会話のタネ!雑学トリビア

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怪しい芸能プロのレッスン商法とは

5年前。会社を辞め、起業に失敗した私は、日銭が稼げる手っ取り早いバイトを探していた。ある朝、新聞の求人広告を眺めていると〈モデル・声優・俳優〉を募集する「G」という芸能ブ口か目にとまった。ギャラはー日2万円。声に多少自信のある私なら案外イケルかもしれない。

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さっそく求人広告にあった番号に電話を入れると「オーディション代として5千円が必要とのこと。数日後、試験会場である渋谷の某ビルへ向かった。集まった受験生は約50人。学生、主婦などさまぎまだ。まずは筆記試験がスタート。問題は「最近見た映画とその感想」「自分はどんな性格だと思うか」といった作文的なものばかり。それが終わると、今度は審査員の前で与えられた原稿のナレーションをー人ずつ読んでいく

「いいですね。通る声で」何でもない工ッセイを情感たっぷりに読むと、審査員は私の声をべタぼめ。気をよくした私は、足取りも軽く会場を後にした。3日後、届いた封書を開封してみると「合格です」とある。合格者は応軌募総数200人中、12人。

そのー人が私らしい。やったあー喜んだのも束の間、手紙の最後にこんなただし書きが。

「レッスン料として40万円を納めてください」えっ

さらにアカペンの手書きで「成績優秀のため、20万円で受講できます」と書かれているではないか。さすがの私もこれにはピンと来た。この「G」、仕事を斡旋せずレッスン料だけダマシ取る詐欺業者じゃないのか。

結局、私はそれ以上「G」に連絡をしなかった――

と、ここまではよくある話だが、聞いてほしいのはこの後だ。ある日、出会い系で20才のー人暮らしのコとのアポに成功する。一緒にコンサートに行こうと盛り上がったのだ。当日、期待を膨らませ待ち合わせの駅に行くと、そこに立っていたのは、バッタのような顔をした女。でも、どうせチケット買っちゃったしなあと思っていながら会話をしていると、この女、何か聞いたようなことをしゃべる。

「学生だったっけ」

「ううん。今ね、俳優のレッスンに通ってるの」

「ん?」

「こないだね、オーディションがあって200人中の12人に選ばれちゃって」

ええっ…まさか。

「でも優秀だかり40万を20万に値引きしてもらっちゃって驚きました。」

こんな偶然、あるんですねえと独りほくそえみつつ気になっていたレッスン内容を聞いてみる。彼女によれば、レッスンは時間割から自分の好きなように時間と科目を選べるようになっているらしい。いつ受けようが、休もうがまったくお構いナシ。ってことは、ほとんど学校側もヤル気ないってことじゃんか

「ただ、ー回レッスンを受けるごとに3千円かかるんだ」

この女、どこまでダマされれば気がつくんだろうとツッコみたくなったが、本人はすっかりタレント気取り。結局、その日は,女優には指ー本触れずに帰ってきた私だが、試験場のビル近くを通るたび、ついあの女のバッタ顔を思い出してしまうのだ。