会話のタネ!雑学トリビア

裏モノJAPAN監修・会話のネタに雑学や豆知識や無駄な知識を集めました

釣りの釣果が上がる集魚器の効果は

女も魚も光と音に集まる?

世間では、釣りブーム。幼少期に小川で小ブナを釣った記憶しかない私には縁遠い世界だが、仕事柄、スポーツ紙のこんな広告に目が止まってしまった。

〈スゴイ集魚ーアタリが続々ー〉

大きめの浮きのような形のそいつは、魚の好む光と音を発し、仕掛けに装着するとタイだろうがウナギだろうがとにかく面白いほど釣果が上がるそうだ。光と音。なるほど、若い女性がクラブや花火大会に集まるように、魚も賑やかなところが好きなのか。共に釣られる同士、似た習性なのかもしれぬ。

いや、その推理は一見もっともらしいが、わずか8800円のグッズで魚がバコバコ釣れるようでは、日夜、荒波と戦う漁師さんの立場がなかろう。いやいや、ひょっとしてすでに漁師の立場がないほど、フィッシング界は進化しているのか。よし、面白い。こいつはいっちょ実験してみようじゃないの。

「こんなの使ってる人見たことないなあ」

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はたして集魚器は使~えるのか。その答を探るため、今回は2人の釣り師が対決する形をとることにした。機械を使う考邑使わぬ者が同じ場所で釣り系を垂らし、どちらがより多て成果を上げるか競っのである。

集魚器を使うのは編集部タケダ、使わないのは即席で用意した釣り好きの裏モノ読者青年。審判の大役は私が務めさせてもらおう。

5月頭の日曜。相模湖に到着した我々は、簡単にルール(同じエサ、引を使う)を確認した後、小型ボートに乗り込んだ。出舟間際、貸しボート屋のニイちゃん。

「こんなの使ってる人、見たことないなあ」

これまで数多の釣り客の世話をしてきたであろう彼も、集魚器なんてものは初めて目
にするらしい。この事実をどう受けとめよう。単に世の釣り人が最新技術に疎いだけなのか、それとも…

「大丈夫すよ。相模湖レコードを記録して、あのニイちゃん驚かせましょうよ」

タケダの強気が続くことを祈りつつ、私はオールを漕いだ。いつしか空は曇り始めている。タ方から雨らしい。
激しいピンクローター音。はたして釣果は?
湖の隅にポイントを定め、さっそく釣り師が準備を始める。ヴィーーーン突如、ピンクローターのような震動音が湖上に響きわたった。タケダが集魚器に電池を入れたのだ。デカイよ、音。「……」
露骨にイヤな顔をする。「そんなものを沈めてくれるなよ」

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ボートの左からタケダ、右から青年が釣り糸を垂らし、対決の火蓋は切って落とされた。「おっ」先にアタリが来たのは、青年の方だった。ピシャっと水面に音を立て、難なく10センチほどの小魚を釣り上げる。

「オイカワですね」「おー」

決して大物とは言えないが、1匹は1匹。大方の予想をくつがえし、彼が1歩リードだ。タケダよ、大丈夫か。

「これからっすよ、これから。バンバン釣りまっせー」

私はその言葉を信じていた。ヤツの竿の先に結ばれた最先端マシンにすべての期待を込めて。

★対決結果1匹対0匹。これが朝からタ方まで粘った末の戦績である。結局、釣果はこの1匹のみ。しかもオーソドンクスな仕掛けを使った彼の腕によるもの。途中で何度も仕掛けの長さやエサの大きさを変え、ときにはルールを1無視してワームやルアーまで駆使したタケダだったが、ついに彼の竿がしなることはなかった。

「やっぱ今日は天気が悪いすよ。後、時間も中途半端だったし。それに・・」

雨降りしきる舟上で、思い付く限りの言い訳を並べる男と、いつまでもピンクローター音を鳴らし続ける集魚器に、審判から次の言葉を贈っておう。

ー釣り語らずーー釣りは静かにー