会話のタネ!雑学トリビア

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荒れると話題の沖縄の成人式で新成人に言ってやった



その格好カッコイイと思っているの??

言ってやる台詞、一発目はこれだ。カッコイイと思っているからこそやっているのだろうが、完全にダサイっつーの。
沖縄の成人式当日、1月10日。昼過ぎ、那覇空港に降り立った。事前に地元の人間から聞いたところ、午前中に式典に出席したヤンキー新成人どもは、中学校単位でグループを作り、各地のバカ騒ぎスポットに移動するようだ。毎年マスコミに取り上げられる那覇市『国際通り』は、夕方に騒ぎがピークになるらしいので、まずは北谷町へ行ってみることに。北谷の『イオン前』には、異様な集団が4、5組たむろしていた。ド派手な袴にヤンキーっぽいヘアスタイル。生で見ると、なかなか威圧感がある。
最初のターゲットは…超イカついやつはやめとこう。あの扇子を仰いでいるオールバック髭野郎だ。近付いて声をかける。
「いやぁ、すごいっすね。テレビでは見たことあったけど」
「んぁ?」
ギロリと睨まれた。普通にちょっとビビるな。
「…本当にこんな感じなんですね」
しげしげと眺めると、グラサンの口元が緩む。
「これが沖縄スタイルっす」
バカめ。感心して声をかけてるワケじゃねーよ。
「そうなんですね。でもこの格好、カッコイイと思ってるんですか?」
「はぁ?」
やはりムカついたらしい。笑みが消え、扇子を閉じた。
「意味がわかんねーんだけど」
「…いや、まぁ、とてもカッコイイとは思えないんで」
「お前、何なの?」男はすっと立ち上がると、センスの先で胸をぐいっと突いてきた。グイ!
「もう向こう行けよ」 
グイ!続けて頬も。
「早く行けって」
次はどこを突こうかという雰囲気で、扇子をゆらゆら動かしている。…こいつケンカ慣れしてそうだぞ…。このへんで逃げましょう。お次はオーソドックスなこれ。恥ずかしくないから騒いでいるんだろうが、言わずにはいられないセリフだ。先ほどの扇子君とはまた別のグループが何やら叫びながら歩いている。
「××××、一番!××××、一番!」
どうやら自分たちの地元をアピールしているらしい。いまどき中学生でもやんねーよ。これは言ってやらねば。集団の一人、オニギリみたいな髪型のニーちゃんに声をかける。
「すみませーん。××××って、オニーさんたちの中学アピールですか?」
「そうそう。××××、一番!」
声を張り上げるオニギリ君。うるさいって。
「ちょっと聞きたいんだけど、20才にもなって、恥ずかしくないんですか?」
「何が?」 
キョトンとしている。何を指摘されているのかわかってないようだ。
「中学は卒業してるわけだし、ましてやハタチにもなって一番がどうこうって」
オニギリ君は顔を引きつらせると、仲間に声をかけた。
「ねぇねぇ、バカにされてんだけど」
数人が振り返った。
「バカにしてるってどういうこと?」
「何こいつ、どこの人?」
「知らねーけど」
あっという間に4人に囲まれた。この状況は…。
「…ちょっと待って、別にキミらの地元を否定してるわけじゃなくて…。もうハタチなのに、中学生みたいな行動は恥ずかしいんじゃないかって話で」
「てめぇ、何だよ!」
胸ぐらをつかまれ、顔をはたかれた。ほぼ同時に、後ろからはがいじめにされて倒される。げっ、ふくろ叩きにされるぞ…。
「止めとけ止めとけ!」
「殺すぞ!」
「止めとけって」
襲ってくるのが2人、止めるのが2人。もみ合いになる中、何とか抜け出すや、全速力で逃げた。こえー、普通にヤバイじゃん。こういう素朴な疑問はある。低脳っぷりを数値で明確にするという、相手の逆鱗に触れかねない質問だけに、注意して臨まねばならないが。夕方4時。北谷町を後にし、那覇市の中心部、国際通りに移動した。そろそろいい時間帯だと思うのだが…。 
現場は混乱を極めていた。派手なハカマの集団がつぎつぎと集まり、例のごとく学区アピールをしながら練り歩き、時に集団同士の小競り合いが起こったりもしている。しかし、警察官の数もかなり多く、テンションが高い集団には数人が張りつくという警備ぶり。これならトラブルはそうそう起きなさそうだが。よし、オレもイカついヤンキーにチャレンジしてみようかしら。ちょうど前から、ゴリラにリーゼントのカツラをかぶせたような風貌のイカツイ兄ちゃんがやってきた。…腕っぷしはハンパなさそうだが偏差値はどうだろう?いざ、質問だ。
「おにーさん。成人おめでとうございます」
「あぁ、どうも」
ニコっと会釈するゴリラ君。見かけによらず意外とフレンドリーなやつかも。
「それにしても、ケンカ無敗みたいな雰囲気ですね?」
「いやいや、ケンカとかしたことねーし」
「ふーん。じゃあ一つ質問なんですけど、おにーさん、偏差値いくつの学校に通ってました?」
「んぁ?偏差値?」
「そうそう」
「……やーこい」
やーこい?
方言か?ゴリラ君はオレの腕を掴むと、
路地のほうに歩き出した。「やーこい、やーこい」
…もしかして、ちょっと来いってこと!?そしてこの状況って…。路地に引き込まれた瞬間、鼻に衝撃が走った。頭突きだ。
「ほい、かかってこい。やってやるから。ケンカしたいでしょ?」
くいくいと手まねきしてくるゴリラ君。ケンカ慣れしまくってんじゃん!
「ごめんなさい。悪かったです」
深々と頭をさげ、急いで逃げた。