会話のタネ!雑学トリビア

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じゃらんの口コミで最も低いホテルに行ってみた

旅先で気になるのはやはり宿泊するホテル、旅館であります。小学生の頃、夏休みに家族で飛騨に旅行したんですが、当時はネットなんかないもんだから電話帳で宿屋を探して適当に予約していざ着いてみたらどこからどう見てもラブホテル丸出しだったので家族全員とても気まずかった記憶があります。遠目に宿屋が見えた時は外観が西洋風のお城のような豪華な造りだったので車の中で家族全員テンションが上がったんですが、駐車場の入り口にビラビラのカーテンが付いていたあたりから怪しい空気になって、部屋に入って風呂場がガラス張りだったのを見て無言になり夜9時には家族全員就寝してしまいました。今ではあらかじめネットで外観や部屋の内装、料理、風呂など写真ですべて閲覧できるし、口コミで評価を確認してから出掛けられるので便利な世の中になったものです。
 今回訪れたのは東京の新大久保駅からほど近いところに佇む某ホテルです。このホテルはなんと人気宿予約サイト・じゃらんの口コミにおいて都内で最も低い2.5点という数字を叩き出しております。都内だけで1000以上の登録がある宿予約サイトの最下位に君臨しているのだから只事ではありません。口コミでは「立地条件は最高だけど建物内が暗すぎる」「カビ臭い」「従業員の態度が酷い」という意見が大半を占めておりました。早速新大久保駅からホテルを捜して歩いていると気付いたらいつの間にかラブホ街のど真ん中に入り込んでしまったようで、近くの電信柱の陰から台湾人らしき女がこちらをジッと見つめながら舌を爬虫類のように出入りさせていました。怖くなったのでホテルに電話してみたところこれまたカタコトの女が受話器を取り、日本語と韓国語の間ぐらいの言葉でホテルの場所を教えてくれました。
 ホテルはやはりラブホ街の中にありました。中に入ってまず気になったのは口コミでも言われてたロビーの暗さです。節電が促されている昨今とはいえ、ここまで暗いと廃墟に近い雰囲気が漂っています。受付にはおそらく先ほど電話に出たであろう女が暇そうに口を開けてボーっと座っていました。近づいてもピクリともしないので蝋人形かと思い、猫騙しの要領で手をパチンと叩くとこちらに気付きチェックインの手続きをしてくれました。奥にはネットが利用できるパソコンコーナーがあり、そこも真っ暗で女が一人、パソコンの画面の青白い光に照らされているのが見えます。
 受付の女に宿代の6千円を払うと、部屋のカギと小さな袋を渡されました。なんだろうと思ってよく見たらなんと袋にはコンドームが一つ入っていました。「また話を大袈裟に盛りやがって」と思うかもしれませんが紛れもなく真実です。受付でコンドームを渡されるホテルなんて今日日ラブホでも存在しませんが、じゃらんに掲載しているこのホテルでは受付でゴムを配っているのです。とりあえず部屋に入って呼吸を整えようとエレベータのボタンを押します。しかし何故か一向に降りてきません。しょうがないから階段で3階まで上がったのですが、そこから部屋までもまた暗く静かで不気味でした。しかも部屋の前の階段付近には何故か空き缶などが入ったゴミ袋が置かれて異臭を放っています。部屋は15平米ほどあり一人で泊まるには問題のない広さですがやはりこの部屋もどことなく暗く、洋風のベッドがB級ホラー映画を思い起こさせました。風呂場やトイレも同じように薄暗く入る気にはなりません。少しでも明るくしようと窓を開けてみたら隣のビルの壁が目の前30センチにありました。口コミで批難されていた臭いに関しては、ベッドはそれほどでもないのですがバスタオルはかなりのカビの臭いがしました。このままこの部屋にいると呪われる気がしたのでしばらく1階のロビーのソファーで過ごすことに。しかし一向に客が来る気配はなく、受付の女も相変わらず口を開けたまま微動だにしません。ひょっとしてあのゴムは女が自分を誘っていたのかもと思い、女に「今日は空いてますね」と声を掛けてみましたが少し微笑むだけでほとんど反応がありません。「ゴム貰っても使いようがないんですが」と言ってみてもただ微笑むばかり。そういえば奥のパソコンコーナーに女が一人いたことを思い出し行ってみましたが既にもぬけの殻。受付の女に「今日泊まってる女のコの部屋番いくつ」と訊いてみると「今日はあなた以外、誰も泊まってないですよ」という稲川淳二の間抜けな話みたいな返答です。なんだか怖くなってきたので急いで部屋に戻り荷物を取ってチェックアウトし、般若心経を唱えながら帰路に着きました。