「いいじゃん、たまには刺激を取り入れないと」
「アタシ、他の人に触られるのとかイヤだもん」
行こうイヤだの争いが15分、最後には双方が譲歩した。『他のカップルを見るだけ』という約束で、カップル喫茶に行くことになったのだ。まあ、取っかかりとしてはこんなぐらいでもいいだろう。週末、娘を義母にあずけ、都内のカップル喫茶に向かった。薄暗いスペースにソファが並ぶ、よくありがちなつくりだ。 ソファに座った真由美は無言でうつむいている。
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃないよ。すぐ帰ろうよ」
まだ時間が早いのか、客は奥のソファに1組いるだけだ。チラチラとこちらを見ている。「あの2人、始めるかもな」
「もう、いいよ。そんなの」しばらく待っても何も始まらない。と思いきや、そのカップルがこっちの席の隣にやってきた。
「どうも。ここは初めてですか?」
「はい…」
30代らしき美男美女だ。こりゃ常連だな。2人はオレたちに見せつけるようにいちゃつきだした。濃厚なキスの後、胸をベロベロとしゃぶり、さらには手マンまで。興奮してきた。おい、真由美、見てみろよ…って、オマエ、目すごい輝かせてんじゃん!
「すげーな」
「うん…」
「オレらもやるか?」
「ヤだ…」
うむ、もう一押してっとこか。と、そこで男が声をかけてきた。
「彼女さん、よかったらこいつの胸を触ってあげてください」
ナイス!こうやって徐々に崩していくのが正解なんだな。さすが常連だ。
「真由美、せっかく誘ってくれてるんだから」
ヨメの手をとり、彼女さんの胸にあてがう。ほら、こうやって乳首を触ってあげなさい。最初はおずおず触れるだけだったヨメの手が、だんだん規則的に動きだした。乳首の周りを指がゆっくり動いている。そうか、真由美、そうやって触ってほしかったんだな。フェラが始まった。すると、男がさりげなく真由美の胸を服の上から揉みだす。おいおい、きたよ。きちゃったよ。抵抗しないんだな、真由美。すげー赤面してんじゃん。しかし男が、胸のボタンを開けようとするのを、真由美は身をよじって避けた。どうやらこれ以上はムリらしい。夫婦ケンカの間だけクレームは止んだその後、新たな客は入ってこず、カップルのセックスを見届けて、オレたちは店を出た。
帰りの電車内、真由美はまだ赤い顔をしていた。
「どうだった?」
「うーん、思ったより大丈夫だったような…」
「また行く?」
「あの人たちがいるときだったらいいよ!」
…あれ、ちょっとムカつくのはなぜだ?なんかヤキモチ妬いてんだけど。
「オマエ、今日あいつに胸触られて感じてただろ」
「そんなことないよ」
「絶対そうだし」
「なんでよ、なんでそんなムッとしてんの?」
「してねーよ」
「だいたいアンタが行こうって言い出したんじゃん!」
この日からオレが謝罪するまでの1週間、夫婦仲は最悪だった。 おかしなことに、夫婦ケンカ中の1週間だけ、ババアからのクレームはピタリと止んだのだ。むしろその間のほうがうるさくしていたほどなのに。そして仲直りの後は、またいつもの手紙が。
『子供の足音がうるさいです』
オレは妄想した。一家心中の道連れとなった子供は、死の前に、親の険悪な空気を感じ取ったことだろう。つまり彼(彼女)の霊は、夫婦仲の悪さが不幸へ直結することを知っているのだ。1週間おとなしくしていたのは、オレと真由美への無言のアピールだったのか…。実に数年ぶりに、父方のじいちゃんが岩手から埼玉にやってきた。80才を過ぎたというのにピンピンした元気者だ。
「ヒロシよ、結婚したんだべ?どうだ、うまくやってんだか?」
「どうもこうもないよ」
義母は変な男にだまされるし、事故るし、受験に失敗するし、由佳はAVに出るし…あ、最後のは黙っとくか。