会話のタネ!雑学トリビア

裏モノJAPAN監修・会話のネタに雑学や豆知識や無駄な知識を集めました

義母の家族からお金をたかられまくっている

知らないところで義母の借金がふくらんでいることが判明。
一方、酔ったオレは喫茶店のガラスを割り、40万円の弁償をするハメに。
娘を寝かしつけた真由美(嫁)がオレの前に腰をおろした。
「ワタシさ、仕事はじめようと思うんだけど」
「パートでもするの?」
「友達のお店でネイリストさせてくれるんだって。ちょっとでも家計の助けになったらと思って」
ネイリストだぁ?趣味で自分のツメをごちょごちょやってるのは見たことあるけど、そんな素人が客を取ったりしていいのか。
「最初はフォローしてくれるから大丈夫。それにね、1人お客さんがついたら5千円だよ?」
「へー、悪くないじゃん」
「週に2人ついたとして1万円でしょ、1カ月で4万」
「そりゃいいな。やってみたら?」
「本当?やったー」
真由美にしてはイイ話を持ってきたものだ。例のガラスの弁償代40万円のために働いてくれるなんて、いい嫁じゃないか。
「それでね、最初にネイル用品を揃えなきゃいけないんだって。2、3万くらいだけど、お客さんがつけばすぐに元がとれるから」
真由美は次の日、大荷物をかかえて帰ってきた。2万ちょっとで買った筆やらなにやらを広げて楽しそうにしている。
それから1週間ほどが経った。仕事してる様子はないけどどうなったのだろうか。
「仕事の調子はどう?」
「うーん。友達にも声かけてるんだけどなかなか難しいね」
なんだよ。道具を買った意味がないじゃないか。
「お店の子が言うにはね、もうちょっと色の種類とかラメとかを揃えたら変わってくるって」
「どういうこと?」
「アタシが買ったのは最低限のものだけでしょ?夏だし、夏っぽいカラーとかがないとお客さんもやりたがらないよ」
なにやら分厚い冊子を取り出してきた。ネイル用品の通販誌のようだ。もう付箋が貼ってあるけど…。
「だからお願い。もうちょっとだけ買っていい?」
「マジかよ」
「2万か、1万5千円くらいでいいから」
しかたないか。言い分ももっともだしな。
しかし、さらに1週間が経っても客はつかなかった。
「なんかね、やっぱりネイリストの講習を受けてないってのがダメみたい」
「……講習?」「お店の子に言われたの。だから受けてこようと思って。2万円かかるんだけど。今やめたらもったいないでしょ?」
また投資だけがかさんでいく。お前、ダマされてないか?
でも本人はもう引き返せないと講習を受け、さらに「このラメ欲しい」「ジェルも伸びがいいやつがいいよね」なんて言いながら、グッズばかり増やしていく。客はひとりもついていない。新手のサギなのだろうか。
「ウチのお母さんはダメなんだ?」
同じ時期、連日のオリンピック観戦で眠い目をこするオレのもとに一本の電話が入った。母親からだ。
「久しぶり。相談があるんだけど、ちょっとばかりお金貸してもらえないかな?」
はぁ?なんでだよ。あんた、働いてるんだろ。
「赤ちゃんって結構お金がかかるのよ。お願い、5万でいいからさ」
赤ちゃんとは、我が妹で元AV女優・由佳の子供のことだ。最近、ダンナとうまくいっていないので実家に入り浸っており、その生活費を母親が負担しているそうだ。
5万か…。さすがに1人じゃ決められないのでヨメに相談だ。
「そういうわけで、貸してもいいかな?」
「しょうがないんじゃない?ちゃんと返してくれるんでしょ?」
こうして我が家の家計から5万円が消えた。このとき嫁なんかに相談していなければ、後の不幸は起きなかったはずだが、この時点ではそんなことを知る由もない。
翌日、こんどは真由美から相談があった。
「お母さんがケータイ代ないらしくてさ、5万円貸してもいい?」
「5万? 携帯料金で?」
「3万くらいだけど、生活費もないんだって。ごめん。これで最後にしてもらうから」
「でもなぁ。こないだ貸したぶんもまだ返ってきてないし…」
この言葉が真由美のカンに触ったらしい。
「ヒロシ君のお母さんには貸したのに、ウチのお母さんはダメなんだ?」
その理屈で来られると、たじろぐしかない。わかったよ、貸してやれよ。でもその代わり今回は借用書もらうからな。 その夜、オレはお義母さんに5万円を渡し、同時に紙切れを差し出した。
「これ、いちおうなんですけど、借用書を書いてほしいんです」
「借用書?…いいよ」
釈然としない様子で、お義母さんは手書きの借用書にサインをした。オレら夫婦をカモと見ていやがるのか
ここで新たな家族を紹介する。嫁の実の弟、圭吾だ。トラック配送をしている24才の若者で、早くに結婚して子供もいるが、金遣いが荒いせいで嫁と子供に逃げられ、いまは一人暮らし状態のロクデナシだ。
その圭吾が自宅にとつぜんやってきた。「お兄さん、お久しぶりです」
「おう、元気にしてんの?」
「はぁ…ちょっとお願いがありまして」 
申し訳なさそうに言う姿にピンときた。こいつもか。
「パチンコで負けて食費がないんです。2万円貸してもらえませんか?」
このタイミングでやってきたのは、おそらく母親が5万円せしめたことを小耳に挟んだからに違いない。オレら夫婦をカモと見ていやがるのか。でも義理のアニとしては、ムゲに断りにくい。しょうがない、こいつにも借用書かかせるか。
「パチンコに使うなよ?」
「わかりました。すいません」 
殊勝にしてるけど、どうせパチるんだろな。はぁ、これで12万も消えちまったよ。みんな、ちゃんと返せよな。
…ハイエナはまだいた。義父の良勝だ。
ある夜、家に帰るとなぜか良勝さんが居間に寝転んでいた。
「おう、おかえり」
「どうも」
「ちょっとだけいいか?」
イヤな予感にカラダが震える。
「その、悪いんだけどさ。カネ貸してほしいんだよ、10万」
「10万もですか!」
「車検があるんだよ。一応用意してたんだけど、昨日パチンコにつぎ込んでしまってさ」
「いや、チョット…」
「昌子にも貸してあげたんだろ?ホント悪いな、ちゃんと返すからさ」
まもなく、それぞれの返済期日がやってくる。あの人たちの性格からして、たぶん1円も戻ってはこないだろう。