ヤンキーという人種は、普通を嫌い、「枠にはまりたくない」なんて言いながら、ボンタンとか剃り込みといった、枠にはまった不良スタイルは破らない。
成人式の連中も同じで、ハカマだけはちゃんとはいてるものだ。
本気で我流を貫きたいならパンツ一丁で来てほしいんだけど。
髪の毛を短く刈り込んで頭に星のマークを作ったニーちゃんに聞いてみよう。
「どうもぉ、成人、おめでとうございます」
声をかけると、大きな返事がかえってくる。
「うぃっす!」
「テンション高いっすね。髪型もすごいし」
「渋いっしょ!」
「どうしてそんな髪型にしてるんですか?」
「何となく」
はっきり言えよ、目立ちたいからなんだろ?
「してる人間がいないから、やったんじゃないんですか?」
「まぁそうね」
よし。少々誘導尋問になったが、枠にはまりたくないという意志は聞けた。
では、言ってやろう。
「だけど、人と違うことをしたいなら、ハカマは違うんじゃないですか?
ハカマじゃなく、パンツ一丁で来ればよかったのに」
「何いってんの?」
「キミの矛盾を指摘してあげてるんですよ。何ならここでハカマを脱いだ…」
胸ぐらを掴まれた。相手の顔がぬっと近寄ってくる。
「やーふらぁか?」
…また方言か。なんか知らんけど、相当カチンときてるってことね…。ま、言うこと言ったし、退散させてもらいましょう。