会話のタネ!雑学トリビア

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厳格な式典の最中にこそ笑いたい動きたい

公衆の面前で失神している英国近衛兵・ジョー(仮名)。
この写真の何が凄いって、レゴ人形をそのまま横にしたような大胆な倒れつぶり。

急性貧血で脳の酸素が不足、ブラックアウトを起こした人間特有のものだ。簡単にいえばこのジョー、体が弱いのである。
そもそも「ひ弱なヤシが近衛兵なんかやるなよ」という問題があるわけだが、それ以上に深刻なのは彼の未来だろう。
イギリスにおいて近衛兵は名誉ある存在に他ならない。革命記念日をはじめとした国家的行事で女王の身辺警護を行い、式典に華を添えるのが主な任務である。

そして、彼らにとって最も重要な決まり事が「笑わない」「動かない」「動かさない」
の3つ。

まるで非核3原則だが、本当だからしかたない。
誰も手を貸さないのは、背景にそういった理由があるためだ。たとえ親友が隣で泡を吹いて倒れても、動いてはいけない。それだけ厳格な世界なのだ。
式典の最中に倒れてしまうことの意味が、もうおわかりだろう。
このジョー、おそらく分後には全ての荷物をまとめて民間人に逆戻り。故郷に帰れば自慢だった息子の都落ちにガッカリした両親の視線が刺さり、ゴシップが大好きな近所のオバハンからは、「ひ弱なジョー」や「タマ無し息子」と蔑まされるに違いない。
再就職が叶っても「貧血ジョー」
のアダ名で一生呼ばれ続けることは必至だろう。出社したら机の上にレバーが置いてあったなどの仕打ちを受ける可能性だってある。ああ、恐ろしい。
それにしても、この写真に込められた人生の濃密さとマヌケさはどうだ?たった一枚の画像が、これだけの物語を語ってくれる。まさにバカ画像のすばらしさだ。
とりあえずジョーの人生に黙祷を捧げたい。