会話のタネ!雑学トリビア

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無添加食品は本当に無添加なのか原材料欄の表示法について尋ねてみた

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パッケージに『無添加』と書かれていても、裏の原材料欄にはワケの分からぬ添加物がテンコ盛り、というケースが少なくないのだ。中でも、特に顕著なのが、めんつゆやタレなどの調味料、ハム・ソーセージなどの保存可能な食肉、農産・水産のいわゆる「乾物」関係。いずれも、原材料欄には「蛋白加水分解物」「アナトー色素」「パースン」「キサンタンガム」「香辛料抽出物」など、聞き慣れない単語がズラリと並んでいる。なんだ、コリャ。無添加食品は《何も添加していない自然食品》のことじやないのか?これではまるで《添加物の多い無添加食品》を食わされてるようなものではないか。添加物が入っている食品が、なぜ「無添加」と表示されるのか。取制を進めていくうち、食品業界の裏事情が見えてきた。
まずは、食品メーカーに話を聞いてみよう。最初は焼肉のタレで有名なエバラ食品だ。お客様相談室に電話を入れると、すぐにオペーレータの男性が登場。俺は「エバラのタレを買った者なんですが」と前置きした上で、疑問を投げかけた。
「ソチラの製品には、【無添加】という表示がありながら、実際には添加物がずいぶん入っているものが多いですよね。なぜ無添加という表示をするんですか?」
「それは、国に認められていない『未承認添加物』は入っていませんという程度の意味なんですよ」
担当氏によれば、添加物には、承認添加物と未承認添加物、さらに食品添加物と化学添加物という、合計4種類があるという。「当社の場合、承認済みの食品添加物しか使用してませんので」つまり、承認添加物と食品添加物なら、どれだけ添加していても、無添加表示OKってわけか。それはオカシクありませんか?
「そんなことありませんよ。よその会社にも聞いてみてください。では失礼します」
取り付く島もなく、電話を切られてしまった。続いて、埼玉県内にある健康食品販売チェーンへ。無添加検査済み合格のマークが張られていた商品を購入し、店長氏に尋ねる。
「この中には、ずいぶん添加物が入ってますよね。だとしたら、無添加食品というのは、何を指すことばなんでしょうか?」
「組合の商品を販売担当してるだけなんで、成分とか聞かれても困りますね」
わからないって、実際に売ってるのはアンタたちだろ。少しは食わされる側の身にもなってくれよ。同じ質問を管理・管轄している『無添加食品販売協同組合』本部にもブツけてみた。すると、「添加物というのは、食品を製造する過程で、必要不可欠な重要な素材なんですよ。無添加で食品製造なんて、無理に決まってるじゃないですか」
担当氏の説明では、添加物なしでは、食品を形作ることはもちろん、まったく保存がきかなくなるため、商品にならないという。「では、なぜ【無添加】表示にこだわるんですか。どうしても必要なモノなら、【この食品には次の添加物が必要です】と正直に書けばいいじゃないですか」
「そういった意見は、国に言っていただきたいですね。添加しても無添加で通るんですから。まあ、無添加食品というのは、【安全な添加物のみ使用したと理解いただきたいですね」
国、国、国って、いったい消費者の健康をどう考えてるんだ?
食品表示問題を担当するのは、農林水産省と厚生労働省。まずは、前者に話を聞きにいってみよう。例によってノーアポ突撃だ。今年5月下旬、東京霞ケ関にある農水省の消費安全局表示企画課を訪問。担当者に突然の訪間の非礼を詫びた後、無添加表示について尋ねたところ、「会議を増やします」「どの成分が気になりますか?」
的を得ない。ばかりか、二言目には「厚生労働省に聞いた方が早い」って、これじゃタライ回しと同じじゃん。そんなわけで、厚労省の食品安全部基準審査課を訪ね、農水省でのやりとりを話す。
「…というわけなんですが、なぜ添加物が入った食品に【無添加】の表示が許されるんでしょう?」「実は我々も、それで頭を痛めてるんですよ」
担当氏によれば、消費者からも同様の問い合わせやクレームが多いらしい。
「例えば、合成着色料無添加と表示するのはいいんですが、あまりに【無添加】の部分を大きく表示する【特定強調表示】というらしいと、その表示で、全てが無添加といった印象を与えかねないんですよね」おっしゃるとおりで、国としては、無添加表示について、何か規制のようなものは設けていないんですか?「現在のところは、特にこれといったものはありません。我々厚労省をはじめ、各種専門機関で問題なしと認定された添加物については、裏の欄に全て記載すれば、【無添加表示】ができることになってます」エバラがいっていたとおりだ。どうやら、国に認定された添加物のみ使用した場合、食品に付けるキャッチフレーズの中身は、ほぽ食品会社の判断に任されているようだ。
「でも、添加してるのに無添加ってオカシクないですか?」
「オカシイんですよ。先日もシンポジウムがありまして、無添加表示は好ましくない、【●●不使用】といった表現に変更すべきという意見が大多数でした」
「じゃあなぜ、改善しようとしないんですか」
「もちろん、一つでも違反添加物が人っていれば、直ちに指導を入れますよですが、範囲内である場合は、表示の指導は厳しいのが現実ですね」
「なぜですか?」「すべてチェック出来ないからです。チエックには、莫大なコスト、人員が必要ですから、全チェックを義務化することには反対が多すぎるんですね」
結局、カネかよ…。俺は、肺に落ちない気分のまま、霞ケ関を後にした。
無添加食品の正体はわかったが、問題はその安全性。使用されている添加物は、体に害がないものばかりなのか?缶詰が有名なはごろもフーズに電話をかけ、添加物に詳しい専門家に聞いてみた。すいません、この『蛋白加水分解物』って何なんですか?「植物性、動物性の蛋白を分解して、いわゆる【アミノ酸】の形にした物ですね。食品に旨みやコクを出すもので天然・自然調味料といったところでしょうか」「ソレは食べても絶対に安全と言い切れるんでしょっか?」
「ん、天然の食品扱いですから、安全とは思いますけど・・」
「ところで、一口にアミノ酸といっても、いろいろ種類があるようですけど、具体的には、どんなアミノ酸でしょつか?」
「どんなと言われても…。おそらく、いろんな種類のアミノ酸が混じって、相乗効果でおいしくなると思うんですけど」
「安全性の試験はしっかり行ってるんですか?」
「い、いや、テストはしてません。安心な業者からしか原料を仕入れてませんから・・」「その業者が安心というのは、どんな根拠ですか?」「・・」
もう十分か。俺は丁重に礼を言い、電話を切った。