会話のタネ!雑学トリビア

裏モノJAPAN監修・会話のネタに雑学や豆知識や無駄な知識を集めました

換金できる競馬ゲーム

先日、フラついていると、表に「ゲーム」と書かれた1件の店を見つけた。
構えは普通のゲームセンター、というよりはむしろポーカーや雀ピュータ系の作りな
のだが、ガラス越しに、よくゲーセンに置いてあるコイン式の競馬ゲームが見える。

おもちゃの馬がグルグル回るのを、大勢で囲んでワイワイガヤガヤ遊ぶアレだ。
なんであんな健全なゲームがこんなとこに?普通のゲーセンなのかいな。
不思議に感じながらも思い切って入店。と、おっさん店員がするどい眼差しを向けてきた。

「初めて?」
「ええ、はい」
「ふん」
「・◇DD」
なんだこの雰囲気。やっぱただのゲーセンじゃないよ、これ。つか、完全にソッチ系の店じゃん。
「初めてじゃダメですか?」
脅えるオレの全身をジロジ口なめ回すように観察した店員は、まあしょうがないかと
いった顔で背を向けた。

入店OKらしい。初顔を迷惑がるこのムード、違法性をビシビシ感じる。ポーカーゲーム屋みたいに換金してんじゃねのか?

しかし入ってみたはいいが、どうやって遊べばいいのか。
とりあえずコインゲームなんだから両替しとくか。
両替機に1千円を滑り込ませたところ、チャリンと出てきたのは大型のコイン-枚のみ。ゲッ、1千円で1枚かよ・どんなゲームなんだ…。青ざめる俺に、店員が声をかける。
「それ、そっちに入れて」
言われるまま、競馬ゲームの席に座り、コインを1枚投入。するとコンピュータ画面
にポイントの文字が現れた。
なるほど1ポイント20円か。
じゃあさっそく賭けてみつか。6頭立てで、賭け方は単勝、連複の2通り。ゲーセンのマシンと同じだ。
一応、各馬の特徴として、「差し」だの「先行」だのと書いてあるが、機械の馬なんだからこんなもんアテにはならん。むしろ参考にすべきはオッズだ。大抵、こういうゲー
ムって、2倍3倍の低オッズで決まるんだよな。
単純な予想の末、オッズ3倍の単勝2番に1ポイントをベット。
パッパカパーン
安っぽいファンファーレの後、各馬スタート。ノロノロと1周半ほどしたところで、
2番がトップでゴールし、目前のコンピュータ画面に「的中」の文字が光った。イエイ。といっても1ポイントの3倍だからプラマイ2ポイントの増。ショボイことこの上なしだ。
次のレースは5ポイントぐらい張っとくか。つってもオッズ3倍のとこだけど。あち
や、今度は負けちったよ・
こんな調子で勝った負けたを繰り返すうちに、突然、隣の席で遊んでたニイちゃんが店員に声をかけた。

「これ、もうアウトして」
アウトだと?
横目で見ていると、のこのこやってきた店員が画面を確認し、機械の下をガチャガチ
ャした後、その場で千円札の束を手渡した。
何のことはない。ポーカーゲーム屋と同様、きっちり換金できるのだ。

「あの〜アウトって何ポイントからできるんですか?」
交換率を知るため、店員に尋ねてみる。
「50から」
「50で1千円?」
「そうそう」
等価交換か。ボッタクリじゃねな。よし、こんなチマチマしたことはやってられん。
本気で行かせてもらおう。ん〜、次のレースは、ん〜、ん〜と…。
元々、ヨミもくそもないところに「換金」の概念が入ってくると、ますますオッズしか見なくなる。どうせなら200倍、300倍のとこに賭けて夢を見たくなるもんだ。
てことは次は1,3の245倍だな。
パッパカパーン
来いよ1番、よし3番もなかなかいい位置取りじゃないか。よし、そのまま行け。おっ、えっ、あれ…。
大穴なんだから来なくて当然なんだけど、第4コーナー付近で電源が切れたかのよう
にスピードを緩める走りはどうなのよ。疲れたのか?んなアホな・
しょうがない、次はこの356倍だ。あ、負けた。ん〜
次は512倍だ!あまたやられた。コインを買い足し買い足ししながら、数十レース。ようやく俺は一つの結論に達する。
大穴は来ない。
たま〜に30倍程度で決まることはあるが、万馬券となるとこれがまったくと言ってい
いほど出やしない。ほとんどは本命で確定だ。
この特徴からして、数百倍を目指すよりも、2〜3倍あたりの固いところに大
量ベットするほうが賢明なのではないか。いや、絶対そうだ。そうに決まってる。
っことは、次は単勝5番の2倍だな。

挙に50ポイントぐらい賭けとくか。チクシヨー、金銭感覚が麻陣してやがる。
パッパカパーン
よつしや、行け。5番5番。いいよそのまま逃げ切っちゃえ。
★機械なんだから、誰も賭けていない馬が「来る」ように設定されていたとしてもおかしくはない。いや、金がかかってるとなればそのほうが自然なことのようにも思える。
しかし本命に厚く張ったときに限って、大穴が出るってのはやりすぎなんじゃないでしょうか。当日の収支、マイナス8千円也。