会話のタネ!雑学トリビア

裏モノJAPAN監修・会話のネタに雑学や豆知識や無駄な知識を集めました

鮭の産卵イクラの密漁は素人の出る幕なし

ハタチだったオレは親元でプータロー生活を送っていた。場所は道東の某市。
鮭やマス、カニを獲る、温泉で生討成り立つ常な観光地である。

ジャガイモやトウモロコシを始め、鮭の一本釣りは、プータローのオレにとってヒマ潰しになった。そんなある日、思いついた.

〈イクラを密漁して、一儲けできねえべか〉
鮭が鳥の海を息した後、生まれた川に戻って産卵するのは、
皆さんもご存知のとおり。実際、真っ黒に染まる。
その膿から取り出したイクラは、客に売れば金になるんじゃない?

「と、思うんだけど、一緒にやんないかい?」
さっそく悪友の高木に相談して
みると、ヤシは意外にも渋い顔で返してきた。

「そんなのダメだって。シャケの密漁はヤクザの資金源なんだから。素人の出る幕じゃないくさ」
「ヤクザか…」
のっけから意見を浴びせられたものの、簡単にはひけない。どうやってメスだけ釣っているんだくか。怖さより興味が先にたつ。

「簡単だって。引っかけ針っていう、カギ爪みたいな針金で鮭の身体を強引に引き揚げるんだわ。何千、何万匹といるから、もう入れ食い状態よ」

「へぇ。で、オスが釣れたらどうすんのさ」
「川のシャケは身がぜんぜんうまぐねぇから、そのまま投げ捨てるんだ。で、メスだったら腹をかっさばいて子だけ出して、後はポイ」
「んで、イクラはなんぽぐらいになるの?」
「クーラーボックス一箱で20万とか言ってたかな」

マジか。それだけあれば1カ月は十分に遊べる。確かにヤクザは
怖いが、川の流域は広い。滅多に鉢合わせすることもないだろう。こりやあ、やるしかないくさ。

翌日早朝5時、オレは嫌がる高木をムリヤリ引き連れ鮭だらけの川へ出向いた。生い茂る雑草の中をヒッソリ進むオレと高木。河口付近から上流は、お上が認定した禁漁地区だ。カンケーねえ、イクぞ!
と、リキんだのも束の間、見張りのチンピラにアッサリ捕まった。
ドエライ剣幕で怒鳴られ、チンピラの言うことには、
禁漁区はいくつかの組織で縄張りが割り当てられてるそうだ。高木
の言ったとおり、これは素人の出る幕じゃなさそうだ。