会話のタネ!雑学トリビア

裏モノJAPAN監修・会話のネタに雑学や豆知識や無駄な知識を集めました

サラリーマンの節税対策には医療費控除がある

不公平税制を表す「クロヨン」「トーゴーサンピン」(*)などという言葉が存在するように、この国のサラリーマンは、極めて重い税負担を強いられている。どうせ口クでもないことに使われる税金を毎月ゴッソリ持って行かれる虚しさは、すべてのサラリーマンが抱える悩みだろう。なんとか節税できないものかと企んでいる人も多いはず。

しかし悲しきかな、所得税も住民税もすべて源泉徴収(給料かりの天引き)という形を取られるサラリーマンにとって、節税は極めて難しい。雇用主の了解の下、サラリーマンでなく「個人事業主」という雇用形態を取ってもらうことで税負担を軽減する手段もないことはないが、これが可能なのは、左官や大工といった職能系の人たちだけ。一般企業の勤め人は、税務署に個人事業主として認められない。

また、雇用主と結託し、実際に受け取る給料はそのままで名目上の給料だけを低く設定できれば、確実に税負担は軽くなるものの、この場人ロ、雇用主側に割高の法人税がかかるため、前提となる結託すら難しいだろう。となれば、サラリーマンは、所得控除を狙うしかない。払うべき金はとりあえず払う、その代わりに確定申告で返してもらおう、という算段だ。

所得税法で定められた所得控除には、住宅取得、医療費、雑損、生命保険料、さらに配偶者や扶養家族などの人的控除を含め、15種類がある。これらを税務署に申告しさえすれば、払い過ぎた金を取り戻すことができるはずである。ところがしかし。これらを順番に考えてみると、どれもたやすくねつ造などできそうもないことがわかる。マンションを購入したことにする、生命保険に入ったことにする、泥棒に金を盗まれたことにする・・

まったく無理ではないにせよ、ちょっとやそっとの小細工ではいかんともしかたいものばかり。

やはりサラリーマンに節税は不可能なのか。いや、あきらめるのはまだ早い。
この中に2つだけ実現性のあるものがある。医療費控除と人的控除だ。

医療費控除とは、ー年間にかかった医療費をある程度返してあけましょう、という制度だ。1月1日から12月31日までのー年間で医療関係に使った費用のうち、

定額(年収200万円以上の場合10万円、200万以下の場合、収入の5%)を超えた分の金額について控除が適用され、その約10%が返金される(年収、家族構成によって返金額は変わるが、ほぼ10%と考えていい)。

たとえば年収300万円の者に、年間30万円の医療出費があった場合、20(30-10)万円が医療控除の対象となり、返金額は約2万円同様に、50万円の出費なら4万円の返金である。つまり、使った医療費が多ければ多いほど、返ってくる金額も増えるわけだ。ここで問題となるのは、何が医療費として認められるのか、という部分だろう。よく保険が適用されるかどうかが基準になっていると思われがちだが、それは間違い。

実際は、その治療が身体的に必要かどうか、という暖昧な部券で判断がなされている。エステ通院などは「美容のため」となるのでまず認められないが、たとえば町中でマッサージを受けた場合、そこがマッサージ師の免許を持つ店なら、必要な治療とみなされる。ただ、わざわざ還付金のためにマッサージに行くようでは本末転倒だし、かといってまともな医療費支出が一定額を超えるには、ちょっとやそっとのケガではムリ。そのためこの制度は一般的に、事故での入院や出産、歯の治療など、多額の医療出費があった年にのみ利用されることが多い。

そこで悪巧みを目論む者は、医療費をデッチあげることで適用を受けようとする。最も多いのは、歯科の高額な領収書を偽造するケースだ。歯の治療は、特殊なものならば100万以上の費用がかかることも珍しくなく、わずかー枚の領収書ですぐに控除適用額を超えてしまうためである(歯はなくてはならないものとの見解からか、総金歯を入れた場合でも医療費として認められる)
また、細々とゴマかす手口としては、薬局で生活用品を購入した際に領収書を切ってもらい、それを医療費として申告する、というものがある。これは、医療費控除で認められる医療費が、医者に支払った費用だけでなく、薬局で買ったカゼ薬、捻湿布や水虫薬、胃腸薬などの購入代金までもが対象となっている点をついたものだ。もちろん、薬局のレシートか領収書で薬の金題を証明しなければならないのだが、領収書の場合、記入されているのは金額のみで、品目が何かまではわからない。つまり化粧品を買おうがゴキブリホイホイを買おうが、薬局名の領収書であれば医療費として通ってしまうのである。最近は、マツキヨなど、薬以外の品揃えが豊富な薬局が増えているため、この不正はよりやりやすくなっているという。
※ねつ造や偽造は脱税で重罪です。絶対に行ってはいけません。