ここで公開するのは、結婚式のご祝儀ドロの手口だ。もっとも、ご祝儀ドロ自体は昔からよくあるおなじみの窃盗だが、新手口は、まず足のつかない、すなわち盗られる側からすれば何ともやっかいな手法である。注意してほしい。
ご祝儀ドロが狙うのは地方にあるどちからといえば古くて小規模な披露宴会場だ。こういった場所は、いまだ防犯カメラを設置していないところが多く、ご祝儀ドロには仕事がやりやすいのだ。
ご祝儀ドロは披露宴スタートぎりぎりのタイミングを狙って、礼服を着て出席者になりすまして侵入、祝儀袋を差し出す受付でこう尋ねる。
「どうもご苦労様です。●●くん(新郎の名前)のお友達でしょうか?」
ご存じの方もいると思うが、祝儀の受け付けを任される人間は、頻度順に以下の3パターンに分けられる。
1 新郎新婦の友人
2 新郎新婦の兄弟、あるいは親戚
3 披露宴会場のスタッフここでもし、3の答えが返ってきたときは、すっぱりと盗みをあきらめる。
「ああ、会場のスタッフさんでしたか。ご苦労様です。…あ、ちょっとごめんなさい。先にトイレに行ってきますね」
などと口実を作ってその場から逃げ出すわけだ。なぜなら会場スタッフが祝儀の受付をやっているケースは、会場側が祝儀ドロを警戒している証拠に他ならない。おそらく
過去にそういった事件があったのかもしれないが、いずれにしろ、悪事に目を光らせている場所はハナから近寄らないのだ。
一方、受付係が1か2ならばご祝儀ドロは用意しておいた祝儀袋を手渡し、席順表をもらってから会場内へ。言うまでもなく提出した祝儀袋の中身はただの紙切れだし、記帳する名前も偽名だ。まんまと会場に入ったら、そのまま中で10分ほど時間をつぶし、再び受付へ。ここでひと芝居打つのだが、その際、受付係が1か2かでその内容は多少変
わってくる。
1の場合なら席順表から新郎の親戚をひとりチョイスし、その人物として振る舞う。仮に名前がスズキイチロウなら、「すいません。先ほど記帳を済ませたスズキイチロウですが、祝儀袋にお金を入れ忘れてしまったので、いったん戻してくれませんか?」
受付係が2のときは、席順表から新郎の職場関係の人間を選び、同様のセリフを言う。
おわかりだろうか。つまり、受付係がまず知らないであろう人物に成りすませば、簡単に他人の祝儀袋をゲットできてしまうのだ。
あとは、トイレで中身の現金を抜きとり、代わりに紙切れを入れて受付に戻すだけ。堂々と立ち去れば誰にも不審がられることはない。
今後、自分自身、あるいは息子や娘が挙式を挙げる予定の人は、どのように式の準備を進めていけばいいかご理解できたかと思う。万難を排してステキな式にしてください。披露宴会場のスタッフに任せるのが一番安全です。