会話のタネ!雑学トリビア

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自己破産と任意整理・ブラックリストに載ってもまだ金を貸してくれるところはあるのか

自己破産と任意整理。

今や誰でも知っている、多重債務者の救済措置である。確かに借金に行き詰まり首をくくるなんて、この時代、ナンセンスだ。法律にのっとり、人生をリセットした方がよっぽど賢明といえるだろう。

しかし、その一方で自己破産や任意整理の手続きを取った者には借金に関し厳しい制約が課されること忘れてはならない。すなわち、銀行系、信販・流通系、サラ金系4つある全ての個人信用情報機関でブラック情報に登録され(各業者が照会をかけた際、自己破産は「33」、任意整理は「32」と表される)、向こう7年間借金やローンなど一切の取引が不可能になるのだ。

莫大な借金がゼロ、あるいは大幅に減少したのだからそれも当然と思えるが、人間の欲は尽きないもので・・、

「借金ができないってのはね、普通の人より劣っているような気がしてすごく寂しいんだよね。だからブラックでも何とか借りれないだろうか、って気持ちは常にあったね」

そう語る飯田氏(仮名・29才)は、サラ金に200万あった借金を任意整理で完済、その直後にサラ金3社から計50万の融資を受け、加えて車とパソコンをローンで購入することに成功した人物だ。ブラック情報に登録されているはずの飯田氏がなぜ金を借りられ、ローンが組めたのか。まずは彼の経緯を振り返ってみた
サラ金6社に各1万
飯田氏の借金生活は気楽に現金を手にできることに味をしめ、アコム、アイフル、プロ
ミスと、気づいたころにはサラ金6社から融資を受ける立派な多重債務者になっていた。
「いや、正直きつかったね。サラ金だけで200万、他に銀行、信販系を合わせると400は軽く超えていたよ」
月の支払いは給料のざっと半分以上もあり、金利の高いサラ金だと元金すら一向に減る気配がない。
しだい生活がギシギシと圧迫されていくなか、彼は1つの結論に到達する。
「これはもう任意整理しかないなあと。自己破産ってのも頭に浮かんだけど、あれはやっぱり最終手段っていうか。世間体もあるしね」
任意整理とは、弁謹士が介入して借金を整理し、毎月支払い可能な額をコッコッと支払っていく方法だ。結果的には、かなりの額を業者から値切れることになるのだが、そのカラクリは「利息制限法」という法律にある。
民法上では、貸出し金額にそれぞれ上限利率が定められており、サラ金や信販系の利率はその上限を上回っているので、これまで多く払った利息分を借金から棒引きできる、という理屈だ。
「でも、引き受けてくれる弁護士が見つからなくて。任意整理があまりにポピュラーになっちゃたんで、トラブルが増えたらしいんですよ。せっかく業者との交渉を取りつけても、再び返済を延滞する依頼者が後を断たない。ボクの場合は5件くらい回ってやっと見つかりました」
いったん弁護士が決まると後はトントン拍子に話が進んだ。借り入れ先のサラ金6社が交渉を受け入れたおかげで、合計200万の借金は120万にまで減り、しかも利息はゼロ。毎月各業者に1万円ずつを返済すればいいことになった。
一方、銀行と信販は交渉が成立せず従来どおりの支払いを続けることになったが、それでも負担は大幅減。彼はようやくマトモな生活を取り戻した。

がそれもつかの間、

「レジャー費用っていうんですか、どうしても15万円が必要だったんですよ。でも給料日は先だから、手持ちもないし、どうしようかつてふと新聞を見たらサラ金『K』の広告が目に飛び込んできたんですよ」

いままで聞いたこともない社名だ。
再三述べたとおり、ブラックになった人間は7年間借金ができない。が、モノは試し。飯田氏は断られるのを覚悟で融資が可能かどうか尋ねてみた。すると、
「審査をしたい」
聞かれるまま口頭で氏名、生年月日、住所、勤務先、携帯番号を答え、待つこと15分。なんと相手は飯田氏に来店するよう言ってきた。
「ボクはブラックなわけでしよ。審査が通るわけないと思っていたからかなり疑いをもちましたね。でも電話の声は丁寧だし、恐る恐るいきましたよ。闇金ならどうしょうってね」
ところが『K』に入店すると、怪しい雰囲気は微塵もなく、店内にはATMも設置されていた。親切そうな店員から申し込み用紙を渡され、それに記入。再度審査を受けた後、店員から希望額の15万と、カードを手渡されたのである。
「現金を手にしたときは夢のようでしたね。そこでブラックの人でも融資してくれるところをもっと探そうと思ったんですよ。新規や中小のサラ金の中にまだ大丈夫なところはあるはずだと」
新聞や雑誌を読んで、聞きなれないサラ金の広告があれば片っ端から問い合わせを入れた。が、
「過去に任意整理をした」と言うや否や電話を切られるか、やんわりと断られるところがほとんど。やはり『K』は特別な存在だったようだ。
しかし、気長に探すうち、ついに飯田氏はK以外でも借りれる業者を2件探し当てる。どちらも全国に支店を持つ中堅のサラ金会社「E」と『D」だ。
「2つとも簡単に審査をパスして、貸してくれました。ラクショーですよ」
調子にのった飯田氏はさらにローンを組むことにもチャレンジする。
「ちょうどそのころ、車が欲しくなったんですよ。知り合いの車屋にいい中古車があって。すぐにローンのことが頭に浮かびましたけど、サラ金とはわけが違うじゃないですか。半分あきらめてたんですけどね、一応その車屋の社長に相談したんですよ」
車屋が提携しているオリコとアプラスの審査を受けるため、契約書に必要事項を記入、FAXで送信して返事を待つ。1週間後に届いた回答はオリコNG、アプラスは保証人なしで40万までならOKというものだった。
果たして無事に車をローン購入した飯田氏はそのとき、「ブラックだと一切ダメだ」という概念を捨てた。もちろん、融資やローンが一般人と同程度に受けられるわけではないが、よく探せばどこかに穴となる業者が存在すると確信したのだ。

「その証拠にね、この間もローンでパソコンを買ったんですよ。当然、ほとんどの信販には相手にされなかったのですが。要は粘って探せば、必ず話に応じてくれる業者がいるってことですよ」