会話のタネ!雑学トリビア

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東南アジアのラオスはクスリ好きが集まる

東南アジアの内陸国ラオスに到着し、まずはバンビエンという小さな町に向かった。欧米人向けのレストランや安宿が建ちならび、バックパッカーが長期滞在することでも有名な場所である。うさん臭い日本人と出会ったのは、川辺でたそがれているときのことだ。岩田(29)と名乗るジャンキーで、川辺で堂々とマリファナを吸ったり、さらにそれを俺に勧めてきたりと(もちろん断ったが)、大胆不敵このうえない。警察にパクられでもしたらどえらいことになるぞ。
「大丈夫っすよ。仮に捕まったところで命まで取られることはないから」
 総じて麻薬犯罪に厳しいアジア諸国の中でも、ラオスは例外的に罰則がユルく、特にここバンビエンは世界中からクスリ好きが集まる天国と言われているらしい。
「まあ、さすがに最近は厳しくなってきましたけどね。ポリ公が結構しょっぴいていくんですよ、罰金の500ドル目当てに。でも逆に言うと、金さえ払えばその場で釈放ですからね。やっぱりユルいことに変わりないですよ」
 岩田クンに誘われるまま彼の宿へ。やや手狭な客室には、ベッドが2つ置かれており、その一つに坊主頭の男がグッタリと横たわっていた。岩田クンの友人らしい。
「こいつ、昼間に変な錠剤を飲んでからずっとこの調子なんすよ」
 同じ宿のアメリカ人客にもらった謎のドラッグが強すぎて、意識が混濁しているという。それってマジでヤバいのでは?
「水を飲んで寝てればそのうち治りますよ。だいぶ顔色もよくなってきたし」
「そういえば、岩田クンって日本で何してるの?」
「んー、まあ簡単に言えばグレーな仕事ですね。少なくともカタギじゃないっす」
 そりゃそうだろう。納得だ。ふと、岩田クンがベッドの下からごそごそと何かを取り出した。包み紙と水パイプのようだ。
「何それ?」
「アヘンです」
 げげ、そんなヘビーなものまで持ってんのか!
「ケシを栽培してる村のオッチャンから激安で買ったんですよ」
岩田クンが樹液を固めたような黒い物体をパイプに詰め火をつけた。すぐに甘いような、臭いような、何とも形容しづらい匂いが漂ってくる。
「うわー、来た来た。やっべ。やっ……べ。や……」
 煙を2、3口ほど吐き出したところで、岩田クンの両目がトロンとしだし、やがて彼は完全に沈黙した。相当効いているのか、いくら声をかけても応答がない。ぐったりベッドに横たわる様は、映画で見た阿片窟の中毒者そのものだ。コエ〜。
 いくら警察の目がユルいといっても、こんな連中とかかわってちゃロクなことにはならない。てことで退散!バンビエンから首都ビエンチャンへ移動した。しばらくはこれといった出来事もなかったのだが、とある郊外の住宅街へ足を伸ばした際、道端で酒盛りしていた3人組の陽気なオッチャンたちから、一緒に飲もうと誘われた。彼らは近所に住む工場作業員で、仕事おわりに毎晩こうして晩酌をしているという。その仲間に加わってあれこれ雑談をしているうち、彼らから興味深い話を聞いた。最近、この町のはずれに、よく当たる占い師が住み始めたというのだ。
「彼、ホームレス。でもすごいパワーを持っている。未来を見る」
「本当ですか?」
「イエスエス。彼スゴイ」
 ほう、こりゃ面白そうだ。俺もぜひ会ってみたい。
「いまは夜、もう遅い。明日、俺が連れてってやる」
 案内を買って出てくれたオッチャンの家に泊まり、翌日昼前、件の占い師の元へ。
 住宅街を抜けテクテク歩くこと30分、広い舗装路沿いにちょっと大きめの犬小屋のような建物が見えてきた。そして、その軒先には、ズタ袋を洋服代わりにした汚らしい人間の姿が。あのケツ丸出しのジーサンが占い師だってのか? ウソでしょ。
「あ、あの人が占い師なの?」
「イエスエス。俺を信じろ。彼は本物だ。行こう」
 オッチャンの言うとおり、間近で見るその半裸の男には確かに〝雰囲気〞があった。ホームレスらしからぬやけに堂々とした態度。鋭い眼光。こちらの存在に気づいて、フッと微笑む仕草などはまるで仙人のようだ。占い師とラオス語で交渉してくれたオッチャンが俺に言う。
「彼にチップをあげて」
 支払う額はこちらで決めていいらしい。とりあえず5ドル紙幣を渡すと、占い師は妙な形の棒を握りしめ、ぶつぶつと呟きだした。続いて小さな袋から取り出した米粒やヒモの切れ端を俺の手に握らせ、それらをボロボロの皿に少しずつ落とせという。皿の上で音を立てながら飛び散る米粒やヒモを、占い師は真剣に眺めている。なんだか急にアホらしくなってきた。こんな子供の遊びみたいなことで何がわかるっつーのよ。
 やがて占い師はオッチャンにごにょごにょと話しはじめた。占いの結果が出たようだ。「何て言ってました?」オッチャンがニコリと笑顔を見せる。
「占い師、2つのことを俺に言った。ひとつは、お前が女好きだということだ」ずっこけそうになった。地球上にいる男の大半は女好きだろ!オッチャンが続ける。
「もうひとつ、ごく近いうちにお前の夢が叶う。でもそれは小さな夢だそうだ」
 まるで謎かけである。女好きな俺の小さな夢が叶うだって?なんのこっちゃ。
 それから数日後のことだ。前日の晩、宿で知り合ったオーストラリア人青年と遅くまで飲み明かしたせいで、昼過ぎに目を覚ました俺は、部屋の様子が一変していることに気づいた。滞在中の7人用ドミトリー(相部屋)には3人の宿泊客がいたのだが、彼らの荷物がキレイになくなっていたのだ。どうやら俺が爆睡中にチェックアウトしてしまったらしい。がらんとした部屋で、二日酔いの頭を抱えて横になっていたところに、新規の客がオーナーに連れられてやって来た。東洋系の若い女だ。
「ハーイ。日本人の方ですか?中国人のモンファンです」
「ど、どうも。ムシゾーです。もしかして一人旅?」
「そうよ。ちょっとベッドに腰かけていい? もうクタクタで」
 何でも、ラオス北部の町からバスで10時間もかけ、先ほどこの町に着いたばかりだという。それにしても彼女、なかなかの器量良しだ。キリッとした上品な顔立ち、ショートパンツから伸びる美脚。何よりその華奢なボディはモロ俺好みで、すぐにでもむしゃぶりつきたい。
「ところで、モンファンの英語ってとても上手だね。なんだかネイティブみたい」
「私、ニューヨーク在住なの。アメリカの大学を卒業してそのまま向こうの会社で働いているから」
これは良いことを聞いた。本来、中国女というのは総じてウブなものだが、アメリカナイズされてるなら話は別。きっと浮かれたホームパーティで乱痴気騒ぎをしたり、バーでナンパされた男とそのままセックスなんて経験をしてるに違いないのだ。ワンナイトラブも夢じゃないかも。そうこうしているうちに、先ほどから布団に潜りこんでいた彼女が寝息を立てはじめた。そしてモンファンが目を覚ました夜7時、俺はある重大な事実に気づく。本日は、彼女以外に新たな宿泊客が1人もやって来なかったのだ。つまり今晩、この部屋で2人きり…。ふと、あの占い師のことばが頭に浮かぶ。小さな夢が叶うって、もしかしてこのことなのか?起き抜けのモンファンにさりげなく切り出す。
「ね、良かったら一緒に晩飯で
も食べにいかない? いいレス
トランあるんだけど」
「OK! いいわよ」そうこなくっちゃ。
 しかしここで思わぬアクシデントが。レストランまでの道す
がら、雑踏を縫うように歩くうち、後ろにいたモンファンとは
ぐれてしまったのだ。慌ててあちこちを探してみたものの、姿は見当たらない。こんなことなら、前もってレストランの名前と住所を教えておけばよかった。結局、ひとりでさっさと食事を済ませた俺は、そのまままっすぐ宿へ戻った。それから遅れること4時間、そろそろ日付も変わろうかというタイミングでようやく彼女が帰ってきた。ほとんど泥酔に近い状態で。気を失うようにベッドへ倒れ込むモンファン。すかさずペットボトルの水を差し出す。
「大丈夫? 今までどこに行ってたの?」
「…バーで飲んでた。中国人の女の子たちと……」
 ロレツの回らない説明によれば、俺とはぐれた後、たまたま道を尋ねられた中国人グループと意気投合し、ディスコやバーを何軒もハシゴしていたらしい。猛烈なアルコール臭とともに、ほんのり酸味がかった匂いがツーンと漂ってくる。どっかで吐いてきたようだ。密室で女と2人きり、しかも相手は意識が朦朧とするくらいに酔っている。抵抗力ゼロの女に突撃するのはいさかか卑怯な気もしないではないが、ここはフツー行くでしょう。男だったら誰だって挑んじゃうところでしょう。ゴクリと生唾を飲み込んで、彼女のベッドに滑りこみ、頭や肩をナデナデしてみる。気づいているのかいないのか、ピクリとも反応しない。今度は首スジにキスをする。
「ううーん」と寝返りを打って、背中を向ける彼女。気にせず後から抱きつき、強引に唇を奪ってやると、彼女はクワッと目を開いた。
「ヘイ、ちょっと何してるの!やめて!」
 マジギレしてるっぽいが、コトここに至ってはもう引き下がることはできない。
「モンファン、お願い。いいでしょ?」
「ノー! ムシゾーとセックスする理由なんてないでしょ!」
「あるよ。だってほら」
 パンツの中でガン勃ちしたチンコを太ももにグリグリ押しつけると、急に笑い声が。
「オーマイガ! 何これ、かた〜い。あはははは」
 そうして彼女は優しく微笑み、俺の首に両腕を巻き付けた。
「いいわ。でも今日だけよ。私、ボーイフレンドがいるから」
 はい、出ました。今日だけなら彼氏に義理が立つというこの意味不明な理屈。何だかんだで、君もムラムラしてるんでしょうに! いやあアメリカかぶれの中国女はやっぱりいいですなぁ。こうなったら遠慮はしない。荒々しく唇を吸い、かつ小ぶりな胸を揉みしだきながら、パンティをはぎ取る。そして股間に顔を近づけ、クンニしようとしたその時……ちょっとモンファンちゃん、あなた下痢グソ漏らしてますけど!しかし、長らくご無沙汰だったセックスチャンスを、下痢便のニオイごときで放棄するほど俺はヤワじゃない。まったく気づかぬふりをして挿入し、懸命に腰を振りつづけた。窓の外では、蒸し暑いビエンチャンの夜を少しだけ和らげてくれる小雨が、シトシトと降っていた。