会話のタネ!雑学トリビア

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潔癖症も若い女が握ったおむすびなら食べられる?

他人が握ったおむすびを食べられないという人が多いと聞きます。確かに幼いころ、友達の母親が握ったおむすびがどうしても食べられなくてポケットに直に入れて持ち帰った記憶があります。その割に大人になって知らないおっさんの握った寿司を高い金出して平気で食べているのだから不思議なものです。
 しかしこれが若い女が握ったおむすびとなれば話は変わってくるのではないでしょうか。むしろ積極的に食べたいと思うのが人心であります。そんな盲点にいち早く目を付けたおむすび屋が都内に存在するとの怪奇情報が有志から寄せられたのでその真意を探るべく早速現地へと足を伸ばしました。
 都内東部の某メトロ駅で下車し、そこから大通りを北へ3分ほど歩くと飲食店が立ち並ぶスポットがあり、その中の一つの雑居ビルの壁に「OMUSUBI指名あり1000円、指名なし800円」というわけのわかんない紙が貼られているのを発見しました。狭いエレベーターで6階に上がると店名のみが記されたドアが目の前に出現。恐る恐るそのドアを開けると店内の右側のカウンター内に若い女子が5人ほどスマホをいじりながら横一列に並んで座っており、一同がこちらを見て「あっ〜、いらっしゃいませ〜」とまったくやる気を感じさせない声を発しました。
 店の左側には自販機があり先ほどと同じように「おむすび指名1000円」だの「みそ汁指名800円」「チェキ1000円」などの記載があります。何から突っ込んでいいのか分からず戸惑っていると銀色の髪をした女子プロレスラーのようなふくよかな体格の女が
近づいてきて「なにかわからないことありますか」と言うのでわからないことだらけだということを伝えると店のシステムを丁寧に説明してくれました。まずはこの自販機でおむすびチケットを買い、好みの女子の前に行ってそのチケットを渡せばおむすびを握ってくれ、その後おむすびを食べながらその女子と3分間喋ることができるとのことです。みそ汁、ドリンクを買えばさらにそれぞれ3分間喋る権利が発生するのですが、おむすび1000円、みそ汁800円、ドリンク800円なので9分間喋るのに2千円以上かかる計算になってしまいます。しょうがないのでとりあえず指名なしのおむすび(800円)、ドリンク(500円)、チェキ(1000円)のチケットを購入。すべて指名なしなのでそれぞれの相手を割り箸のくじ引きで決定することになりました。
 その結果おむすびはM女史、ドリンクはS女史となり、まずはM女史のカウンターの前に行きチケットを渡します。M女史は清楚系の19歳、5人の中では最も自分の好みだったので当たりと言えるでしょう。梅、こんぶ、シーチキンなど6つの具材から2つ選ぶように指示され、腕まくりをしたM女史は炊飯器を開きサランラップにご飯を乗せるとそれをこちらに見えるようにおもむろに両手で握り始めました。
 サランラップ越しだったのが残念でしたが、19歳の清楚系女子が目の前で自分のためにおむすびを握ってくれているという状況は妙にそそるものがあります。M女史は2つのおむすびをあっという間に握り終えるとカウンターにそれを置き「じゃあこれから3分間のトークタイムです」と言ってタイマーをスタートさせました。大学が夏休みに入ったことや店まで電車で1時間かけて通っていることなど、たわいもない内容ながら楽しく会話をしていましたが、こちらが甲子園の清宮が楽しみという話をした途端に会話はピタリと止まってしまいました。沈黙に耐えきれなくなったM女史はポイントカードを取り出して
「今日はポイント2倍デーなので」とハンコを2つ押してくれて「これを30個ためるとサランラップじゃなくて直接手でおむすびを握ってあげますからね」と言ってきたので思わず椅子から転げ落ちそうになりました。ポイント30個ためてようやく直接手でおむすびを握ってくれるということは、ポイントが溜まらずとも毎日素手で握ってくれる寿司屋のおっさんがいかに有り難い存在かを改めて実感することができました。
 次にS女史の前に移動して今度はドリンク券を渡したのですが、如何せんこのS女史は林家パー子そっくりであり、しかもなぜか上から目線のタメ口だったこともあり、トークタイムの3分間が永遠の長さに感じました。ドリンクのトークタイムがようやく終了したかと思うとS女史から「チェキは誰を撮りたいの? 私で良いでしょ?」という強引な進言があり、ドリンクに続きチェキでもS女史との3分間トーク権を獲得。トークの後半は店内モニターに流れていたAKB48のPVを眺めながら時が過ぎるのをじっと待ち、普段嫌いだったはずのAKBがその時ばかりは頼もしく感じました。
 トークタイムが終了するともう女子との会話が一切できないだけでなく、目の前に座ることも許されないらしく、女子プロ店長に誘導されて離れたテーブル席に一人で着席。店内はスマホをいじる5人の若い女子プラス離れた席でおむすびを一人で黙々と食べる自分という奇怪な構図となり、他に客が来店する雰囲気もなく、これ以上の滞在は精神が持たないと判断。残ったおむすびを銀紙に包んで店をあとにし、帰りの公園でパー子のチェキを眺めがら固くなったおむすびを食しました。