会話のタネ!雑学トリビア

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うなぎの稚魚シラスの密漁で一儲けをたくらんだが

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幼なじみの勇次はギャンブル好きで、いつも負けてばかりいるくせに「そのうち大金持ちになるからな」と、夢のようなことばかり言っているバカだ。
もっとも、そんなバカと週1で遊んでいるこのオレも相当マヌケな人間だ。バカはバカ同士、気が合うってことだろうか。
「オレいま宮崎に来てるんだけど、おまえヒマだろ?ちょっと仕事手伝ってくれないか。すつげえ儲かるぞ」
勇次からの電話があったのは今年1月末のこと。彼女にフラれたばかりで予定のなかったオレは、何も考えず話に乗った。
「お-、こっち」

宮崎駅で勇次と落ち合い、ひとまずビジネスホテルにチェックイン。メシを食いながら仕事の内容を聞いた。

「うなぎを捕るだけで、一晩20万になるんだよ」
「はあ〜?」
聞けば、うなぎの稚魚は〃シラス〃と呼ばれ、信じられないほど高値で取引されている
らしい。本来は、知事の許可を得た漁協関係者しか採捕してはならないが、深夜だと見
張りもいなくなる、って…。
「密漁じゃね-か!」
「そういったらミもフタもないけど、この辺りには密漁で家を建てた連中が集まる密漁の町があるぐらいだからな」
「家が建つほど儲かるのか」
「儲かるんだよ」
どうやら勇次は、飲み屋で同席した客に話を聞き宮崎まで来たものの、1人でやるのは心細くなったようだ。
「とったシラスはどうするんだ?」
「養殖業者に持ち込むのさ。業者にしても、密漁モノなら買い叩けるから歓迎してくれ
んだよ」
どうせここまで来たんだ、迷ってるヒマはない。酒を飲みながら時間を潰し、深夜3時になったのを見計らい出動開始。勇次が用意した腰まであるゴム長をはき、シラスのいる河口付近に急ぐ。
「ここらなんだけどな」
辺りは真っ暗だ。ヘッドランプを頼りに水の中に入り網ですくってみる。
「あ、なんかいるぞ。これがシラスか?」
木綿の細かな網の上で、2センチぐらいの白くて細長い物体が、身をよじっている。
「おお、それだよ。よし、早いとこ獲ろうぜ」
獲ったシラスをビクに入れ、再び網を中に。そこら中歩き回り、とにかくすくってすく
ってすくいまくる。
心配した見張りなんてのも姿は見せず、計画は成功したかに思えた。しかし厚いゴム手袋をしていても、冬の水は切れそうに冷たい。
オレと勇次は、あまりの寒さに、1時間も経たずギブアップと叫んだ。
翌朝、電話帳で探した養殖業者に持参すると、2人併せても1万円にしかならなかった。やり方が悪かったのか、場を間違えたのか。