会話のタネ!雑学トリビア

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横浜・桜木町は屈指のデートスポットだがデートで絶対に行ってはいけない店

横浜・桜木町と言えば首都圏屈指のデートスポットであります。海の見える夜景スポットや中華街での食べ歩き、どこを歩いても絵になる横浜の風景はまさにデートコースとして最適です。 
しかしそんな横浜・桜木町にも
「デートで絶対に行ってはいけない店」
が存在するとの怪情報が巷で流れており、紳士淑女の読者諸氏がいざという横浜デートの際に失敗しないようにと、この度チェックしに行ってきました。 
桜木町駅からほど近くのこの界隈はかなりの飲み屋が軒を連ねており、まして滅多に訪れない土地ということもあり、該当の店が見つけられるか心配だったのですが、ふらふらと探索していると50メートル先からでも一軒だけ浮いているのが確認できました。
一軒だけ空気を読めてないのがわかりました。
外装はまっ黄色で店の周りに看板がいくつも貼り付けられています。
その看板には「チンチン麺」「チョメチョメ麺」「ボーボー麺」などの文字が太い筆字で記されていました。また誤植かと思われたかもしれませんが、
そこに並んでいた文字は間違いなく、「チンチン」「チョメチョメ」「ボーボー」でありました。一つだけなら偶然かと思いますが、この3つが同時に揃ってしまっては万事休す。この法治国家で
は通用しません。完全に下ネタに走ってしまっているようです。
「食事中にシモの話は駄目」と厳しい両親に教わって育てられてきましたが、
食事のメニューの名前自体がシモだった時の対処法は教わっていなかったのでどうしていいか分からず店の前でおろおろと立ち止まっていると、
ビニールで覆われた中から店員がこちらに気づいたようで「いらっしゃい!」と威勢の良い女の声がしたので怖くなって一旦そこを足早に立ち去りました。
近所のミニストップで缶ビールを買い一気に飲み干し、気分を高揚させてから再度店に向かうと、先ほどの女店員が店の前まで出てきており、バッチリと目が合って、そのまま目を逸らすことなく入店する運びとなりました。
店内は2人がけのテーブル4つ、カウンターには8人ほど座れるスペースがあり、10人ほどの客がいました。
カウンターに座ろうとすると「ビールと餃子?」と女店員に訊かれたので「とりあえずビール」と言うと「ビールと餃子ね」
「餃子いっとこう」
「餃子おいしいから」とやたら餃子を押してきたので結局餃子を注文することになりました。店内には若かりし頃の浅丘ルリ子が来店した際の写真が何枚か飾ってあり、
天井のほうには何故か毛沢東語録が記され、さらに「チンチン麺と餃子を食べて変化のない方は健康診断をお勧めします」とか「男性はビール呑み放題、但し、会計は呑んだ分だけ頂きます」などリアクションに困ることが記されていました。
厨房から餃子が届けられたので早速食べてみたのですが、なぜ女店員があそこまで強気で押してきたのかてんで理解できませんでした。
そのあとお口直しに手羽先を注文し、ビールでチビチビやり、いよいよ締めのラーメンを注文するときがやってきました。 
上記のラーメン、それぞれの説明を読むとチンチン麺は「楊貴妃も腰を抜かすギャルのアイドル」チョメチョメ麺は「ジンギスハーンもいきり立つ、ぼくちゃんのアイル」、ボーボー麺に至っては「男のロマン」としか記されておらず、どれも何の説明力も持っておらず、しょうがないので間を取ってチョメチョメ麺を注文することにしました。
女店員に「この、チョメチョメって言うんですか、これお願いします」と周りに聞かれないように小声で注文したのですが
「え?なんです?餃子ですか?」と何度か聞き返されてしまい、ようやく注文できたと思ったら「はい!カウンターお客さん!チョメチョメ一丁!」と店内中に響き渡るほど声高に叫ばれてしまいました。
10分ほど経ち真っ赤なお椀に入ったチョメチョメ麺が運ばれてきました。ワカメと卵が入っており麺は細からず太からず普通の中華麺。スープの味もやや薄く酒のあとにはピッタリかもしれません。
しかし如何せん麺の量が異常に多く、残さず完食できるか心配になってきました。
ちょうどその時でした。入口のドアが勢いよく開き若い女の客が一人で入ってきて自分の隣に着席しました。
こんな店に女一人で入ってくるなんて…と自分が店前で躊躇していたのが恥ずかしくなりましたが、さらに驚いたことにそのあと女は間髪入れず何のためらいもなく「チンチン一つ」と注文したのです。
「チンチン一つ」です。綾瀬はるかならば一生言わない言葉をこの女は周りを気にせず堂々と言ってのけたのです。只者ではありません。
一体全体ニッポンの道徳やモラルはどうなってるんだと肩をワナワナと震わせているうちにチンチン麺が女に届けられ、女は一心不乱にその麺をすすり始めました。隣ではチョメチョメ麺を食する自分。
そこで突然天啓が閃き「これは声を掛ければ間違いなくヤ
レるのではないか」と根拠もなく思いました。チョメチョメの横でチンチン、間違いなくOKサインではないでしょうか。 
なので女がラーメンのスープを底まで飲み干したタイミングで「よく来られるんですか」と勇気を出して声をかけてみました。
女はこちらを見て目を丸くして、首をひねり、何やら広東語らしき言語でペラペラと話し始めました。そこで初めて女が「チンチン一つ」と躊躇わずに言ったことに合点がいきつつも、もはやあとには引けず、スマホのアプリを検索して広東語をどうにか話そうとしましたが時すでに遅し。
女はこちらを怪訝な顔でチラチラ見ながら会計を済ませてそそくさと店をあとにしました。一人残された自分はチョメチョメ麺と何故かもう一人前運ばれてきた餃子を涙をためながら食しました。