会話のタネ!雑学トリビア

裏モノJAPAN監修・会話のネタに雑学や豆知識や無駄な知識を集めました

子離れできないだめな母親

犯罪者だけではない。ここにもまた、だめな女がいたのだった。早婚→離婚(子供)というパターンだけじゃなく、だめな女は人間関係を断ち切って人生をリセットするのが苦手なのかもしれない。
「あ、あとは愛情ですー」

追いつめられた証人の金切り一円が響き、あまりにも寒いセリフに、法廷をしらけた風が吹き荒れた。証人は、娘が高3から覚せい剤を使用し、いったんやめたが、最近になって再開。密売人に直接電話して買うようになったことなど露知らず、突然の逮捕にオロオロするばかりの母親だ。

再開した理由は、恋人との別れ、両親の離婚による父親との別れ、愛犬との死別のトリプルショックに耐えかねて、ということらしい。半年以上にわたって週に2回ペースでやっていたというから立派な患者だが、そんなことはどうでもいい。

聞いていて嫌になるのは、娘と母親の人生観なのだ。よくある団塊フアミリー。金には不自由せず、表面的には仲良く暮らしているけど、実はまったく心が通い合ってない。娘の立ち直り計画はこうだ。

「これまで自分には目標がなかったが、夢が見つかった。犬が好きでトリマーの仕事がしたいので専門学校に通おうと思う」

いっさい働かずシャブに溺れ、今度は学費親持ちで専門学校かい。親離れする発想はないのかね。

しかし、決定的にだめなのが母親だ。トリマーの学校に行くなら全面協力したい。夢が見つかれば今後は悪いことをしないと思う。なぜなら、もともといい娘だから・・
むちゃくちゃな理屈である。こういうのを無責任というのだ。子連れでシャブに溺れる母親はかぎられているけど、こんな母親なら日本中、無数にいるのだろうな。セデジある意味こっちのほうがタチが悪いと思う

「あなたは一緒に暮らしていて娘の様子が変だとも気づかなかったんでしょう。また、覚せい剤の後遺症についても調べていない。愛情ならこれまでも注いでいたのではないですか。それで十分だと言い切れますか」

クールな検察官の指摘に、母親は取り乱す。涙を流してその場の思いつきを言葉にした。

「必要ならカウンセリングに通わせます」「どのような?どこのカウンセラーに?」

質問に答えられず、問題をスリ替えるために母親はまた絶句。

「子供に手錠をつけて家の中に置いておくわけにはいきません。バックアップはいくらでもいたしますー私は、私は子供を信じています」

その後、この母親は裁判官が見かねて止めるまで、検察官にボロカスにいわれ続けた。証人がここまでコテンパンにやられるのは初めて見た。終わってからも母親は悔し泣きしていたが、傍聴人たちは同情するどころか、振り向きもせずに法廷を出ていった。リセットしてるねえ。さすが皆さん、わかっていらつしゃる。次の裁判が待っているもんな。