会話のタネ!雑学トリビア

裏モノJAPAN監修・会話のネタに雑学や豆知識や無駄な知識を集めました

過去の犯罪とは異質な匂いのする暴力的な置き引きグループ

いつの間にか、この日本という国が壊れかけているような気すらした、そんな衝撃的な事件だった。Tシャツにジーパンが「警察だ。荷物見せて」
10月6日、早朝4時。
前の晩から酒を飲んだオレは1人で池袋駅にいた。帰宅しようにも始発はまだ出ていない。酔いも手伝って埼京線ホームに上る階段に腰かけた。ああ、キモチ悪い、さっさと帰って寝たいよ。そのときだ。
「お兄さん、警察です。ちょっと荷物見せて」
なんだよ面倒くせえなと顔をあげたら、そこにいるのは2人組の兄ちゃんだった。片方はTシャツにジーパンの坊主頭で、もう1人は赤のネルシャツのロン毛。おいおい、どう見ても警察なんかじゃねえだろ。
「警察?」
「そうだよ。いま不審物を持ってないかチェックしてるから協力してよ」
坊主頭はそう言いながら、オレの足元にあったカバンに手を伸ばす。やめろバカ、勝手に触るな。
「いいからあっち行けよ」
「だからオレたち警察だってば」
「だったら手帳見せろって」
「いいよ、ほら」
そいつはズボンのポケットから手帳を出した。それがホンモノかどうかなんてわかんねえよ…。
「とにかくヘンなものは持ってないんで」「……」
顔を見合わせた2人はあっさりとどこかに行ってしまった。始発に乗り、いったいなんだったんだろうと酔った頭をめぐらせる。どう見ても警察ではないけど、それっぽい手
帳を持って、荷物をチェックしようとする2人組…。
うん、怪しい。裏モノ編集部員の血が騒ぐぞ!明くる日の早朝4時、再び池袋駅の改札をくぐった。昨日のヤツらを探して何をやってるのか見てやろう。
昨日と同じように階段に腰かけていると、すぐにヤツらを発見した。坊主とロン毛の2人だ。さてさて、何をはじめようってんだか。 
距離をおいたままヤツらの観察をはじめた。連中は何かを探してるかのようにキョロキョロしながら、駅の構内を歩き回っている。ほどなくして、2人の歩みが早くなった。
ヤツらの視線の先には、昨日のオレみたいに酔っぱらい、カバンを抱えて寝転がるサラ
リーマンの姿があった。そっちに近づいていく2人。オレも彼らの後方からジリジリと近づいていく。携帯のカメラを構えながら。改札の付近に寝転ぶおっさんに、2人が何か声をかけているようだ。
リーマンがおとなしくカバンを渡した。 そのときだ。坊主男がカバンから財布らしきものを取り出し、次の瞬間、2人してスタスタと走り去るではないか。うわ〜、やっぱりな。アイツらは警察のフリした置き引きだったんだ。
トイレに入ってアイフォンの動画をチェックする。よし、ヤツらの犯行の一部始終が録画されている。ホンモノの警察に通報してやるか。トイレから出たらまだあの2人が歩いていた。また他の酔っぱらいを狙うつもりかも。いちおう尾けてみるか。
しばらくすると、今度は山手線エスカレータの手前に座り込むオッサンに声をかけはじめた。さっきの要領で録画をしつつ、近づいていく。ああ、またカバンに手を入れてるよ。茶色い財布を持って、小走りで逃げて…。
ガゴッ!!一瞬、目の前がぐわんと揺れてオレは地面に倒れこんだ。後ろから頭を殴られた?痛ってえー。ドスッ。続けざまに腹を蹴られる。倒れたオレの手からアイフォンを盗り、殴りかかってきたキャップの兄ちゃんが走って逃げていく。仲間がいたのかよ…。 
早朝で人通りなんてほとんどないので、オレは倒れたまましばらく動けないでいた。
ようやく通りかかった若い女の子が気づいてくれて、駅員を呼んでくる。
「どうされたんですか?」
「置き引きのヤツらに殴られて…」
そのまま駅員室に運ばれ、コトの顛末を説明する。駅としては彼らの存在を知らなかったようで、ヒドく驚いていた。オレの携帯は、その日の午後に見つかった。駅のトイレ個室に置いてあったところを駅員が発見してくれたのだ。だがやっぱりというか、撮影した動画どころか、もともと入っていた写真も含めてすべて消されていた。以上がコトのすべてだ。置き引きの手口といい、暴力的な行動といい、もはやヤツらは外道の極みである。 こんなにストレートで怖いもの知らずな犯罪、一昔前の日本にはなかったと思うのだが。時代はもうそういうところにまで来てるんだろうか。