会話のタネ!雑学トリビア

会話のネタに雑学や豆知識や無駄な知識を集めました

姉のAV出演を知り妹がひきこもるようになった

リビングでちまちま酒をあおっていたら足音が近づいてきた。怒りはいまだ止んでいないようだ。
「ねえ、逃げないでちゃんと答えてよ」
「だから、疑惑って書いてるだけじゃん。ただの疑惑だよ」
「何よ、それ。バカにしてない?」
 ネチネチ続く文句にだんだん腹が立ってきた。ったく、うるせえなぁ…。
「わかったわかったよ。悪かったね」
「悪いと思ってないでしょ」
「思ってますよ。はいはい」
「絶対思ってないね」
オレは大きく深呼吸して、一気呵成に攻め込んだ。
「これが仕事なんだよ!オマエらはそれでメシ食えてるんだから黙ってろ! もう二度と読むんじゃねーぞ! 読んだら離婚だ!」
テーブルにこぶしを打ちつけてるオレに、真由美は冷たい視線を送ってくる。こんなに上から言える立場なのかどうかは別にして、これくらいは言っておかないとこっちの立場が危ういからな。真由美は無言で寝室に戻り、オレは気まずいのでリビングで寝ることにした。翌日、仕事が終わったオレは新宿ゴールデン街の安居酒屋にいた。昨日のことを考えたらどうしてもすんなりと家に帰る気がおきない。いや、帰りたくないのはその一件のせいだけではない。今日はムシャクシャして酒を飲みにきてしまったので、帰ったらどうせまた小言をいわれるに決まってる。真由美はオレが外で飲んで帰るのが心底イヤみたいで(オレの酒癖が悪いから)、いつも玄関を開けた瞬間に「また飲んでき
たの? サイテー」なんてグチグチ言ってくるのだ。そんなことばかりを考えていたらすっかり終電を逃していた。いいや、今日はパーッと飲もう!…おっと、真由美から電話だ。面倒だし無視しちゃえ。気づけばマンキツで朝を迎えていた。会社に向かわねばと電車に乗り、携帯をチェックしたら着信は20件を超えている。すべて真由美からだ。あー、やっぱり怒ってるだろうなぁ。その日もオレは家に帰りづらくなり、またゴールデン街に繰り出した。人恋しさから、隣のオッサンに話しかけてみる。
「おっちゃん、結婚してる?」「してるよ」
「オレもしてるんだけどね、もうイヤになっちゃってさ」
グチりにグチった。不思議なもので、話をしていくうちにアイツのイヤな部分がどんどん出てくる。酒を飲んだら怒られるし、メシだってオレの好きなものをなかなか作ってくれない。そのくせセックスの回数が少ないとか文句を言うし│。
「そうだなぁ。まあわかるよ」「ですよねー」
「でも夫婦ってのはそういうもんだよ。イロイロ我慢しなきゃいけないんだから、な」
なんだよ、説教かよ。そういうのはいらんのだ。店を出ても行くところはマンキツしかない。寒い個室で背中を丸めて眠りについた。ああ、こんなとき、お隣の涼子さんがいてくれればなぁ。翌日は、意を決して春日部に帰った。自宅の玄関を開け、リビングに行ってみれば、娘が楽しそうにDVDを見て笑っている。いつもの光景だ。しかしキッチンにいる真由美はいつになく険しい表情だ。
「……ただいま」「ちょっとそこ座って」
イスに座りこっそり真由美の目を見る。赤く腫れているのがわかった。
「真由美、その、あの…」「言いわけはいいから。これからも帰ってこないのなら、離婚してもらいます」「いや、悪かったよ」「夏美はワタシが引きとりますので。よく考えて返事を聞かせてください」真由美はそのまま娘を連れて寝室にいってしまった。
この原稿を書いているいま、オレたちの行く末はまだ決まっていない。なんせオレが答えを出さず、あいかわらず呑んだくれているからだ。