会話のタネ!雑学トリビア

裏モノJAPAN監修・会話のネタに雑学や豆知識や無駄な知識を集めました

リア充リーマンやOLの間で昨今流行っているの朝活

意識の高いリア充リーマンやOLの間で昨今流行っているのが「朝活」なるものだという。仕事に行く前の朝の慌ただしい時間帯を有効に使うことによって毎日の生活レベルの向上を目指すのが目的らしく、朝7時からわざわざスポーツジムで汗を流したり、カフェでコーヒー飲みながらわけのわかんないクロスワード解いたり、挙句の果てには公園のベンチで朝刊読むのも朝活だって言うんだから、それなら日曜の朝にウインズ後楽園近くの喫茶ルノアールで競馬新聞読んでいる我々も朝活していることになるのかもしれない。 
そしてそんな朝活の中でもさらに意識の高い連中が集まるのが朝ヨガだという。ヨガをしてる時点で既にちょっと変わり者の印象が強いが、それを仕事前の早朝に毎日やろうというのだからもはや尋常な精神ではない。参加するにはネットで都合の良い日時を事前予約するだけ。本来は月謝1万5千円前後するのだが、初回の体験コースは1000円で参加可能。今や都内のビジネス街には大抵一つはヨガ教室があり、その多くは朝ヨガを売りにしているという。
そんなわけで年が明けたばかりの平日早朝、ジャージとタオルを持参して某ビジネス街のヨガ教室へと向かったのだが、午前7時開始なので6時過ぎには自宅を出ることになる。1分でも長く眠りたいこの時間帯に無理して2時間も早く家を出てヨガやってる時点で生活に支障をきたしている気もするが、6時台はまだ電車もそれほど混んでいないのが嬉しい。 
ヨガ教室がある雑居ビルのエレベータで4階にあがると目の前に下駄箱があり、左には教室の入口。恐る恐るそのドアを開けるとヨガウェアを着てストレッチしている数名がこちらを一斉に振り返って
「おっはーよーございまーす!」
と早朝にもかかわらずフルテンションで挨拶してきたので思わずそのまま帰ろうかと思ったほどだった。顔をこわばらせたまま入口で立ち尽くしているとニコニコした作り笑顔100%の妙齢の女性がこちらにクネクネと近づいてきて「初めての方かしら?こちらに記入して」とアンケート用紙を渡されて受講代を支払う。女ばかりのヨガのイメージだったが出勤前のリーマンらしき男性が3名、女性は4名いて自分を含めるとちょうど男女半々の割合となり、自分と小太りの外人の女以外は全員常連の様子だった。
出会いを求めてきている輩もいるのか会話も弾んでいるようで「秩父の有名な神社にお守り買いに行っちゃってさ、渋滞で大変」とか
「あたしは元旦に善光寺で蕎麦食べたけど2千円もして最悪ぅ〜」
などと正月をいかに有意義に過ごしたかを積極的に話し合っている。カーテンの向こうでジャージに着替えると50過ぎのリーマン男が
「初めてなら真ん中のマットでやっちゃいなよ」といきなり10年来の親友のような距離感で話し掛けてきた。しょうがないから先生の目の前のマットが自分のポジションとなって7時ジャストにヨガ教室スタート。
有森裕子に似たスッピンの女性講師が「まずはリラックス体操しましょう」と言って手を左右に振り子のようにブラブラと振り出してそれを全員が真似ながら進行していく。それ自体は何の問題もないが、何が辛いかってとにかく場がアットホームな雰囲気で、生徒全員がヨガをしながら延々と世間話をするという点である。「紅白見ました?」とか「相葉君頑張ってたね〜」とか「お雑煮食べ過ぎて太っちゃってさ」とかこの2017年にもなってこんなつまんない会話が世の中で成り立ってるのかと驚くほどのベタなラリーがずっと続いていくのである。それが気になって全然リラックスできないし、むしろその会話の輪に入っていけない自分と外人女は朝からブルーな気分にならざるを得ないだろう。 
リラックス体操は30分ほど行われてそこから徐々に複雑なポージングを要求されてヨガらしくなっていく。「はい、ではネコのポーズしましょう」と先生が言うと全員がマットの上で四つん這いになってネコが伸びをしているようなポーズを取る。こんな姿を知り合いの連中に見つかったら一巻の終わりだと思いつつも隣で身体のラインが丸分かりのピタッとしたヨガウェアを着た三十路過ぎの女性が四つん這いになっている光景は決して悪くはない。
「はい、そこから足を伸ばしてスフィンクスのポーズ!」。大の大人8名が早朝ビルの一室に集まってスフィンクスのポーズをしてるなんて誰が予想できるだろうか。そのあとも「ハトのポーズ!」「考える人!」「矢印!」などわけのわかんないポーズを繰り返して隣のオッサンに「右手はもっと前に着いた方が楽ですよ」とかアドバイスされたりして、先生にも「身体だいぶ柔らかくなってきた。君、才能ある。スポーツやってたでしょ」などと強引に褒められつつ約70分のヨガは終了。
じんわり汗もかいて確かに気持ちのいいものではあるが、そこから今度は地獄のお茶タイムとなる。テーブルにお菓子とお茶が用意されてそれをつまみながら例の恐ろしくつまんない雑談が再び開始。生産性ゼロの会話をしばらく繰り返したのち
「そろそろ出勤します」とリーマンが言うと全員で「いってらっしゃい」なんて言って「頑張ってね」とか「ネクタイ曲がってますよ」とか「クルマ気を付けてね」とか家族みたいな会話を一式して、一人ずつ抜けていく。結局自分と小太りのオーストラリア人女だけは最後までそのファミリーに入れずに入会案内を渡されて眠い目をこすりながら終了の時間を迎えるのであった。