会話のタネ!雑学トリビア

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恋愛成就のご利益がある七夕祈願神社

織姫と彦星が年に一度だけ天の川で出会う七夕の夜。恋愛成就のご利益があるという都内の某神社には毎年この日、喉から手が出るほどイケメン彼氏がほしいブスな独身女が大勢押し寄せるらしいが、ここ数年情勢が変わりつつあり、なぜか既に恋愛成就したカップルたちでごったがえしているという。つまり切実に恋愛を望んでいる寂しい独身女たちの居場所すらも今やリア充カップルのツイッターの素材にされているのが現状なのである。
7月7日、都心にひっそりと佇むその小さな神社に向かうと既に最寄駅から多数のカップルたちがぴったりと身体を寄り添って炎天下の中歩いていた。平日夕方にも関わらず、女は浴衣、男は甚平を着てわざとらしく2人とも綿菓子を持って百万ドルの笑顔で闊歩している。東京ウォーカーとか丸井のポスターで見たことがある格好そのままだった。駅から徒歩10分ほどの神社に到着するとなんと既に参拝のための長蛇の列が出来
上がっており、巫女が「最後尾」と書かれたプラカードを持って仁王立ちして「ここから30分待ちです」とディズニーのスペースマウンテンみたいなノリで声を張り上げている。こんな小さな神社ではおそらく初詣でもここまで並んでいないだろうに、やはり恋愛のパワーは恐ろしい。カップル7割、単独女3割の中、単独男はおそらく俺以外にいない模様だったが、綺麗に2列に整列しているその最後方にしょうがないから並んでみた。目の前の30代後半と思わしき熟年カップルはお互いをじっと見つめ合って「晴れて良かったね」「うん、晴れて良かった」とか「昨日まで雨だったのにね」「うん、それ考えると今日晴れたの奇跡かも」とか言って今日の天気のことを整列している30分間ずっと語り合っていた。そんなことよりこいつら仕事はどうしたんだろうか。平日15時、常人ならバリバリ働いている時間帯だし、神社よりもハローワークに行くべきではないだろうかと他人事ながら少し不安になった。そもそも渥美清に似たブスとは言えども既に恋人がいる奴らがこれ以上七夕の日に神社で何を願う必要があるのだろうか。並んでいる最中に暇なので境内の左側の大きな笹に備えられている短冊に目をやると「この夏ター君と海に行けますように」とか「花火を一緒に見れますように」「表参道のパンケーキ食べれますように」とかわけのわかんない願い事が多多ぶら下がっており、もはや願い事というより来月のスケジュールをそれぞれのカップルがのろけているだけのような気がした。さらにその短冊の前で顔を寄せ合ってVサインしながら自撮り棒を使ってツーショットを撮るカップルたちも出現する始末。独身女たちの短冊も覗いてみると男の名前が思いっきりフルネームで記されており「吉田×雄君と付き合えますように」と太い筆ペンで力強く願いが込められている。さらに裏には女本人のフルネームと自宅住所までもがきっちり記載されていた。ここまではっきりと自分のみならず相手の個人情報を晒して短冊に願い事をするのだから相当な熱意を感じるが、独身女の個人情報を集めている業者にとっては宝庫に違いないだろう。30分待ってようやく賽銭箱に近づいてきたなと思って安心していると今度は目の前の女が手を合わせたっきり微動だにしなくなった。そしてなんとそこから5分間、手を合わせて何かをブツブツと呟いている。願い事というよりもはや怨念。おそらく並びながらいちゃついているカップルに呪いをかけているのに違いないので、思わず俺も加勢しようかと考えたほどだった。 
賽銭して手を合わせて「万馬券が当たりますように」と願った後ビールでも飲もうかと境内を彷徨っていると巫女が「七夕祈願祭に申し込みますか」と話し掛けてきた。訊くと2千円以上納めると社殿の中へ入って七夕のみの特別な祈願を受けることができるという。せっかくなので申し込もうかとも思ったけどなんと3時間待ちで20時半になると言われたので断念。社殿を覗くと中には百人単位でカップルや単独女が手を合わせており、こいつら全員2千円以上払ってわけのわかんないお祈りをしてると思うと宗教の偉大さを改めて感じるばかりだった。さらに売店のお守りの類も縁結び関係がほとんどで赤と青のお揃いの恋愛成就のお守りをカップルがペアで買っている横でしょうがないから週末の競馬にそなえて金運のお守りを購入。神社を出て徒歩30秒にあるピザ屋では「七夕祈願参列証持参で10%引き」とかわけのわかんないキャンペーンをやっており、こんなもんに引っ掛かる奴いないだろうと思ったらその店にも浴衣を着たカップルが行列を作っていたので頭が痛くなりつつ金運のお守りを握りしめて帰路に着いた。