会話のタネ!雑学トリビア

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看護婦はみんなやってる霊枢車を呼んで1回2万のアルバイト

私がとある総合病院の看護婦になったのが今からー年前。相像以上の激務に、白衣の天使なんてことばも忘れかけた半年後、顔見知りの葬儀屋にこんなことを頼まれた。

「患者さんが死んだときは、ぜひ私どもの霊柩車をお願いします」

実はウチの病院では、患者か死んだ場合、担当の看護婦が葬儀屋を呼び、死体を搬送することになっている。通常は指定の業者が取り仕切るが、患者たっての希望があれば、別の業者に依頼することも可能だ。

高橋さんから、患者さんがウチに頼みたいと口にしてたと言ってもらえませんか。ー人2万円でどうでしょう

聞けば、主任の田中さんや、同僚のカズミちゃんにも協力してもらっているという。みんながやってるならいいか。抵抗を感じつつも、私は依頼を引き受けることにした。仕事は簡単だ。ご臨終の際、

「こちらで葬儀屋さんを手配しましょうか」

と勧め、遺族の了解を取った(断る遺族はまずいない)ところで、例の葬儀屋に電話。すぐに車でかけつけるという段取りだ。報酬は、月末に銀行口座に振り込まれ、さらにバイト間(全部で10人)でトップの成績を収めれば、グッチの時計やティファニーのリングといった“ボーナス“までプレゼントされる。とはいっても、こんなバイトが頻繁にあろうハズもない。そろそろ危ないと思われていた患者が持ち治したり、逆に非番のときに死んだり、時には、他の看護婦に出し抜かれることも少なくない。中でも、主任の田中さんは、病棟の重病患者のほとんどを自分の受け持ち(担当割り振りの決定権がある)にしており、正直、お手上げ状態だ。

考えた末、私は精極的に夜勤を就くことにした。人数の少ない夜勤では、比較的自由に患者に付ける。たとえそれが重病患者であろうと、怪しむ者はまずいない。夜の見回りではICU(集中治療室)を重点的にチェック。ナースコールが入った際も、盲腸などはスルーし、脳梗塞や末期癌といったいかにもすぐ死にそうな患者の元に走る。

交通事故の重体患者が飛び込んできたなんて場合は、ソク手術室へ。もちろん尽くすが、いったんご臨終となったら、すかさず看護婦から遺族をブロック。タイミングを見計らって話を切り出す。看護婦なんて不謹慎なー私もそう思う。

が、誰に迷惑をかけているわけじゃない。むしろ、対応が迅速になって遺族は大助かりではないだろうか。私はいま、このバイトで月に10万を稼いでいる。まもなくティファニーに手が届く。