会話のタネ!雑学トリビア

裏モノJAPAN監修・会話のネタに雑学や豆知識や無駄な知識を集めました

スピリチュアル人気の預言カフェで未来も占ってもらう

スピリチュアルブームも一時の過熱期に比べて落ち着きを見せたかと思いきや、なかなかどうして未だにテレビや雑誌でパワースポット特集だの幸せになれる7つの法則だの、果てはなぜかオカマの説法などを有難がる兆候が続いております。
 自分は占い・迷信・神話・宗教の類は一切信用していないし、もちろんオカルト系の話もまったく信じておらず、裏モノジャパンの心霊特集もすべて藤塚さんの演技・演出・一人芝居・自作自演だと確信している次第です。
 そんな折、都内某所で圧倒的人気を博している〝預言カフェ〞なるものがあると聞き、怒りで気絶しそうになってしまいました。
〝預言カフェ〞とは何なのか。要するにカフェを楽しみながら自分の未来も占ってもらうという、いかにもおバカな女をターゲットにしたような商売でありました。そんなものが本当に流行っているのか、一体どういうものなのか、その真意を探るべく早速足を運んできました。
 山手線某駅の改札を出て5分ほど歩くとビルの一階がその「預言カフェ」となっており、あっさり発見することができました。武者震いしながら店内を覗くと、なんと店の奥から入口方向までの細い通路の両脇に向かい合う形で椅子が置かれており、順番待ちと思しき連中がざっと数えて12人ほど鎮座しているのがわかりました。ほとんどが一人で来ている女でしたが、中には2、3人で来ているグループや男一人もいるようです。
 順番待ちの用紙に名前を書き、入口手前の椅子に着席。ふと向かい合った席に目をやるとカンカン帽を被った30代前半の男がなぜかタロットカードを高速で切っており、その隣ではMacブックを得意げに広げこれまた高速で何かをタイピングしている女がいました。これは少々ヤバい所に来てしまったなと思いましたが、もう後戻りはできないと腹をくくり待機することにしました。
 次々と名前が呼ばれていき、30分が過ぎたあたりでようやく自分の名前も呼ばれ、40代らしき女性店員がテーブルまで案内してくれました。店内は丸テーブルが十ほどあり、それぞれに1〜3人の客が座っています。店員は6名で全員女性。コーヒーを運んだり注文を取ったりしていますが、ここで妙なことに気づきました。
 手の空いた店員が客のいるテーブルに同席し、ブツブツと何か呟きだしているのです。しかも呟く前に客にレコーダーを手渡し、そこにその呟きを吹き込ませている
のです。自分は〝預言〞というぐらいだからサイババみたいな預言者が一人現れて、そいつが自分の未来なりを預言してくれるものだと思っていましたが、どうやらコーヒーを運んでいる6人のバイトらしき女性がそれぞれの席で預言を発するという画期的なシステムのようでした。しかしそれらの〝預言〞を聞いている客は一字一句逃すまいと険しい表情で聞き耳を立てており、中には涙ぐんでハンカチで目頭を押さえている女も見受けられます。
メニューには3千円から5百円まで幅広い種類のコーヒーが取り揃えられており、訊くとどのコーヒーを頼んでも預言を授かることは可能とのことなので750円の「預言カフ
ェブレンド」を注文しました。
 待っている間に周りを観察すると、コーヒー飲む↓預言聞く↓会計という流れのようで、注意書きにはなぜか「預言の録音は必須」とあり、自前のICレコーダーか、それがなければ店のレコーダーで録音。さらに音声データをメールで送ってくれるサービスまでありました。
そしてコーヒーを飲み終えたところでいよいよ女性店員が現れて自分の真横に座りました。「レコーダー貸して下さい」と言われたのでスマホを手渡すと途端に何やら早口でブツブツ呟き始めました。一瞬ノムさんでも憑依したのかと思いましたがどうやら預言が既に始まっているようです。しかしこれがまた本当に早口なので耳を澄ませても半分以上は聞き取れません。録音必須はこの為だったのかもしれません。
 どうにかところどころ聞き取れたのは
「主は貴方に決断する力や心を持ちなさいと言っておられます」
「主はマニュアル通りに生きるのではなく自分の考え、直感を信じて生きなさいと言っておられます」
「主は貴方に大きな決断が迫っていると言っておられます」
 などという言葉でした。そりゃ誰でも1、2年に一回は大きな決断をするだろうし、結局なんだか誰にでも当てはまるようなことしか言ってないようにも思えましたが、その呟きの余りの迫力に圧倒され、ただただ黙って時が過ぎるのを待つのみでした。
そのあと約3分半ノンストップで捲し立てたところでどうやら預言が終わったようで女性店員は大きく一つ呼吸して息を整え「以上ありがとうございました」と言い残し席を立ちテクテクと去って行きました。
 しばし狐につままれたような顔をしていると750円と記された伝票がテーブルの上にそっと置かれたのでお会計へ。小刻みに震える身体を小さく丸めながら急いで自宅に帰り、布団をかぶってレコーダーを再生してみるとやはり早口すぎて何を言ってるのかまったく聞き取れませんでした。