会話のタネ!雑学トリビア

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祭の人混みに現れる女のスリにご注意

雑誌にその道20年の熟練スリの手記が載っていた。記事には、ターゲットの注意をそらし、まんまと財布を抜きとる様々なテクニックが紹介されていたが、実際、腕のたしかなスリに狙われれば盗まれたことにまったく気づかないものだ。かく言う俺がそうだったように。連中は、こちらが想像もしないやり口でワナをかけてくる。注意喚起の意味も含め、俺の失敗談をお話ししよう。
 今年5月、友人2名(それぞれA、B)と浅草の三社祭を見物しにいった。三社祭は例年、3 日間で150万人もの人出で賑わう都内随一の祭りだ。特に最終日は、観光客が沿道を埋め尽くし、身動きが取れないほどに混む。
俺たちが出かけたのもまさにその最終日で、だからこそ物盗りの類にはちょいと用心していた。普段、ケツポケットに入れている財布をショルダーバッグにしまい、さらにはそのバッグの位置にもときどき注意を払う。これなら安心だ。ビールをグビグビ飲みながら神輿に声援を送っていると、やがて遠くの方でどよめくような歓声があがった。いよいよメインの本神輿がこちらに近づいてきたらしい。そのとき、誰かが腰をちょんちょんつついてきた。ん?
「オニーサン、ちょっとお願いがあるんですけどぉ」
2人組のギャルだ。何だかとても気恥ずかしそうにモジモジしている。
「なに、どうしたの?」
「良かったら肩車してもらえませんか?ウチらぜんぜん神輿が見えなくて…」
思わずゴクリとツバを飲み込んだ。どちらのギャルもキレイなナマ足の伸びたホットパンツ姿である。いやぁ、こういうことってあるんだなぁ。
「いいよいいよ、はいどうぞ」
鼻の下を伸ばしつつギャルの1人を担ぎ上げる。残りのひとりは俺の友人Aが担当した。
「どう、見える?」
「うん、チョー見えるよ。ヤバイ、神輿カッコよすぎ!」
ギャルがキャーキャー騒ぐたび、太ももが顔をギュッと締めつけてくる。おお!
 しかも彼女、神輿のかけ声に合わせて体をはげしく揺さぶるもんだから、バランスを崩して危ないのなんの。彼女が落っこちそうになるたび、ここぞとばかりに尻や太ももをわし掴んでやった。ああ、鼻血が出そうなんだけど。Aも同様の気分を味わっているらしい。チラッと見れば、弁解の余地がないほど変態チックな笑みを浮かべている。仲間はずれのBよ、すまんな。俺らだけこんなイイ思いしちゃって。財布がなくなっていることに気づいたのは、帰り道、地下鉄の駅でバッグに手を入れたときだ。げげ、うそだろ!?その傍らでAも悲鳴を上げる。
「えーマジかよ。俺の財布もないんだけど!」
 半泣きのAと目が合った瞬間、ハッとした。これってスリの仕業なのでは?Bの財布は無事で、ギャルに肩車をせがまれた俺とAだけが被害にあう。こんな偶然は絶対にあり得ない。おそらくギャルどもはスリの一味で、実行犯が財布を抜きやすいよう、俺たちの気をバッグからそらす役目を演じていたのだ。そうに違いない。となると腹立たしいのはBのバカだ。お前、俺たちのすぐ側にいたのに、怪しいヤツに気づかなかったのかよ。
「うん。お前の真後ろで、自分のカバンをゴソゴソ漁ってたオッサンならいたけど、別に不審者なんていなかったぜ」
 …はあ、もう最悪だ。後日、聞いたところによると、自分のバッグをターゲットのバッグと重ね合わせ、周囲にはまるで自分のバッグを漁ってるように見せかけて財布を盗むスリ技術があるらしく、おそらくそれをカマされたのだろう。とにかく皆さま、祭りの肩車ギャルにはくれぐれもご注意を。