会話のタネ!雑学トリビア

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飼ってる犬が死んだのにドッグフードの定期購入のキャンセルに違約金を請求された

ミニチュアダックスフンドを飼うことに決めた。

子供のころから好きだった犬だ。同じく犬を飼うつもりだったという同僚と一緒に近所のペットショップに行くと店内に「フードの定期購入で生体が半額!」という貼り紙が。

ミニチュアダックスの価格は20万。それが、ドッグフードを定期購入するだけで10万円に下がるという。


店員に詳しく話を聞いてみると、犬を半額にするには、ドッグフードが毎月1回、5年にわたって自動で送られてくる定期契約を交わすのが条件とのこと。

ドッグフードの値段はひと月分6キロで1万円強と、普通のものより高めだが、海外の獣医師が推奨しているものらしく、健康にいいという。ま、契約しちゃうか。


かくして俺は念願のミニチュアダックスを、同僚も半額でパグを手に入れ、いよいよペットとの同居生活が始まった。うちのタム(名前)は、ショップで見たときよりもだいぶおとなしく、飼い始めてから2週間ほどが経ってもずっと静かなままで、日に日に食べる量も減っていった。


そして、飼い始めてから3週間もすると、外に出るのを嫌がり、食事もほとんど口にしなくなった。心なしか呼吸も荒く、苦しそうに見える。とにかく病院へ行って、先生に診てもらおう。

獣医さんに診断してもらうと、タムは何らかの原因で疲労やストレスが溜まっており、それが原因で免疫力が落ちて肺炎になってしまったとのことだった。

投薬をして様子を見ながら家で療養するしかないそうだ。それから1週間会社を休んでつきっきりでタムの面倒をみたものの、その看病もむなしくタムは少しずつ衰弱していき、最後には息を引き取ってしまった。
一緒に暮らしていた期間はおよそ1カ月。まさかこんなに早く別れることになるなんて。悲しんでばかりいられない。葬式や埋葬をして、役所に死亡届を出さねば。あ、そうだ。ドッグフードの定期購入もキャンセルしないと。ペットショップに向かい店員に事情を説明する。
「あの、すみませんがペットが死んでしまったので、定期購入をキャンセルしたいのですが…」
「かしこまりました。キャンセルですね。それでは解約金9万円をお支払いください」「え、9万! 何でですか?」
「定期購入の書類に書いてあるとおり、1年以内での解約は店頭で割引した額の90%をお支払いいただく決まりになっております」
「え、でもすぐに死んじゃいまして…」
「当店の生命保証は2週間になっております。お客様は購入から28日経っているので対象外です」
さも当然のように言う店員さん。買うときはあんなに優しかったのにこんなに冷たい対応をしてくるなんて。

毎月1万円のドッグフードをあと5年買い続けるよりは解約金を払った方がマシだ。俺はしぶしぶ9万円の解約金を支払った。
それからおよそ1カ月。同じ日にパグを買った同僚から、俺と同じような感じでパグが衰弱死し、ドッグフードの違約金を請求されたという連絡があった。電話口で悲しみより怒りが先走っている様子の同僚が言った。
「あの店、全国どこの店にいるペットでも取り寄せできますって言ってたよな。それで何度も子犬が輸送されてたら、弱るのも当然じゃないか?俺らは、最初から衰弱した犬を買わされてたんだよ」
さも当然のように高額の解約金を請求してきた店員の態度を見ると、同僚が言っていることもあながち外れていないように思えるのだがどうだろう。