結婚詐欺とは、結婚を約束することで相手の信用をとりつけ、金品を編し取る行為のことだ。あらゆる詐欺の中でも古典的、かつべーシックな犯罪と言えるが、ここ最近で目立つ手口は登場しているのだろうか。
「そんなのないですよ。単純に結婚をダシに女から金を編し取るだけですから、今も昔も変わらないんじゃないですか」
そう語る宮島氏(仮名)は、現在までの約20年間で、約20人以上の女性から数千万もの金を編し取った人物だ。本人日く〔筋金入りの結婚詐欺師〕という。
「ただし、出会いのきっかけだけは新しいものが増えました。パソコンや携帯の出会い系サイト、あとはお見合いパーティとかね」
氏によれば、出会い系サイトは別にしても、パーティの場合、女性の収入や職業にまで限定が付くものがあるので、高額を狙う詐欺師たちには人気が高いという。
「きっかけなんてどうでもいいんですよ。重要なのはもっと基本的な部分。女性が訴えてきた場合どう対処するのか、訴えられないように何ができるかなんです」
そのためには、まず結婚詐欺を立件するに必要な、次の3つの要件を知らなければならない。
①始めから結婚を材料に、財貨を編し取るつもりであった。
②結婚する気がないのに、結婚すると信じこませる行為をした。
③被害者が騙され、勘違いし、財貨が交付された。
逆に言えば、それを否定する内容を立証できさえすれば、たとえ裁判になっても無罪を勝ち取れるというわけだ。
宮島氏によればポイントは「お金を返す意思の有無』と「結婚の意志の有無』の2点だという。
「金を借りた後でも、結婚の意思があることをアピールすればいいんです。例えば、実際に借りた金を、その女のために使ってやるんです。1万円借りても、3千円の花束を買って渡すんですよ。相手を好きだと思わせて安心させられるし、金を貸したことに不安を持っていても、目の前の花束を見て、この人なら大丈夫と思ってくれますよ」
つまり相手の女性に対する好意を形で残すことが大切なのだ。もちろん、買った品物の領収書を取っておくことも忘れてはならない。
もしも裁判になり『借りたお金」を相手のために使ったと証明できれば、結婚の意思を証明する材料として大きな意味を持つからだ。
さらには『金を返済する意思』を証明するため、例え500円でも千円でもいいから返しておけば、返済の意思アリと判断され、詐欺罪に問われにくくなると氏は言う。
「僕の場合は、相手を安心させるために借用書も書いてます。ただし、名前の漢字を一部変えて、ハンコも押しませんけどね」
20年間で一度たりとも訴えられたことがないと豪語する宮島氏。
詐欺る目的ならどんなブスでもヤレる
彼の騙し方は極めてオーソドックス、かつ慎重だ。
段階を追って紹介しよう。
ターゲットの選定
当然、金のある方.偶然知り合った女性に資産、貯金などの金があればいいが、手っ取り早いのは、名簿屋から資産家、高額所得者のリストを購入する。
ターゲットへの接触
相手に合わす。飲み屋で働いていれば店に通うし、OLなら業者のブリをして会社に入りこむ。某大手企業の女を狙ったときは、相手の会社に直接出向き、面会を求めたという。
「受付に降りてきた女課長には、誰かにイタズラされたと謝罪し、いったん別れ、その後、素行調査を開始。馴染みの店で偶然を装い『また会いましたね』とデートに誘ったんです」
肉体関係
「セックス抜きで金を引っ張った経験もあるけど、あくまで女性次第。肉体関係を結んだ方が進行は早いですね」
経験上、お金持ちの女性にはどういうわけかブスが多いというが、詐欺目的なら、どんなブサイクでもヤレると氏は話す。
先行投資
男女の関係が深まったとしても「金を貸してくれ」と口にする前 に、それなりの先行投資が必要。 先に述へたように、すべて「結婚の意志」を証明するためだ。
金を引っ張る
相手の素性、仕事、貯金、 出会ったきっかけによって、 お金の借り方は変わってく るが、大金をパクるなら、 最初の2カ月はマメに返すの が基本。この実績が相手に信用 を生み、同時に昼を返済する意 思」の証明にもつながるのだ。
こうした手口は変わらずとも、ターゲットを取り巻く環境は、 少なからず変わったといつ。長引く不況が女性たちの金銭感覚を厳しくし、簡単に金を貸さなくなったのだ。 「もともと結婚詐欺は時間をかけて落とすものだけど、相手の信用を得て、金を「借
りる」と自体が難しくなりまし た。引っ張る額も小さくなって、 5万、10万のはした金ばかりですよ。あんまオイシイ商売じゃないね」