会話のタネ!雑学トリビア

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都心のくせに閑古鳥が鳴くパチンコ店

「三国一マズイ」とか「店員が元ヤクザ」とか「腹がずっと痛い」などどれも気になる店が多いのですが、そんな中「都心のくせに閑古鳥が鳴くパチンコ店が存在する」との一通のメールが舞い込みました。「有り得ない。時代錯誤している」などの辛辣なコメントも添えてあり、そのメールからは店に対しての深い怨念、憎悪、怒りのようなものを感じ、これは只事ではないなと察しました。店の場所を調べるとなんと品川区某ターミナル駅から徒歩0分。周辺は繁華街で人通りも多く、さらに駅前という超一等地。この好立地での不可解な閑古鳥。そしてメールから漂う怨念。それらのミステリーを紐解くべく、早速現場へと向かいました。通常パチンコ店は平日昼間は空いており、夕方以降や土日などには混む傾向があります。特に盆や正月、連休はテレビが特番ばかりでつまらないせいか、普段パチンコをやらない連中も暇つぶしで打ちにやってきて大盛況となります。中でも正月は「今年の運試し」とか「お年玉を貰いに」とか「餅代を稼ぐ」とか何かと理由を付けて親父たちが険しい顔をしてパチンコ屋に赴きます。なので今回はその正月最初の土曜、さらに夕方というこれ以上ない条件の時間帯に潜入することにしました。さすが「徒歩0分」を謳っているだけあって改札を出てわずか10秒で該当の店を発見しました。周りには居酒屋や本屋などがあり土曜の夕方ともあって学生や家族連れで賑わっております。パチンコ店の外観はやや古く、
節電中なのか、手前の電球と蛍光灯はすべて消えており、並んでいる植木鉢には枯れた葉っぱが哀しく風に揺られていました。磨りガラス越しに奥を凝視するとどうやらパチンコ台は稼動しており、うっすらと店内の音楽が漏れ聞こえてきます。かなりレトロな雰囲気を醸し出すその店に入ると大音量の有線が耳に入ってきましたが、玉がジャラジャラ鳴る音は一向に聞こえてきません。不安になり店内を覗くと、中央と左のシマには客はゼロ。右のシマには一番奥の旧海物語の台に白髪の紳士が一人、まるでその場で何年も前に生き絶えたかの如く、瞳孔が開き切った目でじっと画面を見つめていました。
微動だにしないその紳士の脈を計ろうと近寄るとかろうじて右手はハンドルに添えられており、ポーンポーンと弱々しく玉が打ち出されているのが確認できました。100回転ほど回って当たりはゼロ。他の台も土曜夕方だというのに当たりはゼロ、回転数もゼロ
という惨状でした。さらにその奥のシマはおそらく昔はパチンコ台が置いてあったであろうスペースがあり、椅子とテーブルが設置されて休憩所となっていました。その一番奥には景品交換用のレジがあり、普通ならレジにはミニスカを履いた女性が立っているのが相場ですが、ここも無人。店に入店して一番奥のレジまで、客一人、店員ゼロで辿り着くという快挙を達成しました。店内をウロウロしていると中央のシマに男が一人座っているのが見えたので人恋しくなり近寄ってみると店員が「CRおぼっちゃまくん」の台を開いて修理に勤しんでいる最中でした。客が一人のパチンコ店で開店中に「おぼっちゃまくん」を急いで修理する必要性があるのか疑問でなりません。店内を周ると修理店員の他にも男店員が2人おり、店の中央部で通路を挟んで向かい合って立ち話をしていたので、会話の邪魔にならないようにその間を腰を屈めて通過してスロットコーナーに向かいました。こちらも当然のように客はゼロ。スロットの場合、朝一だとリールが777で揃って停止している店が多いのですが、ここは夕方になってもほぼ全台777が揃ったままだったのでいつもはワクワクするはずの777が何故か悲しく見えてしょうがありません。とりあえずジャグラーを千円打ってみると子役が揃う度に鳴る〝ビビビビーン〞という音が店内に響き渡り店員3人中2人が何事かとこちらに顔を覗かせました。千円で当たるはずもなくあっさり飲まれ、トイレに入ると小便用のトイレの前に「雨ニモ負ケズ風ニモ負ケズ通ウベシ」「熱クナリスギズ無理ヲセヌコトガ肝要」などと必勝法らしき言葉が飾られていました。中には「何事モ研究ニ勝ルモノナシ。研究セヨ」とあったのですが全台回転数なし、グラフなしで研究のしようがないのはご愛嬌といったところでしょうか。再びパチンココーナーに戻ると、いつの間にか婆が一人、「CR伝説の豪腕」とかいう聞いたこともない台に鎮座しており大当たりさせていました。一瞬新手のサクラかと思ったのですがしばらくすると先ほどの紳士がやってきて婆の肩を嬉しそうに叩いていたのでどうやら夫婦であることを確認できました。店内には店員3人と夫婦と自分の6人。負けているのは自分ひとりだと気づき、負けてなるものかと追加投資しようとしたのですが「その店に居てはいけない。早くお逃げなさい」との声がどこからか聞こえた気がしたので、慌てて店を飛び出してコートに首をすくめて足早に帰路に着きました。