会話のタネ!雑学トリビア

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ジュースの自販機の苦情受付代行業を思いつく

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深夜、ジュースの自販機に小銭を入れたところ、金が中で詰まってしまいやがった。
クソ、オラ、何だよこいつ。ドカドカ蹴飛ばしても、ウンともスンともチャリンとも
言わない。オレは一人立ち尽くした。
たかが100円、200円。さっさとあきらめりやいいの
だろうが、生憎ムシの居所が悪かった。故障の際の連絡先と書かれたステッカーを見つけるや、オレはすぐにプッシュ。しかし、
『…営業時間内におかけ直しください』
録音テープのメッセージにますます頭に血がのぼる。

ナメとんのかl深夜に金を詰まらせるヤツも多いだろうに、こんな対応でどうすんねん.
怒り心頭で家路につき、風呂じゃ風呂じゃと湯船に浸かると、しだいに怒りが収まつてきた。と、同時に一つのアイデアが。
〈営業時間外のクレームを、有料で請け負ったら、ちょっとした小遣い稼ぎになるんちゃうやろか〉こちとら、年中ヒマだらけのプータローである。深夜だろうが早朝だろうが、電話に出るぐらい造作もない。おお、ええアイデアや。
翌日、さんざん昨晩の対応のマズさを非難した後、一転、オレは丁寧にアイディアを説
明した。
「はぁ、それでどういう対応をされるので?」
電話に出た担当者は、オレを怖い人と思ったか、話を聞く姿勢を見せる。
「すぐ飛んで行って商品を渡してやります」
「それだとカギがいるでしよ。ちょっと無理ですな」
ま、そりゃそうやわな。見ず知らずのオレに大事なカギを預けるわけがない。
「じゃ、こういうのはどうですか。他のとこで同じジュースを買ってあげるってのは?」
「う-ん」
「これやったらいいでしょ。全部こっちで負担しますし」
「…すいません。やはり遠慮さしてもらいますわ」
なんでやれん。中途半端に興味を示されると、こっちも意地になるぞ。そこで数日後。
今度は『深夜はこちらに。090‐』と書かれた手作りステッカーを手に、直接件の管
理会社に出向いた。
「実は私、便利屋を営んでまして。A社さんやB社さんからは仕事を頂いてるんですよ。○さんとこの自販機にもこのステッカー貼らせてもらえないでしょうか」
そんな作り話、最初の電話で言わんかい!ってなもんだが、そこまでの頭はない。
とにもかくにも、オレは便利屋なのだ。どうだろ、任せてもらえんだろうか。
「全部はムリですが、とりあえず試してみましょか」
ほ、ほんまか!代行料は1台あたり月5千円よろしゅおます。何も問題ありまへん。どうせ苦情言うたかて、日に1本か2本がせいぜいやる。それで月、万。ワルない
話やぞ。
とニンマリしていたら、現実は予想を遥かに越えていた。なんと、1カ月間、電話が1
本も鳴らないのである。寝ながらにして金が入ってくるとはまさにこのことだった。く、こんなラクショー仕事オレなんぞに任せよって。しかし
「すんません。社内で経費の見直しがありまして、申し訳ありませんが…」
そしたら5万でもええから。と、喉まで出かかり飲み込んだ。さすがのオレにも見栄がある。にしても情けないのは、小銭ごときで取り乱す人間がオレだけだったという事実。みんな、お金は大事にね。