「面白いノミ屋があるから一緒に行かないか」
競馬歴8年出版社に勤務する僕の携帯に、大学時代の友人で競馬仲間のAが電話をかけて きた
「面白いって?」
「いや、仕事で知り合った人から誘われたんだけど、マンンョンで馬券が買えるんだ」 「そんなの、歌舞伎町に行きゃあるじゃん。船券も車券も」
「違って。そこは単勝しか賭けられなくてさ。で、その成績しだ いで女が抱けるらしいんだ」
「なんだよソレ。言ってることがわかんねー。単勝馬券しかかえなくて女が抱ける、ってどういうことじゃい。」
「いや、オレもそれぐらいしか聞いてないけど、とにかく毎月末の日曜日だけやってるらしいから、 行ってみない?」
ウサン臭そうな話ではあるが、心は動く。博打と女がセットになった遊び場。
いかにもソソられるではないか。
そこで、僕はAに、この話をフッてきた人物にもっと詳しい話を聞くように頼んだ。
金はいくらぐらい持っていけば いいのか。
どんな客層か。警察に踏み込まれる危険はないのか。そして、どうしたら女が抱けるのか。 気になることは多い。
数日後、Aからの電話でわかった
レースの単勝馬券(ー位になる馬を当てる)のみ。
馬券の購入はーレース最低2マン円以上。買わないレースがあってもいいが、女が抱ける権利があるのは全レースに賭けた者のみ。
よって、このかゲームに参加希望の者は当日、第1 レースがスタートする前に最低24万はいるってこと
「いや、それだけじゃなくて、もしその女の抱けるゲームで負けたら、勝った人が女とエッチする金を負担しなきゃいけないらしい」
「勝ち負けは、どうやって決まるんだ」
「いや、それが詳しいところまで教えてもらえなくて。けど、その人が言うには最低でも50万円は持って来ないと恥をかく」
オレは迷った。ルールはよくわからないが、もしビリになったら当然、馬券も当たってない50万円丸々持っていかれる ことになる。これは痛い。ヤメとくか。
しかし、オレは誘惑に勝てなかったことと、7月になれば ボーナスが入ることを当て込み、 参加を決意する。要は勝てばいいのだ。
当日オレはAを誘ったYさんと一緒に会場を訪れた。場所は目黒のマンションの一室で、すでに、20畳はあろーっかといっリビングの大型ソファに15人ほどの男性客が座って いた。
どんな連中かはわからないが、身のこなし、モノ言いからして、みなソレなりに遊び慣れてはいるようだ。 35インチTVの画にはグリーンチャンネルと思われる競馬中継が流れ、大理石のテーブルには競馬新聞メモ用紙に赤のサインペン、さらに、お好きに吸ってくださいということか、数十本の煙草が管に詰めて置いてある。
アルコール、ソフトドリンクは飲み放題らしい。
女の子はあとには来ます。 いよいよゲームスター トだ。
ー番人気ばっかり買い続けても女とヤレない
事はさほど単純ではないのだっ
「着順の基本ポイント数 ×その馬の人気順位」
この世にも珍しい競馬単勝当てゲームのシステムを説明しておこう
かえるのは全レースとも単勝馬券1点のみで、投票金額は最低2上限50万円指定の用紙に買い貝金額、自分の名を書き、金と一緒にスタッフに渡せばOK。
レース確定後速やかに、的中者にはオッズに応じた金額が払い戻される
ここまでは巷のノミ屋とさほど変わらないが、珍しいのは、自分の馬が3位までに入るとー位30P、2位10P、3位5 Pと、ポイントが与えられる
女が抱けるのは、全レースが終了した時点でポイントを稼いだ上位3名。
優勝者は6人いる女性のうち3人を、準優勝者は2人を、 3位に入った者はその中のー人をマンションで自由にできる。
恐いのはこの女たちのお楽しみ代をポイントの低い3人が負担しなければならない点
女はー人につき7万円だそうだから、つまりビリが3人分の21万、ビリから2番目が14万、3番目が7万円の支払いとなる。競馬に負けて、 勝ったヤツらのエッチ代も負担。 実に屈辱的である。
こうなると、配当はともかく、 ポイントを稼ぐなら、ー番人気、 2番あたりに賭け続けるのが腎明に思える
1着だけならまだしも3着馬までポイントがもらえることからしても人気を集める馬に賭ける方が得なことは明らかだ
が、さほどにこのゲームは甘くない。
3着馬までに与えられるポイントは、あくまで単勝1番人気が来た場合の点数。
もし2番人気の馬がー着に来たら倍の60P、3番人気なら90Pと、実際は「着順のポイント数×その馬の順位」で与えられるポイントが大きく変わってくるのだ。
ー番人気馬に賭け続け、それを7レース分当て稼いでもも8番人気で1着に来た馬をほんの1回当てた方がポイントが高いのであるー
競馬の勝ち負け、自分の順位、 他参加者との駆け引き等々、あまりに考える要素が多く、ビリから3番以内は何としても回避しなければならないが、女が抱けるか否かは運しだい。
実際、ゲームが始まると、他の参加者〈僕を除いて12人)馬のみに集中し、自分の好きに馬券をかってるようにみえた。
場がどよめいたのは、午後の6Rが終わって10分ぐらいたったときのことだ。本日の商品である女性6人がバドガールのコスチュームで入ってきたのだ。
状況としては、6人きて、そばに寄り添い水割りなんぞを作ってくれる絵を想像してもらいたいが、オレはこれですっかり舞い上がってしまった。