会話のタネ!雑学トリビア

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大手マスコミテレビ局の入社採用の実態

苦労とは無縁の大学生がいる。期間にして約1カ月、指定された企業を数回訪問するだけで内定が出てしまう(場合によっては書類を提出するだけで済むこともあり)。しかも、その企業の多くは一流企業。学生の誰もが入社を夢見る有名企業に、汗一滴かかずにVIP待遇で採用されるわけだ。
水面下で密かに実施されているコネ採用(縁故採用)の実態を明らかにしよう。
日本の企業の中で最もコネ採用の割合が高いのが大手広告代理店とテレビ局だ。採用する側、ねじこむ側の双方にメリットが大きいためである(スポンサー獲得が容易になる、給与水準が高い、など)
両業界におけるコネ採用割合は、年次によって変動するものの、どんなに少ない年でも5割を切ることはない。さらに女性については一部の例外的実力派を除けば、ほぼ全員がコネだと考えていい。
では、そのコネの種類とはどのようなものなのか。テレビ局を例に分類してみよう。

大株主関係
テレビ局に限らず、株式会社ならば株主への優遇は宿命と言える。
テレビ局の多くは新聞社の傘下なのでその関係者が多い。地方局では地元金融機関や地場産業の関係者も。採用が年に数人しかない小規模地方局では、毎年全員が株主者のコネ採用ということもある。
大手スポンサ—関係
民放テレビ局収入のほとんどは広告料だ。コネ社員は«人質» と呼ばれ、景気動向によって«神様» がどんどん入れ替われば、立場も変動する。
大手広告代理店関係
上位2社の電通と博報堂以外はあまりコネとしては扱われない。広告代理店はスポンサ—を仲介する際のマ—ジン(仲介手数料) が主な収入のため、このタイプのコネ社員は«マ—ジン育ち» と呼ばれる。
芸プロ関係
事実上は創業者一族などオーナークラスが対象。このコネで入社した社員の多くは中途退社して親の跡を継ぐことになる。
スポ—ツ競技団体関係
スポ—ツはテレビ局にとって重要なソフトなので、放送権を獲得するために、各競技団体有力幹部の子息を入社させる。ある局では陸上関係のコネで入社した社員が人脈をフル活用して、自身の番組に一流アスリートをじやんじやん出演させる離れ業を見せている。
系列地方局関係
NHK以外の民放は、地域ごとの別会社を持っている。ほとんどメリットはないのだが伝統的お付き合いで系列地方局役員の子息をコネ採用することが多い。東京キー局で販売したスポンサ—料金を、系列局に後から配分するシステ厶になっていることから« 配分育ち» と呼ばれることも。
他のマスコミ関係
新聞社、通信社、出版社、映画会社など。

テレビ局の設立当初の大株主として慣習的にコネ採用が続く。交換条件でお互いにコネ採用のたすき掛けを行っていることも多い。「オタクの社長の息子を入れるから、ウチの専務の娘をそちらで面倒みてくれ」といった形だ。
伝統的な大手企業なら例外なく存在するコネ採用。政治家にとって、支持者への就職の口利きは重要な票獲得戦略となる。むろん、政治家本人の子息も多い。
免許であるテレビ局にとって、政権与党の有力議員を味方につけることは重要課題だ。また幼い頃からの人脈を駆使して、政局の特ダネを獲得出来るメリットもある。
ただ、そのまま社員として生涯をまっとぅする人物もいるが、多くは中途退社して親の秘書になり、時には二世議員になってしまぅ。
石原都知事の長男で元行革担当大臣石原伸晃氏は元日テレ社員、大平元首相、橋本元首相の一族も日テレに。中曽根大勲位の孫はフジテレビ。元首相の後を継いで代議士になった小渕優子氏は元TBS社員。またTBSは他にも、海部元首相、加藤紘一、西岡武夫、
小杉隆など有名政治家の一族の入社実績がある。大物芸能人関係言わずもがな、出演依頼の際などに重宝される。フジテレビには宇津井健の息子、ムッシュかまやつの息子、
高橋英樹の娘である女子アナも有名だ。TBSにはみのもんたの息子が在籍する。

スポ—ツ選手.OB関係
有名なのは以前テレビ朝日社員だった長嶋茂雄の娘だ。ちなみに王貞治の娘は元博報堂社員でぁる。フジテレビには田淵幸一や近藤元横浜監督のコネ社員もいる。
大物は大物でも「超」がつかなければコネ扱いはされないのは、並のクラスだと引退後の自分自身の面倒をみてもらう( 解説者など)だけで精一杯だからだ。
大物文筆家関係
意外に多いのは教科書に出てくるような歴史的文豪関係だ。最近の作家ももちろん強い。遠藤周作の息子、山田太一の娘がフジテレビ社員なのはよく知られている。吉川英治の息子はTBS入社実績あり。
大物文化人関係(評論家• 教授• 映画監督)
有名政治評論家の息子が報道記者として活躍している局があると思えば、大橋巨泉司会のクイズ番組に出演していたタレント教授の息子が棲息している局も。寅さんシリ—ズで有名な山田洋次監督の娘はTBS社員。
大物政界フィクサー関係
政治や経済を裏から牛耳るフイクサーもコネ採用の対象。TBSの幹部役員にはロッキ—ド事件で有名な大物フィクサーの息子が。
旧華族関係
昔の大名、貴族、明治元勲の子孫たちが、その血筋の力だけで採用されている。以下に例を挙げるが、敢えてぼかして書くことをお許し願いたい。
旧薩摩藩主•島津家のI族、旧松代藩主• 眞田家I族、旧彦根藩主•井伊家I族、さらには明治天皇の玄孫に当たる人物が大手テレビ局に在籍していることは良く知られる事実だ。未確認情報だが天保の改革で有名な老中水野忠邦の族もいるとの噂がある。
世間に広く知られている例としては、NHKの松平定知アナは徳川家ゆかりの久松松平家の末孫。以前フジテレビ役員だった坊城俊周氏は藤度豕の流れで「十三名家」と呼ばれた家柄。テレビ局ではないが、元首相• 細川護熙氏は旧肥後藩主家( 細川ガラシャの夫の子孫) の現当主で、政界入り前は朝日新聞記者だった。
広告最大手電通には、こぅしたコネ社員が伝統的にぞろぞろしており、明治維新を成し遂げた木戸孝允の子孫の入社実績もある。さらに現在靖国神社宮司を務める南部利昭氏は旧盛岡藩主の末裔で元電通社員なのは有名な話だ。
某在京キー局では49名中41名が採用
さて、これらのコネを使って実際にどれほどの人間が入社を果たしているのかが気になるところだろう。
東京の某大手テレビ局の例を挙げると、ある年次に入社した49名のうち、40名が男性。そのうち何らかのコネを持った新入社員は8 割もいた。
さらに残る9名の女子新入社員は全員コネ採用だ。つまりガチンコ採用されたのは8 名前後の男子社員だけだったことになる。
また、別の在京テレビ局でのコネ入社組30人の出自内訳を独自調査したところ、結果は次の通りとなった。
中には、当の本人が自覚していない( 実力入社だと思い込んでいる)ものも含まれ、また、下の2 つに関しては厳密にはコネとは呼べないかもしれないが、それにしてもこの数字には驚かざるをえない。

作れるコネなど一流企業は相手にせず
我々一般庶民がコネを作ることは可能なのだろぅか。結論から言えば不可能である。
よく学生が、せっせとコネ作りに励む様子を聞くことがある。地元選出議員に口利きを頼むとか。遠い親戚を探し出すとか、どこか
の会合で企業経営者に突然自己紹介をしてしまうとか。ひどい時は友人の親が幹部社員だというだけでコネ採用を依頼する例もある。
女子学生の場合はコネ作りのために銀座でホステスのアルバイトをすることも多い。
まったく無駄だとまでは言えないが、ほとんど意味がない。どこかの子会社に滑り込む程度ならまだしも、周囲に自慢できるような就職を目指すならば徒労に終わる。
断言しよう。いわゆる一流企業ではこの程度のコネは相手にしない。
しかも、下手に2流コネ枠で子会社に入社でもしようものなら、他の本物コネ社員と比較されてかなり苦労する羽目に陥るのがオチだ。