会話のタネ!雑学トリビア

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山手線名物のあのクサイ親父はなぜ他の路線ではなく山手線に乗るのか?

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山手線に出没する一人の名物ホームレスおやじがいる。年齢は60代くらい。
左足が病気なのか何なのか、グロテスクに変形している。
そしてなにより臭い。とにかく臭い。あまりの異臭のため、このオヤジが乗ってくると乗客全員が息をのみ、えづく者、その場を離れる者など、車両は地獄絵図となる。
 東京在住の人なら、一度は目撃経験があるのでは?
 秋葉原駅の電気街口を歩いていたとき、Tシャツの裾を胸までめくりあげて腹を出して座っている、薄汚れたおやじに目が留まった。左足がおかしい。くるぶしから下をくるむようにビニールを巻いている。あのオヤジじゃん。
 遭遇するのは初めてではないが、相変わらず見た目のインパクトはスゴイ。今日もこれから山手線に乗るのだろうか。いい機会だし、思い切って声をかけてみっか。
 コンビニで水のペットボトルを2本買い、近寄っていく。
「暑いっすね…」
 おっと、もう臭いが漂ってきたんだけど。
 ペットボトルを差し出すと、オヤジが手を伸ばしてきた。
「…ありがとうございます」
「ぼく、前に、山手線でお見かけしたことがあったんで、ちょっと気になって」「ううぅぅぅぅ」
 ん? 何かうなりだしたぞ。
「あの、大丈夫ですか?」
「…大丈夫…」
「いやいや。というか、足の調子悪そうですけど。どうされたんですか?」
「…ケガです」
 ってことは、山手線に乗ってるのは、病院への行き帰りかしら。
「病院へは行ってます?」
「…たまに」
「ちなみに、家はどちらのほうで?」
「ううぅぅぅ」
 またうなりだした。答えにくい質問だとこうなっちゃうのかな。
「…いきなりずけずけ質問してすみません」「ううぅぅぅ」
「よかったら、軽くメシでもどうですか? マックくらいならおごるんで」
「ありがとうございます」
 ここは即答かよ!
 オヤジを連れてマックへ向かうと、店員の表情がすーっと変わった。そりゃそうだ、この悪臭だもんな。
「いらしゃいませ。ご注文をどうぞ」
 一応入らせてはもらえるようだ。他の客からは寒い視線がガンガン飛んできてるけど。セットメニューを2つ注文し、テーブル席に向かい合って座ると、オヤジはハンバーガーをむさぼるように食べ始める。
「急ぎ過ぎですって」
「うぅぅう」
「ま、いいですけど。普段、ハンバーガーとかって食べませんか?」
「…たまに。でも、こんなに高いのは食べられないです」
 相変わらず意思疎通はギコチないが、喜んでもらっているようだ。が、如何ともしがたいのが、やはりこの体臭である。室内だけに、異臭がこもるのなんの。近くの客は次々と席を立っちゃうし。
「今日、秋葉原にいたのはどうしてなんですか?」
「…ううぅぅぅ。このへんが多い」
「多い? このへんにいることが多いってことですか?」「上野とか」
上野と言えば、ホームレスタウンではある。上野にねぐらがあるのか。にしても気になるのは、しょっちゅう山手線で見かけることだ。どこに向かってるんだろう。
「山手線によく乗られてると思うんですが、どんな場所へ行くんです?」
「ううぅぅぅ」
 行先は言えないってことか。
「上野だと、京浜東北線なんかもありますけど、そっち方面に行ったりは?」
「たまに」
「けど、山手線に乗ることが多いでしょ? なぜなんですか?」
「ううぅぅ」
「乗ってる理由、教えてもらえませんか?」
「好きだから」
なんと、山手線が好きだったんだ。それが理由か。冷暖房が効いてるし、何周でもぐるぐる回れるし、ありがたい空間なんでしょうな。でも、乗るときはその臭い、なんとかしてくださいよ。だってほら、もうマックから客消えてるし!