会話のタネ!雑学トリビア

裏モノJAPAN監修・会話のネタに雑学や豆知識や無駄な知識を集めました

Airbnbがもうかっていたころの話

『Airbnb(エアービーアンドビー)』。旅先で宿泊場所を探すユーザー(ゲスト)と、現地で宿泊場所を有料提供したいユーザー(ホスト)をつなげるサイトだ。世界中で広く利用されているようだが、調べてみたところ、日本においては、賃貸マンションの住人が外国人旅行者に部屋を貸すパターンが9割以上らしく、どの物件も連日予約で一杯という盛況ぶりだ。きっとホテルではなく、日本の一般的な住居に滞在できる点が外国人にウケているのだろう。当初、俺は、部屋の貸し主の大半は、自分の住居を他人にレンタルしているものと思っていた。長期の出張や旅行で日本を離れる時期を利用して、小遣いを稼いでいるのだと。しかしそうではなかった。よくよく確認してみると、貸し主の多くは、自分の住居とは別にレンタル用の物件を賃貸し、それをゲストに有料で又貸ししているようなのだ。つまり、完全な副業目的なのである。途端に食指が動いた。これ、もしかしてめちゃめちゃおいしくないか?部屋のレンタル料は、ホストが自由に設定できるのだが、渋谷や六本木など観光客に人気のエリアでは、一般的な1Kの間取りの部屋代が1泊あたり約1万円という相場になっている(収容人数は2人まで)。そして、その条件に当てはまる物件の家賃相場は10万前後だから、月に20日ほど稼働すれば、粗利はざっと10万の計算だ。うーむ、賃貸物件を外人旅行者に又貸しするだけでポンと10万。これはチャレンジする価値ありでしょ。さっそくなけなしの貯金を切り崩し、渋谷駅から徒歩10分圏内のマンションを借りた。間取りは風呂トイレ別の1Kで家賃は10万2千円。こいつを1泊1万円で貸し出すのだ。なるべく清潔感とオシャレ感を出そうと、イケアで家具を揃えたのが良かったのか、いざ物件をサイトにアップしたところ、上々の滑り出しを見せた。初月の稼働日数は17日、翌月は20日と、ほぼ当初の目論見どおりの成果を出したのだ。さらにWi‐Fiを無料で使用可能にしたり、サイトに掲載する部屋の写真に工夫を施すと(間接照明で撮影するなど)、月の稼働日数はあっさり25日以上に。以後、その数字を安定的にたたき出すようになった。宿泊者とのやり取りはオンライン上で簡単な業務連絡をかわすのみ。料金の徴収もサイト側が代行してくれるので取りっぱぐれもない。こんなラクして月15万も稼げていいのか。ただそうはいっても、最低限、骨を折らなければダメなこともいくつかある。その筆頭格は清掃だ。宿泊者がチェックアウトした後、また次の宿泊者が滞在するまでに散らかった部屋をキレイにしておかなければならない。労働的には大したことがなくても、それをほぼ毎日やるとなると意外とシンドイものだ。
 そこで俺は客の最低宿泊数を3日以上に設定することで清掃の頻度を減らし、さらに客から清掃費として別途3千円を徴収する方針にチェンジ。これでモチベーションが下がることはなくなった。こうして事業は見事に軌道に乗り、開始から4カ月ほどで初期費用(敷金礼金など)を回収、それを機に六本木で2軒目のマンション又貸しに着手した。現在、2つの物件から得ている利益は月35万前後だ。そろそろ3軒目もスタートさせ、本業の居酒屋店員を辞めようかと真剣に考えている。