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刑務所にいじめやしごきはあるのか?中での生活は

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初めての刑務所は
日本には74の刑務所があり約5万人の受刑者がいる。内訳は成人男子が4万5千人余、女が2千人、外国人が3千人弱だ。刑務所は大きく5つに分類できる。
成人男子刑務所

女子刑務所・・ちなみに栃木刑務所は外国人女性も

医療刑務所・・総合病院2、精神病院2。通常の刑務所から、長期治療を要する重症の心身異常の受刑者を収容。疾病の完治後、もとの施設に戻される。

少年刑務所・・少年となっているが、実際は26才未満の成人も収容対象。

拘置所・・特例的に、拘留刑など刑期が短期の者、もしくは死刑囚を拘留している。

私は以前、x拘置所で分類調査の任に当たっていた。判決が確定した者と面接し、移送先刑務所を指定するのだ

刑務所指定の基本は犯罪傾向の進度と刑期の長短である。まず、犯罪傾向での分類。

①犯罪傾向が進んでいない者『A級』という。条件は初入(初入所)で暴力団、強盗団、窃盗団等の反社会集団に所属していない者、又は脱退した者。ただし、28才以下の者は、一旦、分類センターのある刑務所又は拘置所に送致され、3カ月余りの分類調査を受ける。

②犯罪傾向が進んでいる者『B級』という。累入者(累積入所)。初入でも反社会集団に所属している者。次にAとBを刑期の長短で分類、最終的な服役先か指定されるのだが、初入の人間が行く刑務所は確定判決を受けた裁判所の所在で、決まるのが通例だ。

「私は一体どこにいくんでしようか。行き先は自動的に決まってしまうものなのか、それとも希望か入れられるのか教えて下さい。大きな声じゃ言えませんが、14歳の少女とナ二して求刑は懲役5年でした。酒気帯び運転で罰金刑を1回くらったことはありますが他に前科前歴はありません」

あるとき、45才の元教師Fからの個人的な面接願いが舞い込んで来た。当時、x拘置所の年間確定人員は7千人。連日調査に明けくれている状態で、未決囚のこんな願い出を受け付ける暇はない。

私は面接願いと書かれた願(囚人が公式な願い出をするために使う定型化された文書)に「確定後面接」と書き、ファイリングした。間もなくFに懲役4年の実刑判決が下った。本人は恥を人前でさらすのはもうご免と、早々に上訴権を放棄した。

Fは典型的なA級受刑者。関東地方で判決の確定した26才以上の成人A級受刑者は、栃木県の黒羽刑務所か、静岡刑務所と決まっている。彼に反省と謝罪の真撃な態度が見えれば、夜間独居の多い黒羽刑務所に送ってやるつもりで私は面接に臨んだ。黒羽と静岡の違いは独居房の数。定員千500人の黒羽にはー千の独居房かある

他はせいぜい独居率30%。夜間独居生活が刑務所では最高の暮らしなのである。ちなみに、独房には昼夜独居というものもある。これは釈放を間近に控えた者、集団生活ができない者、そして規則違反を犯し取調中の者、並びに懲罰者が入る場所を指す。

「ウウ・つくづく私がバカだったと気づきました。死にものぐるいで罪を償ってきます」「そうか。よし、わかった」

Fの言葉は本物、心から自分の罪を悔いている。面接でそう感じた私は、彼の書類に黒羽行きの判を押した。もうおわかりだろう。刑務所の最終的な選択は担当官の胸三寸。面接はできるだけ素直で、かつ誠実な気持ちで受けた方が得なのだ。
暴力団組員のAは銃刀法違反で懲役5年。五度目の刑務所だ。

「座りなさい。調査の趣旨はわかるね」

「はい先生、それでお願いがあるのですが・」

「何だ」

「私ら極道の行き先は大体決まってますよね。前刑務めたY刑務所だけは勘弁してもらえませんか。他なら北海道だろうが九州だろうがとこでも構いませんから」
Aは机に額をこすりつけるようにして頭を下げた。ここまでするのだから、訳は聞いてくれるなーということだろう。私は話題を変えることにした。

「そういう希望は聞かんようにしとるんだが。ところでお前、特技はなんだ」

「特技ですか」

「仕事の業種だよ。建築関係の技術を何か持っとらんか」

そうAに聞いたのには理由がある。隣県の刑務所から、左官、溶接など建築関を頼まれていたのだ。これ幸いと内装のボート貼りならプ口ですと申告してきた。

「そうか、じゃその技を生かしてもらおうか」

「Y刑じゃないのですね」「ああ」「よろしくお願いします」

Aは満面の笑みを浮かべ頭を下げた。

技能受刑者という指定付きで刑務所に送られる彼は、この後建物の増改築に従事することになる。時に、塀の外でも仕事ができるめったに行けない人気である。
リンチが無いといい切れない
初めて刑務所生活を迎える者の関心事は「ムショとは一体どういうところか?」に尽きる。雑居房や運動場では、刑務所談義に花が咲く。自慢話に他人の失敗、名物刑務官のプライバシーまで……。

震え上がるようなリンチの話も飛び出す。が、仲間同士の話は真剣に聞かないほうがいい。囚人は他人の話をさも自分が経験してきたかのように言うものなのだ。

わいせつ行為に窃盗犯(下着泥棒)のBの場合、性犯罪者は徹底的に袋叩きされるという同房者の話を真に受けていた。それが心配なのか、ある日、彼の母親が面談を申し込んで来た。

通常、被告の親族と会うことはまずないのだが、父親の職業は現職の裁判官。断るワケにもいかない。質問の要旨は2つだ。

①罪名は皆が知るのか?
②どこの刑務所に送られるのか?
それに答えて私。

「まず、罪名や犯罪の内容は刑務所の職員が公表することはありません。受刑者たちは皆、適当に言っていますよ。同僚との付き合いは本当に難しくて気を使いますから。それに行き先ですが、25才とお若いですし、いったん分類センターというところに送って、経過観察と本格的な分類調査をすることになるでしょう。

ちなみにリンチは全くないとは言い切れません。が、袋叩きはないでしょう。いずれにしろ、こんなところは2度と来ないーと思わせるには多少厳しくつらいほうがいいと思います」

ところが、この馬鹿息子。刑務所が思ったより住みやすかったとみえて、出所後覚せい剤を覚え、累犯者の道をしっかり歩くようになってしまった
控訴や上告をすれば拘置所にいる日数だけ刑期が差し引かれる(裁定通算)と思っている人はぜひ考えを改めてほしい。裁定通算がもらえるか否かは、裁判官の気分次第だ。特に大した事件でない場合ー例えば覚せい剤の自己使用などーの量刑不当は、棄却になって当たり前。高裁では鼻先で笑われ、上告ならさらに冷たくあしらわれるだろう。

上告については詳しく語らないが、最高裁が上告理由を認めて、差し戻ししたり自ら判決を言い渡すのはー千件にー件あるかないかということだけは肝に命じておこう。
新人教育の2週間はほとんどシゴキ
刑務所に入る際は、まず称呼番号(いわゆる囚人番号)の決定、指紋の採取、身体検査など、受刑者としての諸準備が行われる。中でも特に「親族の登録はキッチリと済ませたい。刑務所では、仕事、学校、友人、知人なとあらゆる関係が切断される。

例外は、親族申告表に書かれた親族と身元引受人のみ。たとえ婚約者でも知人扱いとなり、外部交通(面会、手紙のやりとり)は不可能だ。そこで、これだけは覚えておこう。法律上の妻がいなけれは彼女のことを『内妻』と親族申告表に書いて届けること。事実上の妻とみなされる。

準備が終われば新入り受刑者は独房へ放り込まれる。ー週間後の新入教育開始まで、ここで経過観察を受ける。新入教育では、新入りをまとめて訓練を行うのだが、最初が肝心なのはどこでも同じ。

初っぱなの2週間は実に厳しく、腕立てや腹筋・背筋、行進訓練など、ほとんどシゴキに近い指導が待っている。ただし、体力を使い果たしたといって気を抜いてはいけない。

目的は『作業指定』つまり数ある刑務作業のうち、どれに就かせるか、ここで決定するのだ。他にも身上調査や性格診断、適性検査、知能検査など多彩なテストを実施。また、職歴、技能、将来の生活設計なとも考慮の対象になる。決してテストをおろそかにしないことだ。
一度作業が決まると、転業は一切認められない。仕事が辛いからと怠けたり、拒否すれば重大な規律違反として処罰されることをお忘れなく。
逃げ出したくなったら
こんな統計がある。刑務所で最も辛かったことベスト3と題して、同僚との人間関係が、ー位の自由のなさに次いで2位に挙げられた(法務総合研究所、刑務所に関する意識調査)

確かにこれは深刻な問題だ。基本的に房の同僚は、作業時も同じ場で働く。一度仲がこじれると24時間イヤな思いをしなくてはならない。かつて私が面倒を見たKなどは、そのいい例だ。模範囚だったKは、イカレた連中との集団生活に疲れ果てていた。

「あの、何とかなりませんか」「何が辛いんだ」

「何もかもです。部屋には独自の綻がありまして、・・いやな奴がいるんです。新参者はまともに便所にも行けません。懲罰を受けて独房に行ったほうがマシだと本気で考えています」

「刑務所の一番の辛さが同僚との関係だとわかったんだな」
「はい。」
「よしわかった。すぐに職業訓練に応募するんだ」

ほとんどの刑務所は、囚人たちが出所後に自立できるよう、何らかの職業訓練を行っている。注目すべき点は、訓練種目によっては別の刑務所に移送される場合があること。それも最長で2年間、選択職種の資格や免許が取れるまで、である。こんないいことはない。

ただし、誰もが訓練を受けられる訳ではない。刑期の長さやIQの高さで職種の選択が限定され、さらに、行状と作業成績の高評価が必須条件となる。件のKは、これらをすべてを満たしており、なおかつ私の推薦を得たのである。もちろん結果は合格。2年間の別荘行きを手に入れた。

参考のため、職業訓練を受けられる主な業種を挙げておこう。建築、左官、板金、自動車整備、車両系建設機械運転、クレーン運転、ボイラー、ホークリフト……余談だが、函館少年刑務所では、世界でも珍しい船舶訓練を実施。99トンの最新船〈少年北海丸〉に乗り、全国で選抜された訓練生が大海原に出ている。
刑期を務めあげ、目出度く出所となるのが満期釈放。が、中には刑期の満了を待たずに釈放される場合もある。ご存じ、仮釈放だ。通常は、累進級が2級以上、少なくとも刑期の60%を終えてようやく可能性が見えてくる。

「刑期8年でも3年すりゃ出てこれるよ」よく警察官、検察官、弁護士はこうした気休めを言うが、実際には何の根拠もない。仮釈放が認められるための条件はいくつかある。まず『確実な身元引受人がいる』ことだ。親族や雇い主など、適当な人物がいればまず問題はないが、そうでない者は、再生保護施設に引受を願い出よう。

ここは、法務大臣の認可を受げた更生保護法人によって運営されており、食事や宿泊の給与を受けることが可能。ただ、引き受けの決定権は施設にある。収容人数の過剰、その他状況次第で断られることもあるので注意したい。

また、反社会的集団からの脱退も条件だ。更生意欲があるかどうかの重要な判断材料になる。後は地方更生保護委員会の行う委員面接の審理にこぎ着ければ、ほぼ仮釈は間違いない。

気をつけなければいけないのは、許可が出た後の生活である。噂を聞きつけた周囲の人間が嫉妬からケンカを吹っかけたり、あることないことを刑務官にチクったりと、妨害を企てるケースがあるからだ。状況によってはたとえ一方的に殴られた場合でも、すべてパーになりかねない。塀の外に出ても、気を使うことはたくさんある。犯罪を犯さないのはもちろんだが、特に以下の事項は注意が必要だ。

①月に一度、保護観察官と会う。転居、長期の旅瞬をする際は許可を得なければならない。これを怠ると、逃亡とみられ、刑務所に逆戻りの可能性。事実、そうなった例もある。

②なるべく、車やバイを控える。駐車違反程度なら問題ない誠過度のスピード違反、飲酒人身事故などは、間答無用で取り消しである。
出所後、前科が他人にバレることはほとんどない。普通、罰金以上の刑は本籍地の市区町村の犯罪人名簿に記載されるが、これは戸籍とは関係なく、第三者の照会に応じるコトもない。つまり、臭いメシを食ったからと、卑下する必要はまったくない。