会話のタネ!雑学トリビア

裏モノJAPAN監修・会話のネタに雑学や豆知識や無駄な知識を集めました

電線も通っていない山で暮らす人

山の中に一軒だけポツンと建つ家を、ネット地図で見つけた。実際に行ってみると、地図情報が古かったのか、残念ながら取り壊された後だった。しかしそこに家があったのは事実である。いったい誰が、どんな暮らをしていたのか。山を下り、ふもとの住人に話を聞いた。
◦◦◦◦◦◦◦◦◦◦◦◦◦◦◦◦◦◦◦◦◦◦
歩いてたおばちゃん
ああ…鎌田さんの家?アンタみたいに探しにいく人、多いんだよ。最初はこのへんに住んでたんですよ。でも色々と誤解してたみたいねえ。この町の人間がイヤになって、10年くらい前から山の中に住むようになったのよ。

歩いてたおばちゃん
ご自分で木とかを運びこんで家を建てちゃったみたいですよ。もともと大工さんだったから。 奥さんとお子さんも最初は一緒に住んでたみたい。娘さんは学校に行ってたのかしらねぇ。あんな山奥なんだから学校なんてあるわけないものね。奥さんと娘さんが出て行って、それからずっと一人で暮らしてたって聞きましたね。

定食屋のおっさん

被害妄想なんだよ。鎌田さんはね、ちょっと頭がヘンになっちゃったの。娘さんが転んでヒザを怪我したときから、町の人間みんなに嫌われてるって思いこんじゃったんだよ。学校で転んですりむいただけだよ?
私たちはもちろん嫌ってなんかいなかった。会えば挨拶したし、向こうもちゃんと返すしさあ。鎌田さん本人はぶっきらぼうな人で、ほとんど話をしたことはなかったけど。やっぱり頭のネジが外れちゃったとしか思えないな。
まとめよう。鎌田さん一家はもともと、この麓の町で暮らしていた。あるとき娘さんが怪我をしたことで、お父さんがオカシクなった。「この町の人間は自分たちを嫌っている」と勘違いをしたようだ。げるように出て行った一家は山の中に家を建て、そのうち妻も娘も出て行き、お父さん一人で暮らすことになる。亡くなったのはここ2、3年の話らしい。電線も通っていないあの山で一家がどんな生活をしていたのか、わずかでも知る人はいなかった。