東京や大阪などの都会人にはなじみが薄いかもしれないが、地方での乗り合いバスといえば、乗った距離だけ運賃が加算されていく後払いシステムが主流だ。さて、私の友人にバス会社で運転手をしている男がおり、以前そいつから興味深い話を聞いたことがある。この後払いシステムを悪用し、バスにタダ乗りする輩が世間にチラホラいるというのだ。連中のやり口はこうだ。まず目的の停留所に着くと、さも恐縮した感じで運転手に言いよってくる。
「すいません!小銭を用意するの忘れてました。万札しかないんですけどどうしたらいいですか」不思議なことに、1万円の両替機を置いてあるバスは日本に存在しないらしくとにかくこういう場合、運転手の答えは必ず以下のどちらかになる。
A「次回乗ったときに今日の分を払ってください」
B「あとで営業所の方で精算してください」
つまり、事実上、タダ乗りを黙認してしまうわけだ。その理由について友人はこう説明した。
「客を咎めたところで小銭がない以上はどうしようもないんだよ。むしろかえって運行の妨げになるだけだから、さっさと降ろしてしまえって会社からも言われてるんだよね」バス会社も大変だ。