会話のタネ!雑学トリビア

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本当か嘘か、友達が性欲が強かった理由

つい先日、中学からの友人・池田(仮名)とばったり出くわした。
父親が経営する建築関係の会社で働く男で、浅黒い肌に全身ピアスのオラオラ系だ。
駅前でだらだら話すうちに使ってないゴルフクラブをくれるという話になり、ヤツの実家に向かうことになった。何の話やらさっぱり展開が読めないだろうが、ここで池田という男について説明しておく。隣の中学に通っていた池田とはじめて会ったのは中学2年のころだ。
オレは友人たちと地元のゲームセンターにいた。そこにからんできたのが池田だった。
「誰に断ってこんなとこ来てんだよ? 外出ろよ」
「あ? 上等だよ!」
恥ずかしながらこのような会話をした記憶がある。その後は店の外に出てケンカ、とはならなかった。なぜか話してるうちに妙に気があって仲良くなったのだ。ヤツの家でゲームをしたり、数人でナンパに繰り出したりと中学生らしい遊びをするうちに気づいたのは、池田の半端ない押しの強さだ。
ナンパでは必ず先頭きって
「ねえねえ、ウチで飲もうよ、なぁ、いいっしょ?」
と、ものすごい大声で話しかけ、有無を言わさず家に連れ込んではヤリまくるのだ。オレも何度おこぼれを頂戴したことか。
オレたちは、称賛の意味をこめて池田を“ヤリチン”と呼ぶようになった。そしてヤツの家はヤリチンハウスと呼ばれ、オレたちの憩いの場となっていった。
なんせヤツの家はだだっ広い。敷地内には自宅の他に、親父さんの会社の寮も建てられており、庭には数10匹の犬が放し飼いにされている。友人が集まるには絶好の場所だった。
高校に入ってからは、月に一度くらいのペースでヤツの家に行き、毎回違う女と部屋でいちゃつく様を見せつけられた。まあとにかくパワフルな男なのだ。 ゴルフクラブをもらいに池田の家に着いたら、オヤジさんが話しかけてきた。
「おおータテベ君かぁ、ずいぶんしばらくだな。元気か?」
「おかげさまで。お父さんも元気そうっすね」
親父さんは「そりゃ元気だよ」と言って腕をまくり力こぶを作る。もう60才を過ぎてるはずなのにいい体してるなぁ。

「せっかくだからあがっていきなよ」居間に通され、親父さんが麦茶を出してくれた。
「タテベ君、メシまだ? あれ食ってくか?」
「え?」
「元気になるぞ〜。あっ、でも今日はさばけるヤツいないんだよなぁ。うーん」
アレってなんだ? 池田の家でメシなんか出された覚えないけど。
不思議に思い池田に視線をやれば、ヤツはなんだか気まずそうに下を向いている。
「今度来るときは用意しといてやるよ」
「お父さん、アレってなんですか?」
「ん? イヌだよ、犬鍋。まだ食ったことなかった?」
何を言ってるんだ、このお父さんは。
池田は「いいから親父どっかいけよ」と機嫌悪そうにしている。いやいや、こっちは聞きたいことありまくりだっての!
「イヌを食べるんですか?」
「そう。精力つくんだから」
「もしかしてそこの庭のイヌとか…」
「そう、昔から食ってんだから。拾ってきたりヨソからもらって、食うまでは庭で遊ばせとくんだよ」
池田の顔はいよいよ苦虫を噛みつぶしたようなひどい有様になっている。よっぽど隠しておきたかったんだな。
しかし親父さんは饒舌に語った。犬鍋は仕事が上手くいった日や社員の集まりで食べることが多く、さばくのは部下にやらせているとか。
「味ってどんな感じなんですか?」
「ちょっとクサイんだけど、ニンニクと唐辛子味噌でピリっと煮込むからウマイよ」
「犬肉って固そうですけど…」
「まあ固いとこもあるけど、ぷにぷにしてて柔らかいトコが多いかな。アハハ」
「えっと、皮から剥いでさばくんですか?」
「そうそう、ヤギと一緒。部位ごとに解体していって、そりゃあ頭だけは食わねえんだけどさぁ…」
そのとき池田が声をあげた。
「もう止めろよ! いいから行くぞ!! 」
あまりの剣幕にこれ以上は聞けなかった。

中学を出て15年、池田がなぜあんなにパワフルだったのか、やっとその謎が解けた気がした。