この話は、実は心理学や神経科学の研究である程度の裏付けがあるんです。この現象は、人間の脳の左右の働き方の違いに関係しています。
脳は右半球と左半球に分かれており、それぞれが異なる機能を担っています。例えば、左半球は論理的な思考や言語処理に強く、右半球は感情や直感的な情報の処理を得意としています。そして、右耳で聞いた情報は主に左脳に送られます。このため、右耳に頼み事をした場合、左脳が情報を処理しやすくなり、その頼みを論理的に判断する傾向が高まるのです。
実際に、いくつかの研究では「右耳の優位性」という現象が観察されており、右耳で聞いた情報のほうが注意が向きやすく、記憶にも残りやすいとされています。また、頼み事をするような状況では、論理的に受け入れやすい情報や説得力のあるメッセージが強い影響を与えるため、右耳に対する頼み事がより効果的であると考えられています。
イタリアのカターニア大学の研究では、ナイトクラブの外で行った実験で、人々が右耳に何かを頼まれたときの方が左耳よりも承諾する確率が高かったという結果が出ています。この実験では、研究者がランダムな人々に頼みごとをするとき、右耳に頼んだ場合のほうが、頼みを聞き入れてもらえる確率が大幅に高かったのです。
こうした結果は、右耳が情報を効率よく左脳に伝えることで、頼み事をより論理的かつ好意的に受け入れやすくなるからだと説明されています。ただし、この効果が絶対的なものではない点には注意が必要です。頼み事が承諾されるかどうかは、その内容や状況、頼み方、そして相手との関係性など、多くの要因に影響されます。そのため、右耳を使えば必ず頼みを聞いてもらえるわけではありませんが、相手に好意的に聞いてもらうための一つの工夫にはなるでしょう。
次に頼みごとをするときは、ちょっと意識して右耳に話しかけてみるのも面白いかもしれませんね。もしかしたら、頼み事がいつもよりもスムーズに通るかもしれませんよ。