会話のタネ!雑学トリビア

裏モノJAPAN監修・会話のネタに雑学や豆知識や無駄な知識を集めました

金持ちの娘を嫁にもらった逆タマのお父さんはヤクザの組長だった

金持ちの娘を嫁にもらうことを逆タマという。オレはそれに乗った幸運な男だ。東海地方の某中堅都市に豪邸を構える妻の父親は、少なく見積もっても10数億の資産持ちだ。いつも運転手付きベンツで我が家にやってきては、数十万の小遺いを置いていく。「気前のよさ」とは、義父のためにある言葉といっても過言ではない。これで嫁さんの性格が歪んでいれば幸、不幸のバランスも取れるのだろうが、実際、女房はよくできた女。まったく、オレほどラッキーな人問もいない。しかし、世の中まったくよくできたものだ。実はオレの逆タマには、とんでもないオマケが付いているのだ。
一枝ちゃんと付き合うなら十分に気をつけてね

今から10年前オレは某旅行会社の営業部に勤務していた。企業を回って社員旅行をセッティングしたり、ツアーを企画したり。33才の若き部長の肩書きに恥じぬよう働き、毎月約40万の収入を得ていた。当然、仕事のストレスはハンパじゃなく、そのため風俗や酒に散財すること数知れず。おかげで10年以上働いても貯金は100万足らずしかなかった。そんな状況に一抹の不安を感じてか、その頃のオレは結婚に対する願望が日増しに強くなっていた。ある夏の夜のことだ。地元の居酒屋で仲間3人と飲んでいたところへ、20代後半、若妻風の2人組が店に入ってきた。

「マスター。私さあ、昨日ハーフで60も叩いちゃったのー」

「ちゃんと練習してるのかい?」「打ちっぱなしに行ってきたわよ」

2人は店干とゴルフの話題で盛り上がっていた。こっちは野郎3人でシケていたところだ。声をかけない手はない。

「どちらのコースを回ったんですか?」「伊豆の〇〇ですけど」

「名門コースじゃないですか」「父が会員権を持ってまして」「へえ」

これをキッカケに男女5人で大いに盛り上がったのだが、オレが興味を持ったのは茶髪の五十嵐淳子風の女。かなりの美人を相手にここぞとばかりに口説きまくった。彼女の名は鈴木一枝(仮名)。34才のOLで、趣味はゴルフ、車はベンツに乗っているという。そのテキパキした受け答えからは一本筋の通った性格がうかがえるが、ビールや灰皿など周囲への気配りも忘れない。

かといって水商売のようなスレた印象は受けない。育ちのよさがそこかしこに見られる。何者なんだ。ひょっとして地元の名士の令嬢か。とりあえずその日は、ポケベルの番号だけ交換し、居酒屋を後にした。翌日、さっそく自宅の電話番号を彼女のベルに打ち込むと、ほどなく電話がかかってきた。

「斉藤さん?」「そう。今週の金曜、飲みにいかない?」「いいわよ。この前と同じ居酒屋で、待ちあわせしましょうか」

相性バッチリとはこうい、つことを三マつのだろう。オレと一枝は会ったばかりとは思えないほど親しく酒を飲み、会話を交わした。この歳になって恥ずかしいが、運命的なものすら感じる。途中、彼女がトイレに立ったとき、マスターが言った。

「斉藤さん、内緒の話だけど、一枝ちゃんと付き合うなら、十分気をつけてね」

「は?それどういう意味ですか」「いや、まあ、多くは語れないけどね」

何をワケわからんことをいってんだ、このオッサンは。ひょっとして妬いてんのか。結局、その日はキスもせずに一枝と別れた。
入れ墨を精液で汚す興奮
一枝とはデートを3回、4回とこなしても、キス以上には進まなかった。詳しい素性は一切語らないし、家まで送ろ、つLししても頑なに拒まれる。いったい何を隠しているんだ。オレのことが嫌いなのか。本心を聞かせてくれよ。

「斉藤さんは優しくてすごく好き。でも、私の身体は普通の人と違っの。見られたら絶対に万嫌われるわ」

「大丈夫だって。10代や20代のガキじゃないんだから、気にしないって」

「でも・・」「オレのことが好きなんだろ」

「わかったわ。一回キリの遊びとかだったら始めに言ってね。こつちも心の準備ができるから」

「何度も言ってるだろ。一枝のすべてが好きなんだ。オレと付き合ってくれ」

「…斉藤さん」よつしゃー15回めのデートでやっとこさOKだ。国道沿いのラブホテルにチェックイン。彼女の希望どおり明かりを消した部屋でキスをして、耳、首筋、肩と舌を」一垣わせていく。そして、ガウンから両腕を抜き、わき腹あたりに自分の顔を持っていったとき、何やらアザのようなものが目に入った。ん?普通の身体じゃないってこのことか。いや違う。赤、青、緑…。見れば、体のいたるところに鮮やかな色が。ひょっとして…。ベッドと彼女の間に体を滑り込ませ、背中を確認する。

「っわっー」なんと、彼女の身体には極彩色に彩られた入れ墨が彫られていた。
「驚いた?」

「本物を見るのは初めてだからビックリだよ。」

「ねえ本当こと言って。私のことイヤになったでしょ?」

「んなことねえって」一応、強がってはみた。
が、本心は怖くて怖くてたまらない。ホテルを出た後、コワモテの兄ちゃんが出てきて脅されるのか、それとも殴られるのか。居酒屋のマスターの忠告が今になって身にしみる。バックれるか?いや。ここまで来たらヤルもヤラずも結果は同じだろう。オレはヤケクソになって腰を振った。と、意外なまでに興奮してしまう。なんせバックでハメると、目の前で一枝と背中の吉祥天が踊りまくるのだ。

聞くところによると、この仏は仏教界一の美しさを持ち、毘沙門天の妃と言い伝不りれてるという。そいつをオレの精液で汚してやった。わはははは、なんて笑ってる場合じゃない。

「あの……。もしかして旦那がいて、その人がヤクザとか?」「ううん」

「じゃあ、なんで」「父が組長なの」

「えー・」「ヤクザ。それでね、私もお母さんの真似してこんなバカなことしちゃったんだ」「……」
「でも平気よ。斉藤さんは私の恋人だもん。真剣に付き合っててくれたら、指一本触れさせないわ。お父さんも堅気の人に手を出すような人じゃないし」「うん」

「その代わり、素人のコと浮気をしたら絶対に許さないからね」「はい」

こうしてオレと一枝の交際は始まった。
付き合って半年。いよいよ結婚を決意

付き合い始めると、やはり一枝は普通の女じゃなかった。オレに心を許していることもあるのだろうが、口にする話題がとにかくぶっ飛んでいるのだ。金を持ち逃げしようとした若い組員が森の中で大木に吊らされた、借金の支払いを放棄した工場の社長が海岸に埋められた。そんな話を淡々と聞かされては、さすがにいやでなる。

「でも、父は普段は温厚な人だから心配しないで。ちゃんと建設会社の正業もあるし」聞けば、博徒の一家に籍を置き、鈴木組(仮名)を興した一枝の父は、現在、若い衆20数名を抱える某広域暴力団の親分で、公共事業の利権をいくつか掌握しているらしい。一枝もその建設会社の役員に名を連ね、月60万の給料をもらっているという。違う。オレの住む世界とは違う。が、それでもオレは別れる気はしなかった。

とにかく一枝は気が利く女で、Hのサービスも満点。まるで非の打ち所がないのだ。これまで結婚できなかったのは、父親のせいとしか考えられない。付きあい始めて半年後、いよいよオレは決心した。

「結婚しよう」「えっ?どうしたのよ、急に。ムリしないで」「イヤなのか」「そうじゃないけど」「オヤジさんのことで躊躇するのもわかる。ウチの両親もお堅い公務員だから、正直に言えば反対するだろう。けどな、一枝と組とは関係ないじゃないか。オレのオヤジとオフクロには建設会社を経営していると伝えれば、ウソにはならないし…。そりゃ、義父さんも気を悪くするかもしれないが、娘の結婚のためだ。理解してくれるって」

「うん。それは平気だと思う」

「オレと付き合っていることを義父さんは知ってるんだろう?」

「堅気の人間なら問題ないって言ってるわ」

「だったら挨拶に行こう」

「…ありがと」

数日後、オレは一枝の実家を初めて訪問する。
今日から親子だ。盃をかわそう

小高い丘の上にある敷地300坪の屋敷。それが鈴木組の事務所兼自宅だった。豪邸の名にふさわしく周囲は壁で囲まれ、立派な門構えが恐怖を与える。オレの運転するカローラが正面に止まると、ガガガガガーとトビラが開いた。と、そのとき。

「ウイーーーッス」「ウイーーーッス」
若い衆のお出迎えである。パンチパーマからロン毛茶髪の若い兄ちゃんまで、十数人がズラっと並んでいる。コワーー

「コチラへどーぞ」初めて訪れるヤクザ事務所。恐怖は限界に達していた。心臓はバクバクで、一枝の言うことがマトモに聞こえない。一介のサラリーマンが組長に向かって、「娘さんを嫁にくれ」なんて言っていいものか。

「オヤジがお待ちです。コチラへどーぞ」「はい」

靴を脱ぎ、促されるまま奥の接客室へ入ると、角刈りの義父が灰皿を晩みつけていた。怖い。怖すぎだ。オレは極度の緊張のなか、体を震わせながらも、昨日から何度も反甥した台詞を切り出した。

「一枝さんとお付き合いさせてもらってます斉藤といいます。今日はお願いがあって参りました。一枝さんと結婚させてください」

オヤジさんは目をつむったまま押し黙っている。果たして・・

「斉藤くんは、旅行会社のサラリーマンなのか?」「はい」「よし、わかった」「……?」「くれてやるから、娘は持ってけー母さん、酒だー酒持ってこーい」

オヤジさんがいいかけるやいなや、日本酒、寿司、鯛のお造りと次々に料理が運ばれてきた。

「今日から親子だ。長男の義治とも義理の兄弟になったワケだから、3人で盃をかわそうじゃないか」「へっ?あの、これって・・」

「もちろん、組に入れというワケじゃない」「はい」

オレはやはりとんでもない世界へ足を踏み入れてしまったようだ。
新婚旅行に組員2人が付いてきた

話はトントン拍子で進み、結婚式は半年後の6月と決まった。が、これが一番の悩みどころである。おそらく義父のことだから、その筋の親戚一同に呼びかけ、ド派手な披露宴を催す腹づもりだろう。紋付き袴のコワモテの面々が、目の前をゾロゾロゾロロ・・ダメだ、ダメだ。そんな光景を目の当たりにしたら、オレの親族は腰を抜かすに違いない。「というわけで、ジミ婚にしたいんだけど、お父さん、納得してくれるだろうか」「わかってくれると思うわ。私も協力するから一緒に話して」

オレと一枝は慎重に事情を話し、オヤジさんに理解を求めた。と、これが心配していたのがバカらしくなるほどすんなり認められる。ヤクザとはいえ人の親。やはり娘の意同には勝てないようだ。その代わりとい、っわけでもないが、新婚旅行はとんでもないことになった。イギリス、スペイン、フランス、スイス、イタリア。オレはこの5カ国を3週間かけて回るコースを計画していた。資金は2人で200万円。式が質素なぶん、豪華にしよ、つら」考えたのだ。と、そこへ義父が突然、若い衆2人を同伴させると言いだしたのだからたまらない。とにかく海外は危険、娘に何かあったらと引かないのだ。
冗談じゃないー誰がヤクザをっ詔れてハネムーンなんぞに行くかーと、心の中で憤慨してみたところで、オヤジさんの考えが変わる気配は皆無。結局、折れるしかなかった。当日は、成田までベンツで送られ、祝儀に100万を渡された。ちなみに、結婚式での祝儀は300万である。今回、同行してくれるミツオとカズ(2人とも23才)も含め4人分のチェックインを済ませ、出発の挨拶に向かう。

「おい。2人に何かあったら、おめえら帰って来れねーと思えよ」「ウィーッスー」「ウィーッスー」第二旅客ターミナルで大声を上げる、オヤジと若い衆たち。やめてくれ。みんなが遠目に見ているじゃないか。16時間後、飛行機はロンドンのヒースロー空港に着陸。ミツオとカズは初めての長距離フライトでグッタリの様子だが、そこは組長からの指令。飛行機を降りるや、荷物を運び、ジユースだタバコだとしきりに気を遣ってくれる。
いやー、これはラクチンだ。ホテルでのチェックインも彼らに任せ、ォレと一枝はラウンジで紅茶を味わった。

「はあ、疲れた。オヤジさんも、ほんと心配性だよね」

「フィリピンとかタイはよく行くみたいだけど、ヨーロッパは慣れてないから怖いみたい。どう考えても逆なのにね」「そりゃそーだ」

婚約して以来、一枝と水入らずになるのは久しぶり。来てよかった。と、そのとき。「おいコラあー」ミツオの声がロビーに響いた。何だ

「いやね、このボーイが予約が入ってないとか言うもんですから」

「本当にそういったの」「いや、英語で何言ってるか、わかんなかったんですけど…」あちゃちゃ。やっぱり2人に任せるんじゃなかった。

「わかった。ここはオレに任せて」「すんません、兄貴」

「気にすんなって。それより、兄貴って言うのやめてくれない?」

「じゃあ、どういべばいいんですかね」「斉藤さんでいいよ」

「わかりやした、兄貴ー・」「……」聞いてんのかよヒトの話。
細々とした雑用や手続きはミツオとカズに任せ、オレと一枝は旅行中、毎日のようにヤリまくった。地中海を背景に吉祥天を拝むのは格別な味わいだ。そして、帰国してから約4カ月後、彼女の妊娠が発覚する。いわゆるハネムーンベイビーというやつだ。

「やったな」もちろんオレは大喜びである。が、それ以上がー人いた。言うまでもない。義父である。「まだ生まれんのか」「おとうさん、妊娠4カ月ですよ」「そうか。ベビー服が必要だな」「……」「金がいるだろう。今から持っていくから」「もう夜中ですから、明日でいいですって」「わかった。娘を頼むぞ」

こうした電話が毎日のようにかかってきた。一枝の兄も結婚していたが、子供はまだ生まれていない。やはり初孫が待ち遠しいのだろ、産気づいた晩は、とんでもない騒ぎとなった。産声を上げる早朝まで、オヤジは分娩室の前に仁王立ち。オレや義母がいくら席を薦めても、「娘が頑張ってるときに何を一」と譲らない。

男児が生まれると今度はオレを連れて神社に参拝した。それから3年。息子が3才になったある日、オレは自らの不注意な一言で組に激震を走らせてしまう。それは、オヤジが外に若い衆を待たせているときのことだ。

「雅夫さん、おかえりなさい」

「マコトくん、またこんなところで待たされてんのか。いくらベンツとはいえ、ずっと外にいるのもしんどいだろ。中に入れよ」

「いやあ、ドヤされっから遠慮しておきます。ところで、雅夫さんは相変わらずカローラですか。大変っすね」「ははは」

顔では笑っていたが、カチンときた。オレはしがないサラリーマン。どーせベンツなんか手が出ないよ。と、この出来事をついオヤジさんの前でこぼしたのがマズかった。オヤジさん、急に顔色を変え、家を飛び出してしまったのだ。

「アンタ、今のマズイよ」息手と抱いた一枝がいう

「何が?」「マコト、きっちりやられるわよ」「やられる?一」

「ちょっと考えればわかるでしょ。お父さんにしてみりゃ、息子をバカにされたワケだからね。そりや、子分も盃分けた間柄だけど、父にしてみりゃ、自分の教育ができてないって言われたようなもんよ」「そんなものかあ」

妻はさも大事のように言うが、たかがバカにされただけのこと、オレに謝ってくれればそれで済む話だ。が、それは極めて甘い認識だった。なんとマコトが翌日、指を詰めたというのだ。金で責任を取れない以上、方法はこれしかないと本人からの申し出だったらしい。「堅気のオメーに迷惑かけたくねーけど、これはケジメだから」「はい」この日以来、オレはしばらく女房の実家へ足を運ぶことができなくなった。
息子が5才になった。オレは会社を辞め、旅行会社を設立することを決意する。長年のキャリアとコネで独立するなら今しかないと考えたのだ。ところが、これに妻が難色を示した。子供が生まれてからというもの、控えめだった性格は影を潜め、めっきり荒くなった言葉遣いでオレに詰め寄ってくる。

「アンタ、そんな真似して、私たちを養っていけるの?」「大丈夫だよ」「会社員なら給料のことをとやかく言わないけど、独立するとなったら話は別だよ。男ならね、最低のことは守りなさいよ。じゃないと家を出ていくからね」「ませとけって」

駅前に事務所を設立し、小さな旅行代理店を開業したのは半年後。資金1千万は退職金の500万とオヤジさんから頂いた祝儀でまかなった。結婚に始まり、新婚旅行、出産、初節句に七五三と、それまでの5年で義父からもらった金は実に2千万服いずれ必要になるときが来ると手を付けずに取っておいたのだ。商売は順調とはいえないまでも、ギリギリの状態で回転した。家に入れる金は60万円。サラリーマン時代より上回っている。これなら一枝も文句はあるまい。が、妻は満足するどころか、オレによりプレッシャーをかけ、終いにはヤクザのような顔で怒鳴りだした。

「アンタね、男が1人で商売してんだから、サラリーマンみたいな収入でどうすんだい」「え?」
「この倍は稼いでくんなきゃ、いざってときに不安だろうが。わかってんの」「倍って、100万か」「つべこべいわずに、300、400稼いできな」「-・…」

オレはがむしゃらに働いた。朝は7時に起きて事務所に顔を出し、夜は12過ぎまで得意先を回る。毎晩ヘトヘトだ。ようやく家に入れる金が100万に達したのは1年後。それでも妻の手綱は緩まない。やはり極道の娘なのだ。隙さえあれば、オレの尻を叩いてくる。ほんと、いくら稼げばいいんだよ。オレはたまらず、ある晩1人でオヤジさんを訪ねた。「あはは。オメーも大変だな。オレも母さんからドヤされっぱなしで頑張ってきたんだけど」「へえ。そうだったんすか」「そ。だから、たんまり稼いで一枝を黙らせてみろって」「はあ」オレは今も女房に尻を叩かれながら、商売に精を出している。