会話のタネ!雑学トリビア

裏モノJAPAN監修・会話のネタに雑学や豆知識や無駄な知識を集めました

空港内デートのカップルの巣窟プラネタリウムカフェ

リア充カップルのいちゃつきスポットをググると必ず上位に出てくるのが空港だ。海外に用もないのに、なんならパスポートも持ってないのに空港の搭乗ゲートやロビーのあちこちでぴったりと寄り添って今生の別れみたいな顔して「もう二度と離さない」とか言ってる奴らのことである。特に夜の展望デッキは我々素人童貞が間違って足を踏み入れると非常にショッキングな光景が広がっている。ボクサーの前日計量かと思うほど顔と顔を極限まで近づけて見つめ合ってる男女。ゴォーーゴォーーという耳を塞ぎたくな
るようなジャンボジェット機の離着陸する騒音も彼らにとってはテラスハウスのオープニング曲みたいなもんに聞こえていることだろう。一眼レフを構える飛行機マニア外、滑走路に目を向ける者はいない。
そしてそんな空港内で今最もリア充カップルの巣窟となっているいちゃつきスポットが〝プラネタリウムカフェ〞なる場所だという。空港とプラネタリウムリア充スポットの中にさらにリア充スポットを作るという、とても人間の仕業とは思えない悪夢の空間である。嘘であってくれという一心で早速現地へと急いだ。
数年前に開業して話題となった某空港国際線ターミナルへ私鉄を乗り換えながら到着。その最上階にプラネタカフェは存在しているとのことで、旅行者をかき分けてエスカレーターを昇ると難なく店を発見。まだ9月末だというのに早くも店全体がハロウィンモードにデコレーションされており、ここがリア充の巣窟だということを示している。
「入場料500円+ワンドリンク制」など店のシステムが記された看板を眺めていると奥の黒いカーテンから魔女さながらに女の店員が突然現れて、明らかに独りで佇んでいる俺を見て「何名様ですか」と訊ねてきた。よっぽど独りの客が特異なのか、まるでエリマキトカゲウーパールーパーを見るかのような珍しそうな目を向けてくるのでしょうがないから独りだという旨を伝えると女店員は明らかに動揺しつつも「こちらへどうぞ」と黒いカーテンの奥へと案内してくれた。店内に入ると従来のプラネタリウムと同じように真っ暗闇で円状の大きな空間が広がっていた。壁に沿って一周ぐるっとソファーが敷かれて、テーブルがおよそ15以上は並んでいるのがうっすらと確認できる。この日は平日の夜にも関わらず、どうやら既に4組ほどのカップルがそれぞれのソファーで寄り添いながら口を開けて頭上を見つめている。
暗闇の中、耳元で店員が「ワンドリンクプリーズ」と囁いてきたのでしょうがないからコーラとピザを注文。その店員が厨房に戻って行ったと思ったら恐ろしいほどの速さでピザを持って戻ってきたので、冷凍をまったく隠さないその潔さに軽く感動を覚えた。
ホール内では「秋の夜空には大四辺形として知られるペガサス座が〜」などと女店員による星座の解説のアナウンスが流れているがそれを誰も聞いてる様子はなく、カップルたちはスタバにいるノリで普通のトーンで会話をしている。そもそもこいつらは星座を知りたくてプラネタリウムに入ったわけじゃなくて、恋人と過ごせる暗闇の空間が欲しくて集まってきたに過ぎない。「あ、この時期にはこの星座が見れるのか。これはいいこと知った。じゃあ今度2人で星を探しに行こうね」なんてロマンチストは一人もいないのである。しかも目を凝らしてよく見るとなんと明らかにキスをしているカップルが既に2組いて、その内の1組はかなりのディープキスをしているのが遠目でも認識できた。
「西の空には徐々にカシオペア座が現れてきました」と星座の解説アナウンスがされているまさにその西の方角の空のすぐ真下でカップルがディープキスをしているのである。さらに男の手は女の股間にまっすぐと伸びており、まるで夜空の下で青カンを覗き見しているような興奮を覚えてこちらもカシオペア座を見るフリして身を乗り出す始末。双眼鏡を持ってこなかったことを悔やんだほどだった。最後には、胸ぐらい揉めとかスカート捲らんかいとか気付くといつの間にかカップルの男を応援していたのである。しかしこの店がよく出来ているのは15分ほどの短めのプラネタリウムが定期的に上映されて、それが終わるたびに今度は5分ほどカフェタイムとなってホール内が明るくなるという点だ。つまり暗闇に目が慣れて周りが見えるようになってくる頃に明るくなるので、5分後に再びプラネタリウムが始まるとまた序盤は真っ暗闇の空間が出来上がり、何をしようが周りにバレずにいちゃつけるのである。
 明るくなる度にカップルがわざとらしく星空を指差して「綺麗だね」とか言って頷き合っているが、明らかに星座のことは二の次で頭に入っていない様子。星座を指差す男のその指すらこっちからしたら手マンの形の星座にしか見えないのだ。リア充スポットを誹謗中傷する気満々で来たのに股間を抑えながらプラネタリウムを出る羽目になり、しょうがないから気分転換に展望デッキに行くと今度は別のカップルの女が柵に寄り掛かる形で対面座位の体勢で男と向かい合っていた。もう限界だと思った俺はここから一番近いピンサロをスマホで調べる以外術は残されていなかったのであった。