歌舞伎町に足を運んだところ、街中で誰かが声をかけてきた。
「キャバですか? それともヌキ系ですか?」
若いホスト風の客引きだ。
「お客さん、未成年とか興味あります?」
「え?」
不覚にも大声を出してしまった。なにせ私は筋金入りのロリコンである。興味がないどころの話ではない。客引きが続ける。
「ただのフーゾクじゃないっすよ。16、17才の女ばかり集めた乱交パーティなんですよ」なぬ、ら、乱交だと!?「いつ、どこであるの?」
「スタートは明日の午前9時。場所は熱海の某旅館です」
「へえ、温泉旅館で!」
客引きの説明によれば、本来そのパーティは会員制のため、誰でも遊びにいけるものではないのだが、男性参加者に欠員がひとり出たため、急遽、主催者が代打を探しているそうな。
「でも、内容が内容だからおおっぴらに参加者を募集できないでしょ。だから自分が路
上で声をかけているんです」
「で、いくらかかるの?」
「参加費は5万円で、行きの交通費も含まれてます」
客引きがポケットから紙きれのようなものを取り出した。熱海行きの電車のチケットだ。ほう、用意がいいな。
「どうします? こんなチャンス滅多にないですよ」
パーティは明日の午前中から夕方まで、丸々半日行われるらしい。入れ替わり立ち替わりロリちゃんたちと遊んで5万なら、むしろ激安ではないか。
「行くよ、行く行く」
「では前金でお願いします」
ATMで下ろしたカネを支払うと、客引きが1枚の名刺を差し出した。裏にはパーティ会場となる旅館名と部屋番号が書いてある。
「部屋に入るには合い言葉がいるんですよ。旅館の受付で『青い春』と言えば取り次いでもらえますよ」
「あ、そう。ありがとう!」
翌朝、めくるめくピンク色の妄想を胸に一路、熱海へ。目指す旅館はあっさりと見つかり、私はフロントのスタッフに近づいた。
「あの、503号室の人を呼び出してもらえるかな? えっと『青い春』ね」
スタッフが小首をかしげる。
「申し訳ございません。青い春様という方はいらっしゃいません」
「え? そんなはずないよ」「503号室は本日、空室でございまして」
…どういうこと? もしかして、そういうこと? 以上、歌舞伎町にいる客引きの、最新ダマシの手口だ。ヤツらの甘い言葉には断じて耳を貸さないように。